火曜夜にアムステルダム・アレナで行われたEK予選スウェーデン戦でオランイェはめまぐるしいショーを見せつけて4-1と圧勝。2012年EKに向けて予選4連勝、勝ち点12ptsでグループ首位に立った。クラース・ヤン・フンテラールとイブラヒム・アフェライが共に2得点を決めたが、前半途中でディルク・カイトが右足首に重傷を負い病院へ送られた。この予選4試合連続8得点のフンテラールは代表通算24得点(40キャップ)となり、オランイェの歴代スコアラー順位でマルコ・ファン・バステン(58キャップ)に並んだ。
序盤積極的にプレッシャーをかけてきたスウェーデンだが、今日もファン・デル・ファールトが中盤にクオリティをもたらす。スナイデルのワンタッチパスから前線のラファ、フンテラールと流れるパスワークであっさり先制。
さらにスナイデルのミドルは1回目巻いてサイドネット、2回目は枠を捉えるもイサクソンがセーブと立て続けにスウェーデンゴールを脅かす。
しかしスウェーデンもイブラヒモビッチとトイヴォネンを中心に押し返すとオランイェも主導権をとり続けることができない。スベンソンの素晴らしいフィードでトイヴォネンが抜け出し、飛び出したステケレンブルフの上を狙ったループはわずかに枠の右。
カイトがハイボールをDaniel Majstorovicと競り合った際に着地際相手の足の上に重なってしまい右足首を捻るとレンスに無念の交代。ファン・デル・ヴィールのバックパスが弱く、危うくトイヴォネンにとられかけて怒るステケレンブルフ。
スウェーデンのスローインミスを奪ったスナイデルからのパスに、走り込んだアフェライがそのまま持ち込んで左足でしっかり決めて30キャップ目でついに代表初ゴール!ベンチに走り寄ってブラルーズに抱きつくイビ。
その後もトイヴォネンを捕まえきれずにやや危ないシーンを作られかけるが落ち着いて試合をコントロールしつつHT
45分:ポゼッション56%シュート数7(3)
後半早々VDVが素晴らしい守備を見せる。イブラヒモビッチが激しく当たってハイティンハが痛むが、大事には至らず。
後半のオランイェの主役はイブラヒム・アフェライ。現在エールディヴィジ最高のスペルマーカーは左サイドでファン・デル・ファールトのパスを受けるとMikael Lustigとの1対1で華麗なフェイントプレーから右足で絶妙のクロス。フンテラールがしっかり決めて3点目。さらにハイティンハのフィードから速攻。スナイデルのパスに走り込んだフンテラールのクロスをファーポストで受けたアフェライが再びネットを揺らし4-0と勝負を決定づける。
勢いに乗るオランイェはこの時間帯、美しい魅力的なフットボールを見せていた。スナイデルとフンテラールの素晴らしいパスワークからレンスが抜け出したがフィニッシュはPSVのチームメイト イサクソンがセーブ。スナイデルがマークをかわしてのミドルシュートをイサクソンが弾くと、こぼれ球にレンスが詰めネットを揺らしたが今度はオフサイド。たて続くチャンスにテンションの上がるレオ・ドリッセン。
しかしスウェーデンもFKからフンテラールの背後でフリーになったグランクフィストが豪快に右足ボレーで1点返すと、ここからスウェーデンが主導権を取り、オランイェは粘り強く守る時間が続く。さらにCKからチャンスを作られたがファン・デル・ファールト、ファン・ボメルが頭でクリア。
残り20分で膝を痛めているファン・ボメルを無理させずに下げてブラマ投入。スウェーデンは残り10分にトイヴォネン→ベルフのPSV交代。オランイェもフンテラールに代わりファン・ニステルローイを投入で盛り上がるアレナ。
イブラヒモビッチの強烈ミドル、ベルフのシュートもステケレンブルフがしっかりセーブ。多少危ないシーンを作られるオランイェだが、自陣CKの際にファン・ニステルローイとイブラヒモビッチが笑顔で会話。
ひたすら守り続けていたオランイェにロスタイム直前ようやくカウンターのチャンス。しかしスナイデルのパスをフリーで受けたレンスのシュートは枠を捉えず試合終了。
90分:ポゼッション50%シュート数13(8)
STATISTIEKEN:
Nederland – Zweden 4-1 (2-0).
Scoreverloop: 4. Huntelaar 1-0, 23. Afellay 2-0, 55. Huntelaar 3-0, 59. Afellay 4-0, 69. Granqvist 4-1.
Gele kaart: Larsson, Toivonen (Zweden).
Nederland: Stekelenburg, Van der Wiel, Heitinga, Mathijsen, Pieters, Van Bommel (72. Brama), Kuyt (29. Lens), Van der Vaart, Sneijder, Afellay, Huntelaar (84. Van Nistelrooy).
Zweden: Isaksson, Lustig, Majstorovic, Granqvist, Safari (46. Wendt), Larsson, Wernbloom (54. Kälsström), Toivonen (79. Berg), Svensson, Elmander, Ibrahimovic.
イブラヒム・アフェライ
「スウェーデンはとても良いチームだったけど、僕らの方が上だった」
「1点目はラインの間にボールが落ちたのを、ウェズレイが上手くカットして前に素晴らしいパスをくれたから僕はそれを決めただけ」
「ゴールはその内決まると分かってたけど、こんな重要な試合で初ゴールを決められたのは本当にファンタスティック。ハリドが試合前に『今日は決められるよ』って予言してくれたんだ。僕は『いいね、もし決めたら駆け寄るよ』って言ったんだ。彼はそんなことをこれまで言ったことがなかったから、本当に心から出たことなんだろう。凄くない?」
3-0のアシストのアクション。
「あれはただの直感で出た動きだよ。もちろんセンタリングのタイミングは計っていた。自信があって感触が良ければみんなああいう動きが出るだろ。もちろんミスすることはあるけど、それもフットボール。やり続けていれば自然に出るようになるんだ」
これで2試合連続スタメン出場。
「自信になるし試合の中で成長できる。途中出場だと数分間の内に試合のリズムに入らないとならないから世界が違うんだ」
中盤のポジションチェンジが機能している。
「監督の指示で自由にやって良いことになってる。そういう時には相手を混乱させることもできるし、結果的に素晴らしい連携も生まれた」
ベルト・ファン・マルワイク
「見事という言葉では足らない。今日のプレーこそいつも我々がやりたかったもの。非常にあっさり先制できたことがいつもと違った。そこからのプレーはまたすぐ別の評価になったが、最終的に我々は相手にとどめを刺した」
「美しいアクションがたくさん見れたし、我々のプレーはよかった。これが我々の見たかったレベル。モルドバ戦でも我々は良いプレーをしたが、今日はたくさん点を取れた。試合のクオリティはしばしばゴールの数に拠るからね」
終盤押し込まれたことも理解できる。
「選手たちはタイトな日程でいくらか疲れている。あの時点で試合への緊張感を失うことも想像できる」
ファン・ボメルを巡るバイエルン・ミュンヘンとの衝突について。
「マルク・ファン・ボメルについての事は試合の準備をかき乱された。彼をプレーさせないようにとミュンヘンからプレッシャーを受けたんだ。彼はフィットしていたしプレーしたがっていた。私には問題は見あたらなかった。我々は間違っていなかったと思う。我々は彼の膝のレントゲン写真を外部の医者に見て貰い、さらにバイエルン・ミュンヘンにも送った。彼らが彼にプレッシャーをかけてきたのは残念。このことがファン・ボメルの背中について争われていたら大問題だった」
「私はルイとは話をしていないが、彼はこの件に関わっていないことは知っている」
「試合前にかなり騒ぎになった。ファン・ボメルが良いプレーをしたのに私は驚いている。試合中にはディルク・カイトの怪我もあった。深刻なものに見えたよ。モルドバ戦もかなりハードだった。この試合はプロフェッショナルにやり終えただろう」
「まだ何も決まっていない。我々はWK後のハードな4試合に勝ったが、それは簡単なことではない。我々は良いステップを踏んでいるが、まだ目標に到達したわけではない」
マルク・ファン・ボメル
用心のために終盤に交代。
「誰でも雇い主の事を少しは気にししなければならないだろ。でも膝に問題は無かったんだ。月曜には特別にMRI検査までしたんだ。それでプレーできるという確信があった。すでにバイエルン・ミュンヘンでこの膝で3,4週間プレーしているからね。モルドバ戦で普段よりも膝が厚い感じがしたが、プレーできたのは間違いない」
KNVBとバイエルン・ミュンヘンの衝突については「私はその中間だから、何も言えない」
クラース・ヤン・フンテラール
「ファン・バステンのゴール数のことはもちろん分かっていたよ。24ゴールは素晴らしいけど、僕らがこのプレーを続けていけばもっと得点を重ねられるはず。でもゴール数だけに拘ってはならない。それは逆効果だ。もしスウェーデン戦のようなフットボールをしていけば、チャンス自然とやって来る。そしてゴールもね」
「僕らは見事な攻撃が何度もあった。チャンスも多かったし、いまはとても上手くいっていると思う。本当に全てがスムーズにいっている」
満面の笑顔だったスピッツだが、南アフリカでのWKをお振りかえることが無いのか質問すると笑顔が消えた。
「それは秘密だ。そのうちいつかね。でも今は何も言わない。僕は次のトーナメントであるEKを楽しみにしているんだ」
このスウェーデン戦よりも良かった試合を思い出せる?
「僕のデビューだったアイルランドとのアウエー戦も素晴らしい試合だった。あの時の僕らのプレーは本当に良かった。でも多分試合全体では今日の方が良かったんじゃないかと思うよ」
この4試合の8得点の内、どれが一番良いゴールだと思う?と聞くと長く考えて
「それは本当に分からないな。全部良いんじゃないかな」と言って笑顔のまま走り去った。
ディルク・カイトは数ヶ月の離脱
試合中に病院へ運ばれたカイトは足首の靱帯断裂と見られ、今年中の復帰はできないと予想される。
http://www.telegraaf.nl/telesport/voetbal/7910009/KUYT_MAANDEN_BUITENSPEL.html
完全にゲームを支配した、という訳ではないですし、相変わらずシュート数も少ないですが、十分コントロールして魅力的なフットボールをした時間帯にしっかりゴールと、美しさと効率の良さを兼ね備えたこのチームらしい快勝。クライフが何と言うか知りませんが、とりあえず「モーイ・フットボール」を求める外野の声に答えを出したと言って良いんじゃないでしょうか。守備面でトイヴォネンをつかみきれず苦労してたのがちょっと気になりましたが、ほぼ文句なしの素晴らしい勝利です。カイトの重傷以外・・・
ファン・デル・ファールトは攻守共に非常に存在感を出してました。ファン・ボメルはボールタッチが少ない中でしっかりとボールを繋ぎ、ファン・デル・ファールトは多くボールに触ってその中で勝負手のパスも出せるという良い関係に。左サイドでピータースのボールタッチも多くなるので、彼がもう少し良いボールを出せるようになるとさらにチームとしてフットボールができるようになるでしょう。
CBコンビは安定してました。ステケレンブルフはキックミスが多かったような。スナイデルは最高の出来。素晴らしいです。ファン・デル・ヴィールはあまり仕事せず無難にプレー。というか前半ステケレンブルフに怒られた印象が大きい。レンスとはまだ連携取れてないでしょうね。レンスは右ウィンガーとしても思ったより良かったですが、やはり本領は中に入ってからの予測不能な動きにあるかと。あとシュートは相変わらず下手。
アフェライはようやく初ゴールと、さらにアシストと2得点目も決めてやっとクオリティを見せつけてくれました。まだ周りに伸び伸びやらせて貰っている状況ですが、ここからチームの中心になっていって欲しいものです。フンテラールは今日もお疲れさま。
ブラマはやっぱりまだこのレベルじゃない気がしますが、デ・ゼーウでもスハールスでもなくブラマを出したというのがこのポジションの手薄さを物語ってます。
EK予選は年明けから再開。その前に南アフリカのオランイェがつまらなかったらしいヒディンクのトルコと親善試合。カイトはいません・・・。ファン・ペルシは戻ってこれるんじゃないかという話も。再びウィンガーに戻るかフンテラールとスピッツを争うのか。