オランダ代表に一体感がないのはずっと感じていた。それは各選手のクラブチームでの状況なども関係しているだろう。彼らは約2年前にWKのフィナーレまで勝ち進み、敗れた相手は当時世界最高のチームだった。だから彼らは自分たちはとても良かったと信じ、ほとんど誰も彼らに反対しなかった。メディアも、監督たちも、彼らの家族も、みんなが彼らの言うことに口を合わせていた。
だがスタメン選手の大部分が変わらない一方で、多くの選手たちの状況が変わった。先の大会と違うのは、セレクション内にイングランドとドイツのトップスコアラー、ファン･ペルシとフンテラールがいることだ。それは他の選手たちとの関係を違ったものにし、彼らの立場を大きくした。
EKまでに立場が変わった選手たちは他にもいる。たとえば怪我をしていたスナイデルはインテルでは良いプレーができなかったが、そういう状況で大会に入った者は何かを勝ち取らずにはいられないもの。私はスナイデルはピッチ内外で彼本来のレベルに到達したと思う。リーダーであり、リラックスし、必要なだけで緊張感も持っている。いつ何が必要かも彼は理解している。
彼以外が本来のレベルにないのは映像を見て明らかだ。ファン･ペルシの立場はこの数日間で再び弱まった。彼はWKでは本当に良くなかったが、それは彼だけのせいではない。ほとんどボールが来なかったからね。今のファン･ペルシは遙かにマシだが、残念ながら彼を取り巻く議論の犠牲になった。監督があれほど彼をディープ･スピッツとして起用するのに固執したのも、あの議論と無関係ではない。多くのゴールを保証してくれるフンテラールも手元にいるのだからね。
両スピッツについての騒音は一時的に減っていったが、そもそもテクニカル･スタッフとしてああいうことを起こしてはいけなかった。ベンチに座っている選手たちの多くはいつも浮かぬ顔をしている。エゴを取り払うようにと何度も求められたが、結局そうはならなかった。カイトのような忠義者まで今回は控えの役目に満足していない。一体感はここまで消えてしまったんだ。今やこれが若者たちまでに悪影響を及ぼさないように注意する必要があるだろう。
イェトロ･ヴィレムスを例にして話そう。選手たちはドイツ戦で何度も彼を見殺しにした。スナイデルもアフェライも走り去り、左サイドに大きなスペースを作っていたためにドイツ人たちは我々の左バック相手に狙いを付けて二人の選手を当てることができたんだ。重箱の隅を突くようなことが私の本意ではない。この左バックは我々がWKフィナーレに進んだ時にはいなかったのだから、今のチームがこれほど悪いことに責任はない。問題はいまはみんながチームよりも自分自身のことに夢中になりすぎているのが見えることだ。
私はこういうEKは過去にも見てきた。1976年、1978年、そして1990年もその前の大会での好成績から一転して酷いパフォーマンスになった。1976年、私はクライフに絶対に必要と求められたが、当時のボンズコーチ クノーベルの酷さに嫌々だった。彼のためにチームはどんどん酷くなっていったんだ。あんなことが起きうるなんて本当に残念だった。
同じ事が今まさに起きているんだ。選手たちの関心事はバラバラ。彼らは後に自分たちの頭の中に欠けていたものに気づいて後悔するだろう。彼らが口にしている一体感こそが、まさにそれなんだ。
