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VAR制度教材: 判定理由の見間違いを防ぐためのon-field-review in J League

北海道コンサドーレ札幌 - 清水エスパルス ロスタイムに得点機会阻止ファールによってレッドカードと清水エスパルスペナルティキックが与えられたが、VARが介入、映像を見た主審は16m外でのファールとしてレッドカードはそのままにペナルティキックを取り消してフリーキックに修正した。

youtu.be

 

ファール位置は事実に基づく判定であり、「主審が映像を見に行く必要は無い」というのがprotcolの規定だが、なぜ主審は映像を見に行ったのか?幸運にもこの試合でVARを務めていた家本 政明 (通称いえぽん)が自らtweetしている。

 

 

つまり「相手を掴んでの反則か相手を蹴っての反則か」、そして「16m内か16m外か」で4つの可能性がある状況で、主審は「16m内」で「相手を掴んでの反則」と判定していたという事だった。そして前提として、この場合16m内で足を蹴っての場合のみ、ボールにプレーした結果としてRCがYCに軽減される。こうした2種類の可能性がある反則のどちらで罰するかによる場合に起きる可能性があるのが「判定理由の見間違い」だ。

 

例としてより想定しやすい状況は、主審は16m内での相手を蹴っての得点機会阻止の反則でYCとペナルティキックを与えたが、実際それは誤審では16m外での相手を掴んでの得点機会阻止の反則でRCとフリーキックだったというものだろう。この場合、主審は判定理由を見間違えているため、主審が見逃していた最低限の「相手を掴んでの反則」が主審の基準で反則かどうかが問題になる。

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但し今回のケースだと、主審が取らなかった「相手を蹴っての反則」がそれ自体 議論の余地無く明確な反則で成立している。「相手を掴んでの反則」も分かりにくいが、100%の間違いでは無いとVARが判断すれば、どちらにせよ反則自体は成立し、その場所だけが問題になるため、主審が映像を見に行く必要は無かったということになる。

 

今回のケースでやや特殊なのは、映像を見ると「相手を掴んでの反則」の後に「相手を蹴っての反則」が起きていることに思える。「相手を掴んでの反則」が16m外なのは非常に明らかで、より問題なのは掴んでいた手が離れた後の「相手を蹴っての反則」が16m内かどうかだっただろう。つまりVARは主審が(おそらく)見逃していた反則が中では無く外と判断して介入する事になり、それも映像から明確に外ではあるが、最終的に主審が見逃していた反則で介入することになるために主審に自ら映像を見ることを勧めたと推測ができる。もちろんいずれにせよフリーキックの位置は大して変わらないのだから「反則自体が中か外か」だけなら主審が映像を見に行く必要は無いというシンプルな考え方も妥当であり、protcolを厳密に読めば今回のやり方は拡大解釈という印象も十分持てる。一方でUEFAがそうしているように、こうした判定理由が問題になる可能性がある場合に (上記のように実際には問題になっていないのだが)、VARが介入できるようにするというやり方も選ばれており、今後さらに一般的になっていくかもしれない。審判団以外には「なぜ主審が映像を見に行くのか」が非常に分かりにくいが・・・

 

追記)

主審が選べる選択肢を確保する

この場合はスクリーンの前で主審がどんな選択肢を選べるかを考えた方が分かりやすいかもしれない (手が離れてから足下の接触があったという前提)。

1. 16m外で「相手を蹴っての反則」でRCとフリーキック

2. 16m内で「相手を蹴っての反則」でYCとペナルティキック

3. 「相手を蹴っての反則」は無く、16m外で「相手を掴んでの反則」でRCとフリーキック

4. 16m内で「相手を掴んでの反則」でRCとペナルティキック

5. 「相手を蹴っての反則」も「相手を掴んでの反則」も無く、ドロップボールで再開。

 

この内 基本的に主審がスクリーンの前で立つことによってのみ生まれる選択肢 (フィールド上で「相手を蹴っての反則」が見逃されていたと仮定した場合) は、2と5だ。1については反則の種類で判定自体は変わらないため、結果的には主審が映像を見に行かなくても選べる選択肢となる。

 

フィールド上の審判団 (特に主審)が見逃した出来事について、なるべく選択肢を提供するというのはやや広義なprotocolの解釈だが、世界的にはこの方向に進んでいるかもしれない。

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