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VAR in J League Cup: そもそもルール通りだったのかの話

9月4日、8日のJ League CupでのVAR ライブテストを受けて、YouTubeの『Jリーグジャッジリプレイ番外編』でJFAの扇谷 健司が説明。ただ最初から論点を「OFRをする条件」、「APPの判断」、「オフサイドの旗を遅らせる判断」に絞っていたために、それ以前の『根本的なルール』の部分が完全に無視された結果に。

 

https://www.youtube.com/watch?v=8em-_twRjPY

 

G大阪 - FC東京 47分のケース
ゴールライン上でボールがバウンドし、得点が認められるもVARの介入で主審がOFRを行った結果。得点取り消し。

 

ビデオ判定において最も重要なルールは「主審が下した判定は、ビデオ・レビューがそれを 'clear and obvious error'であるとはっきりと示さない場合を除いて、変更されない」というもの。このケースでは「OFRをしたのが適切だったかどうか」に話が進んでしまったが、扇谷はその説明に際にこう語っている。

 

「モニターの中(おそらく「モニターの前」の意味)に行くと凄く追い込まれる状況になる。本来はVARが映像だけで判断できないのであれば、副審の判定をフォローするしかないけれど、この状況では見に行かせたというのは理解できる」

 

つまりこのケースが「VARが映像だけで('clear and obvious error'かどうか)判断できない」状況だったということを認めており、判定が修正されたのはルール通りの「明確な証拠』に基づくものではなく、映像を見た主審の想像力に拠るものでしかない。これはフットボールにおけるビデオ判定の根本に違反したケースだった。

 

名古屋 - 川崎F 11分のケース
オフサイドのシーンからそのまま攻撃が続いて得点が認められるも、VARの介入でオフサイドに。

 

このケースの説明は「オフサイドがAPP内だったかどうか」、「旗を遅らせる判断」の話に集中したために最後までハッキリしないが、会話の流れから副審はオフサイドを認識した上で旗を遅らせる判断をしたという結論付けておそらく良いだろう。扇谷も「普通だったら上げている。それが上げられなくなる。その時にどうしたらいいか分からなくなるというのが課題」と説明していることから想像すると、副審は旗を遅らせる判断をしたが、そこから攻撃がゴールに向かわない形でプレーが続いたことで旗を上げるタイミングを判断できず、最終的にボールがゴールに入ってもオフサイドの旗を上げずに得点が認められたということになるだろう。

 

ビデオ判定において最も重要なもう一つのルールは「ピッチ上の審判団はプレーが止まるまではVARの存在を忘れて常に判断を行わなければならない」というものだ。VARがいることからオフサイドの旗を遅らせ、その結果本来上げるべき旗を最後まで上げずに一旦得点を認めたのは本末転倒で、判定制度上の非常に重大なミス。仮にこのケースで映像からオフサイドかどうか判断が難しかったのなら、副審が認識していたオフサイドの旗を上げなかったことでVARは介入できずにそのまま得点が認められることになる。これはVARがいる試合で副審が最も犯してはいけないミスだ。