混戦で迎えた最終節のドラマというのはどこの国のリーグでも語り継がれるものがありますが、エールディヴィジでは2006/2007シーズンがそうでした。
このシーズンも二連覇中のPSV(監督はクーマン)が前半戦圧倒的な強さで首位を走るものの、後半戦に入り守護神のゴメス、守りの要のCB アレックスらが負傷離脱するとまさかの守備大崩壊。コクーがCBに入って奮闘するも失点は止まらず、さらのFWのコネも負傷でチームは大不調。一方アヤックス(監督はテン・カーテ)は後半戦に入り、ベテランE.ダーヴィッツの加入を起爆剤に一気に調子を上げ、スナイデルをトップ下に入れたことで得点力がアップ。第29節のPSVとの直接対決にフィリップス・スタディオンで1-5という歴史的大勝。AZ(監督はファン・ハール)も持ち前の美しいパスサッカーでシーズンを通して3位以内をキープし続け、PSVとは逆に終盤には怪我人も戻り好調を維持。
第28節を終えてPSV 67pts、AZ 59pts、アヤックス 59ptsという差があったのが、第31節を終えてPSV 68pts、AZ 66pts、アヤックス66ptsと大混戦。残り4試合で週末は一日ごとにめまぐるしく順位が入れ替わる混沌とした状況・・・。
そして迎えた第34節最終節(ここまでも本当にいろいろあったんですが)。順位はこうなっていました。
1位 AZ 72(+53)
2位 アヤクス 72(+47)
3位 PSV 72(+46)
なんと3チームが72ptsで並び、得失点差で大幅に上回るAZが首位。
残り2試合で自力優勝のところまでいったPSVがユトレヒトに痛恨のドローで他力本願に。怒りのPSVサポーターはクーマン解任運動を始める騒ぎ。
そして最終節のカードはこうでした。
エクセルシオール - AZ
AZの相手はすでに入れ替えPOが決まったロッテルダムのスモールクラブ、エクセルシオール。得失点差で大きなアドバンテージがあるAZが余裕を持って勝利で久々の優勝を祝うと見られていました。
運命の2007年4月29日。全試合が同時開催されたわけです・・・
http://www.youtube.com/watch?v=8DVRJu161sU
時系列にテキストにするとこうなってました
前半8分、10分に立て続けにPSVが得点。13分に1点返されるがこの時点で唯一リードしてるPSVが暫定首位
前半18分にAZのGKワーテルマンがペナルティエリアで相手を倒してしまい一発退場。PKも決められリードを許す。
前半19分にアヤックス エマニュエルソンがゴールを決め。アヤックスが暫定首位に。
前半23分にAZ チョマーの直接FKで追いつく。
そのまま前半が終わりアヤックスが暫定首位
後半14分、20分に立て続けにPSVが得点し。得失点差でPSVが暫定首位に。
後半22分アヤックスがフンテラールの得点でアヤックスが再び暫定首位。
AZは後半15分に失点するが後半25分に追いつく。さらにエクセルシオールに退場者が出て10人対10人に。
リードすれば首位に立てるAZだがロスタイムに失点し万事休す。PSVが逆転で優勝。
で、最終順位は
PSV 5-1で 75pts +50
アヤックス 2-0で 75pts +49
AZ 2-2で 73pts +53
最後の最後にコクーが決めた執念のゴールが物を言い、PSVが大大逆転の三連覇。アヤックスファンからすると、「コクーのゴールで負けたのなら仕方ない」というところでしょうが、AZファンからするとこの一日はまさに悲劇。ファン・ハールの呆然としているシーンは現在もエールディヴィジライヴの放送でよく使われてますが、心が痛みます。
ちなみに最後の方で各監督のコメントしているところが映りますが、アヤックスのテン・カーテは素直にPSVを讃えているのに対し、AZのファン・ハールは記者の質問に「クーマンを讃えたいのなら、あなたがやればいいだろう」と一蹴(この2人は仲がよろしくないのですが、その話はまた今度)。
そういえば、このシーズンはGOARAでエールディヴィジ中継をやっていまして、2chの海外サッカー板のEredivisie~エールディビジ総合スレ~もかなり盛り上がってました(改めて見返すと明らかにいまよりも人が多い)。サッカー実況板での実況も最終節は凄かったですね。今でもログを取ってありますが。エールディヴィジスレも実況スレも、AZファンの阿鼻叫喚とアヤックスファンの歓喜から絶望への転落。試合後のエールディヴィジスレはコクーさんを讃えるレス、またPSVかよ!というレス、そしてフィテッセを罵るレスがしばらく続きました・・・。
まぁ、それもすぐに落ち着いて、みんなで「エールディヴィジ万歳!PSVおめでとう!」となったのがエールディヴィジスレの良いところです(笑)