Mijn Feyenoord

Feyenoordを中心にNederlands voetbalを追いかける

フローテ・フィールが採用されない訳

オランダで唐突に沸き起こっている「フローテ・フィール論争」。そもそもの起こりは数週間前にファン・デル・ファールトが「スナイデルロッベン、ファン・ペルシと一緒にプレーは可能」とコメントした事。4-2-3-1ではスナイデルにスタメンを奪われる可能性のあるファン・デル・ファールトからこういうコメントは出たのは理由が分からなくもなかったが、今週に入ってオランイェのトレーニングに合流したファン・ペルシがオランダの報道陣に対して「僕ら4人が一緒にプレーできればどこまでも勝ちすすめる」とコメントした事で一気に話が盛り上がっている。

先のEKでは2列目にスナイデルとファン・デル・ファールトを並べたオランイェだが、ファン・マルワイクがボンズコーチに就任してからは常に二人のウィンガーを起用し、この二人が並ぶ事はほとんど無かった。さらにファン・マルワイクは前線で他の選手たちにないファイティング・スピリットを備えているディルク・カイトを高く評価し、スピッツか右サイドで重用している。

オランダの伝統的な「メンタルの弱さ」を克服する事が世界の舞台での成功の鍵と考えているベルタスにとって、現在のオランイェにおけるディルク・カイトとマルク・ファン・ボメルのメンタリティーは不可欠なものと考えているだろう。確かにフローテ・フィールは特別なクオリティを備えた選手たちだが、一歩間違えればエゴがぶつかり合いチーム崩壊のきっかけになりかねない(そもそもファン・ペルシはスナイデルとは決して親しい間柄ではなく、どうせなら馬が合うファン・デル・ファールトと一緒にプレーしたいと内心思っているはずだ)。

戦術的な面から言っても、スナイデルとファン・デル・ファールトは共にサイドに置くには守備面の動きに不安があり、EKでのロシア戦のように4-2-3-1の特性を活かせず逆に穴を作る可能性が高い。逆に言えば、フローテ・フィールが並び立つ可能性はアメリカ戦後半で試した4-3-3のオプションでだろう。コントロールMFの1枚を外し、ファン・デル・ファールトを投入する事だ。強国相手にはあまりにもリスクのある戦術であり、基本システムには使えないが状況によっては必要となるオプションであり、今後のトレーニング・マッチでもテストされるはずだ。実はオランダのファンが集まるフォーラムでもカイトを入れた4-3-3でのフローテ・フィールを求める声が多い。バラスを重視するベルタスが基本の4-2-3-1を変える事はまずあり得ない話だ。

ちなみに万が一フローテ・フィールが4-2-3-1での基本フォーメーションになった場合、ディルク・カイトは必然的にベンチに追いやられることになるが、ファン・ペルシはカイトについて、「決してディルク・カイトに反対してるという事ではない。彼がオランイェに相応しいだけの結果を残しているのは間違いない事。僕は監督じゃないし、そういう真似をするつもりもない。ただ一つのチームにこういう別格の選手が4人揃うのはユニークな事。一緒にできれば南アフリカで頂点にだって立てる」とコメントしている。

この種の議論はオランダでは良くある事だが、一歩間違えればチームに不和をもたらしかねない話題である事から、ベルタスは即座にメディアに対して反応。「フォーメーションを決めるのはただ一人、それは私だ」とこの話題がこれ以上広がるのはご免だとばかりに過熱し始めたメディアを抑えようとしている。この事からもベルタスはこの4人を並べることに慎重な態度をとり続けるだろう。