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2019-2020シーズン ビデオ判定まとめ

VAR制度が導入されて2年目の2019-2020シーズン。1年目同様に多くの話題と議論を呼んだが、その内容は多少異なっていたようにも感じられた。

 

2018-2019シーズン ビデオ判定まとめ

https://mijnfeyenoord.hateblo.jp/entry/2019/05/18/234626

 

KNVBによる発表

・Eredivisie 232試合でvideoscheidsrechter (VAR)の介入は58回 (約4試合に1回)。

・58回の介入の内 51回で正しい判定が行われ、1回のケースは疑問が残り、6回で正しい判定にならず。47回scheidsrechterがサイドで映像を確認 (OFR)。232試合で20回VARがすべき介入をせず、8回のケースで判定の正しさに疑問が残る結果に。

・strafschopmomentenでVARの助言が無くstrafschopが不当に与えられなかったケースは11回。4回のケースではVARが助言すべきだったか疑わしく、VARによってstrafschoppenが正しく与えられたのは19回。
rode kaartsituatieで与えられるべきVARの助言が与えられなかったミスは7回。VARの助言でrode kaartenが正当に与えられたのは12回。

(https://www.foxsports.nl/nieuws/artikel/3252277/videoscheidsrechter-greep-bij-eredivisie-wedstrijden)

 

独自集計 (若干漏れあり)
232試合: ビデオ判定による修正/VARの介入 53/57回 (4,07試合に1回の介入. 186試合80%の試合で介入無し)
OFR実施 40回 (5,8試合に1回. 判定が修正されたのは36回. 90%)

・ゴール対象の介入 12回 (+3/-9) (OFR回 +0/-7) (OFRで却下された助言 0)
・penaltyのやり直し4回 (攻撃側の違反2回・GKの違反1回・守備側の違反1回) +やり直し判定の撤回1回
・penalty対象の介入 22回 (+18/-5) (OFR回+17/-4) (OFRで却下された助言 +1/-1)
・レッドカード対象の介入 17回 (+17/-0) (OFR回+17/-0) (OFRで却下された助言 +3/-0)
(選手誤認対象の介入 1回)
(上記得点機会阻止によるPKかつレッドカードの介入が1回あり)

 

昨シーズンとの比較
試合数が違うため、今シーズンの数値を1,32倍 (306,26試合)して比較。
ビデオ判定による修正/VARの介入 91→70 / 100→75 (3,06試合に1試合の介入→4,07試合に1回の介入)
OFR実施 67回→52,8回 (4,57試合に1回→5,8試合に1回. 判定が修正されたのは56回. 84%→47回. 90%)

・ゴール対象の介入 32回→16回
・penalty対象の介入 43回→29回
・レッドカード対象の介入 27回→22回


VARの介入頻度が大きく減少したのは数字を見ても明らかで、これは選手側の意識の変化というよりも「明確な場合のみ介入する」という大原則をVAR側がより守って控え目になった結果と言える。実際昨シーズンの前半から後半に移った時点で数字の変化は目に見える形で現れてきており、2年目はシーズンを通して1年目より介入頻度が減ることは容易に想像できた。

 

ただその一方でほとんどの人が「明確な誤審」と思うシーンで、VARが慎重になって介入を控えたことで、明確な誤審が見過ごされるという出来事は明らかに増えた。日曜の夜にZeistからWiedemeijerやVan Egmondが誤審を認めるケース、提示されたレッドカードが試合後aanklagerによって取り消されるケースが度々出たことが、今シーズンを振り返って大きな課題と言える。

 

・VARが介入しなかった主な誤審
第2節 Sparta - VVV: Spartaの2-1の得点前にHarrouiがファール(duwtje)もBlankが介入せず

https://youtu.be/IY1LZx5Kwq4?t=515
第2節 FC Groningen - FC Twente: LundqvistへのレッドカードでKooijが介入せず

https://youtu.be/XVlOIhIg39o?t=366
第4節 Heracles - Vitesse: Dessers の1-1の得点前にファール(duwtje)もNijhuisが介入せず

https://youtu.be/eydDvMzebbg?t=531
第5節 ADO - VVV: 16m内でKumがNecidを倒すもノーファール判定でBaxが介入せず

https://youtu.be/GuPmuMf53RY?t=126
第7節 Feyenoord - AZ: BerghuisのファールにイエローカードでMakkelieが介入せず

https://youtu.be/rtjIDabtRTw?t=412
第13節 Willem II - PSV: Dumfriesが16m内で倒されるもノーファール判定でBijlが介入せず

https://youtu.be/d2nfdj35HgY?t=451
第23節 Fortuna - FC Emmen: Cissが16m内で倒されるもノーファール判定でNagtegaalが介入せず

https://youtu.be/AnI6ZtM-Yv0?t=195

 

但し前提として忘れてはならないのは、VARは迷うなら介入すべきでは無く、VARには迷う権利があるということ。VARが介入するのは迷うこと無く明確な誤審と確信を持てるシーンだけであり、その大原則を守る以上、こうした介入されない誤審が生まれるのはある程度やむを得ない。昨シーズン前半の「明確な誤審では無いのに介入が起きる状況」よりは、「明確な誤審が見過ごされる状況」の方が遙かに健全だ。そしてこの原則を守った上で、今後ビデオ判定の経験を積んだ審判たちがどれだけ明確な誤審を正確に判断できるか、選手、観客がVARに迷う権利を認めてより寛容になることが次のステップになるだろう。

 

・VARが介入した主な誤審
第11節: sc Heerenveen - FC Groningen: Kooijの介入でZeefuikのhandsbalを取ってpenaltyに

https://youtu.be/lK0Os33uY_w?t=350
第17節 ADO - FC Groningen: Martensの介入で肘打ちによりZeefuikにrode kaart

https://youtu.be/K4t-BNJPk9o?t=389
第24節 Feyenoord - Fortuna: Bozenikが16mで倒されてVan der Eijkの介入でpenaltyに

https://youtu.be/IxyRQB0LKSA?t=411

 

残念ながら今シーズン最大の敗者は若手のJoey Kooijで、主審としてもVARとしても重大な判定ミスに絡み、特にFC Groningenに怒りを買う結果に。

 

審判員の起用

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・Replay Centerから消えたKuipers
昨シーズンも多くは無いものの5試合VARを務めていたKuipersが今シーズンは0回と完全に姿を消した。怪我をしていたシーズン序盤も担当しなかったことから、キャリアの終盤に仕事を選んでいると思われる。


・雇用機会がより均等に
昨シーズン Blomが17試合、Makkelieが14試合、Manschotが15試合など多く務めていたが、軒並み回数が大きく減少。topscheidsrechter組で頻度を維持したのはVan Boekel 12試合、Kamphuis 13試合のみ。一方で目立つのはDieperinkの17試合とRupertiの15試合という数字で、前者は怪我でピッチを離れていた影響もあるが、どちらもVARとして高い評価を受けている証だろう。