アメリカの投資銀行 Goldman Sachsはフェイエノールトのニュー･スタディオンに投資したいと望んでいる。この議論の的の金貸しはオランダ･フットボールで何をしようとしているのか？そしてなぜフェイエノールトに話を持ってきたのか？
80年の歴史を持つフェイエノールトの伝説的スタディオン デ･カイプに先週10以上バナーが掲げられた。422milの費用が掛かるニュー･スタディオン建設プランに反対する‘Stop Feyenoord City', ‘We love De Kuip.’, そして‘Goldman Sucks.’.
Greg Carey (57)はこれを笑えなかった。世界最大の投資銀行の一つ Goldman Sachsのスポーツ投資の責任者である彼は、40以上のメガ･プロジェクトを経験してニュー･スタディオンが感情を揺さぶる問題だと知っている。「変化を受け入れがたい人々はいるもの。それは構わない。しかしGoldman Sucks? 彼らの怒りは主にプランに対してで、我々に対してでは無いはずだ。フェイエノールトにニュー･スタディオンが必要とは我々は考えていない。我々は自分たちに利益になることをしているだけ」
疑わしいローン
アメリカのスポーツ投資分野における絶対的権威者 Careyはほとんどインタビューに応じないが、今回は答えた。ロッテルダムで泡が溢れているのをGoldman Sachsの人々も知っているからだ。この銀行がフェイエノールトのニュー･スタディオンの世話をするというニュースはロッテルダムでこのプランに対してずっと眠っていた批判を先週突然爆発させた。この投資銀行は2008年以来アメリカの投資セクターでのあらゆる失敗の象徴であり、数え切れないほどの疑わしいローンによって信用危機の根源となっている。フェイエノールトがメガ･ロマン･プロジェクトによって自ら潰れるという不安はこのニュースによってさらに大きくなる一方だ。なぜフェイエノールトはオランダの銀行とやろうとしないのか？そして何よりも、Goldman Sachsはオランダ･フットボール界で何をしようとしているのか？
最大勢力
まず後者から始めよう。アメリカ人たちの欧州フットボール･セクターへの関心はかなり前からあった。「Goldmanはアメリカではスタディオン投資の分野での最大勢力。この種のプロジェクトでは最も力を持っている」と話すのはアメリカのStanford Universityのスポーツ経済学教授 Roger Noll. この企業はかなり前からスタディオンの運営者たちが純粋な資金不足、税金をスポーツクラブに使うべきでは無いという市民からの批判によってニュー･スタディオンの投資を得るのに苦しんでいるのを目にしていた。Goldman Sachsは行政を後回しにして話を進めるステップを決め、それに成功した。
Greg Careyは2004年以来 スタディオン部門の責任者であり、主にVSで40のスタディオンの投資を行っている。それらの取り引きの中にはSan FranciscoのLevi’s Stadiumに1,3bilドル、ベースボールクラブ New York Yankeesのニュー･スタディオンに1,6bilドルとフェイエノールト･シティに近い規模のものもある。
時代遅れのスタディオン
いまGoldman Sachsは数十の大きなクラブが時代遅れのスタディオンでプレーしている欧州に仕事場を移そうとしている。Tottenham Hotspurのニュー･スタディオン(860milで現在建設中)を除けば、フェイエノールト･シティはGoldman Sachsの名声を確かなものとする欧州での最初のプロジェクトの一つになるはずだ。Carey:「私は自分の名前で40のスタディオン建設に関わり、たった一つも失敗していない。後者はこれからも維持したい」
Careyはロッテルダムに来るのが3回目。市長 アブタレブと市議 フィッセルと会い、フェイエノールト･シティのプラン制作者たちと広範囲の話をしてきた。彼らは昨年すでに金銭面の請求も含めてスタディオンプランを発表しているが、Goldman Sachsがそのプランを神聖なものは見ていないのはCareyの言葉から明らかだ。「我々はまだプロセスのスタート段階。大きくなりすぎないか？どれくらいの席が必要か？どれくらいビジネス席を無くせるか？についてプラン全体を一歩一歩進めているところ。我々はクラブの可能性に見合ったモノを建設するためにフェイエノールトを助けたいし、財政的に健全なプランであることは確信したい。クラブが贅沢できなくなるような冒険を我々がさせるという心配をしてもらう必要は無い」
最後の部分はまさにフェイエノールト･ファンの大きな不安だが、その点はロッテルダムの人々が心配する必要は無いとVanderbilt Universityのスポーツ経済学教授 John Vroomanも同意する。「Goldman Sachsはこのプロジェクトでどんなリスクも負わない。彼らは自分たちの取り引きにおいて最悪のケースのシナリオから考えるんだ」。最も重要な理由として、彼らは年に2，3のスタディオン･プロジェクトしか行えず、たった一つの大失敗でも他のクラブがGoldmanとの仕事を避けるという結果を招きかねない。特にこの銀行が欧州のフットボール市場に踏み入れようとしている今は、ロッテルダムでの金銭的悲劇はこのアメリカ人たちが最も望まないものだ。
良い選手たち
しかしそれはクラブが大きな金額の保証も得たという意味ではない。フェイエノールトにとってニュー･スタディオンを建設する最も重要な理由は、クラブが良い選手たちを獲得するより多くのお金を継続的に持ちたいと望んでいるからだ。「しかしそれはGoldmanにとっては最重要では無い」とStanfordの教授 Roger Noll. 「ローンを安全に組むために必要なのはクラブが生き残らなければならないということだけ。Goldmanの財政分析はクラブが破綻せずにしっかりローンを支払えるという点に集中している。しかしどれくらいの収入かは誰にも約束できない。Goldman Sachsにもだ」
スタディオン･フェイエノールトの財政ディレクター カール･ベルフはクラブにとって利益が確実では無いことも認めている。「最も楽観的なモデルで、スタディオンは選手予算に年間7milのプラスαをもたらす。しかし我々はそれ以上を期待しているし、それ以上になると予想している。GoldmanとISGの新しい評価結果でもっと多くの事が分かるだろう」
アメリカのクラブはほとんどが新しいGoldmanスタディオンによって前進したが、常に全てが願いどおりいっている訳では無い。1,3bilドルで68.000席の多目的施設 Levi’s Stadiumを例に挙げよう。一見するとプロジェクトは成功であり、アメリカン･フットボール･クラブ San Francisco 49’ersは最初の1年で収入が160%上昇した。
しかしそれは主にシーズンカードを買う権利であるパーソナル･シート･ライセンスの売り上げによるものだった。全ての席が一度だけ5000ドルの収入をもたらし、投資家たちと530milを分け合ったが、それは席がもう本当のファンのものでは無くなり、クラブが度々半分空席のスタディオンでプレーするという別の結果ももたらした。銀船団は港に入ったが、雰囲気は失われたのだ。
お金になる"シート･ライセンス"の導入がロッテルダムでも選択肢になるのか？それについてCareyはまだ語ろうとしない。「我々はまだプランのスタート段階。今はそういう敏感な話は何も言えない」
GSとフェイエノールトとの金銭取り引きはまだ明確ではないようにも見える。現時点で繋ぎ融資の金額は17,5milだけだ。財政ディレクター ベルフ：「本当に一緒にやることになれば、Goldmanは他の財政団体と協力することになるだろう。オランダの関係団体もその中で役割を果たすことになる」
各財政団体はそれぞれの長期ローンにかつてない利益率を求めるだろうし、Goldmanもこのプロジェクトの監督という立場に相応の金額を要求するだろう。両者ともにその金額を口に出そうとはしない。
混乱
ベルフはこの数週間の今案を驚きの思いで見ている。「我々はいくつもの選考プロセスを経てGoldman Sachsを選んだ。全ての団体の中で特に経験という面でダントツでベストだったんだ。我々はイメージは気にしていないし、ベストのオファーを選んだ」と語るベルフも批判には一部理解をしている。「例えばデ･カイプがローンの担保に充てられるというところから起きている混乱があるが、我々は1994年の改築の際もそうしていた。当時それに対しての批判は全く聞かなかったし、これは至極普通の取り決め。だがデ･カイプの維持のために強力なロビー活動があるのは受け入れなければならない。我々は無茶な冒険を行う訳では無いということを説明し続けるしかない」
衝撃
さらにもう一つの疑問は、ロッテルダムは何を得るのか？だ。自治体はデ･カイプ周辺の地域の発展が刺激をもたらすというのを主な理由に、このプロジェクトに135milの投資をしようとしている。しかしそこにあまり期待はできない、とVroomanとNollの両教授。「金額はこれから変わっていく分野であって、こうした約束はほとんどそのとおりにはならない」とVrooman. 「新しい世代のスポーツ･エリアはいま正に建設されており、その施設内で人々がお金を落としている。それこそが成果だ」。さらにVroomanはGoldmanは税法の抜け道を見つける点で傑出した存在として知られていると語る。「Goldmanと海に出たほとんどのクラブは税金の面で上手く得をしている」
Goldmanのトップマン Careyは市がニュー･スタディオンによって利益を得ると確信しており、Vroomanの話を「全く正確なものではない」と言う。「我々は常にルールを守っている」
https://www.ad.nl/binnenland/waarom-goldman-sachs-een-kuip-wil-bouwen~ab9b768b/
