Mijn Feyenoord

Feyenoordを中心にNederlands voetbalを追いかける

2014/2015シーズン前半戦、だいたいのまとめ

ブラジルでのWKでエールディヴィジのタレントたちが活躍、その後国外に去って迎えた2014/2015シーズン。予想通り新たなタレントたちの台頭で賑わい、欧州でもフェイエノールトが久しぶりに冬越えを果たすなど、オランダ・フットボールにとってポジティヴな出来事の多い前半戦だっただろう。エールディヴィジでは今シーズンもヴィレムIIエクセルシオールといった昇格勢が好印象を残し、PEC、カンブールといったクライネ・クラブも上位に躍進。ただ全体的には上位陣のgdgdによる近年の低調なカンピューンスハップ争いから、トラディツォネール・トップ・ドリーが7年ぶりに3位までを締めたようにフロート・クラブが安定した成績を残して他のクラブとの差を広げたと言える。特にPSVが17試合で43ptsを稼うだことは、久しぶりに高い勝ち点でのカンピューンになる予感を抱かせる。残留争いでは4,5チームが僅差で争った昨シーズンから一転、ドルドレヒトが大きく差を付けられており直接降格は濃厚。ただそれ以外はまだどこが入れ替え戦行きになってもおかしくなく、こちらは最後まで盛り上がるはず。

 

この数ヶ月の大きなトピックとしては、実に6クラブが人工芝を持つというこれまでに無い状況から人工芝と天然芝の問題が連日のように話題に。ファン・ヘールがプロ・フットボール・ミーティングで提案しようとした「人工芝撤廃案」は見込みが無く挫折したが、各クラブの芝の現状についてプロ・フットボール全体で調査、今後検討していくことが決定されたため、良い方向に向かうことを期待したい。また、大きな話題にはなっていないが、今シーズンからイエローカードの累積による出場停止が5枚、10枚という区切りになり、ファールの増加が懸念されたが、以外にもリーグ全体のファール数が減少したことは嬉しいサプライズだった。

 

1 PSV 43pts 14勝1分け2敗 得点48失点14

昨シーズンの失望からしっかり教訓を得て43ptsというエールディヴィジでは久々の高い数字でのウィンタースカンピューンに。DF陣が相変わらず脆いものの、チームとしての一体感が高まったことで、かつてのようなしっかり守ってカウンターというスタイルでパフォーマンスを安定させることに成功。グアルダードは期待に十二分に答えてエールディヴィジではトップレベルのパフォーマンスを見せ、ヘンドリクスもコントローラーとして成長したことでマヘルの調子に悩まされることは無くなった。ルーク・デ・ヨングはスコアラーとしてはかつての姿を取り戻せていないが、ポストプレーではさすがのプレーを見せており、どこからでも万遍なく点が取れるチームに。デパイは本調子でなくとも決定的仕事ができうる存在であり、攻撃面でのヴィレムスの活躍は凄まじいレベルにある。セレクションの質と量では他チームを圧倒しており、冬の市場でとんでもないことが起きない限り、現有戦力で今シーズンのカンピューンスハップ奪回はまず間違いないと言っても問題無い。

 

2 Ajax 39pts 12勝3分け2敗 得点43失点17

近年でも最も力を落としたセレクションながら、珍しくシーズン前半に39ptsを稼いで2位ターンは名実共にチームの顔になったシェーネの存在とただのタレントの粋を脱しつつクラーセンの存在、シクトルソンに悩まされ続けたスピッツ・ポジションがようやくミリクで落ち着きつつあることが大きいか。ただポジションプレーの面では非常に低調で、支配的なフットボールが思うようにできておらず、フェルトマンの不安定さも問題。例年シーズン後半に安定感を増して巻き返しているが、今シーズンのPSVが大きく落ちることはそうそう考えられない。逆に言えばデ・ブールにとっては存分に挑戦できる状況でもあるが。冬の市場では例のごとくユース選手を集めるだけで積極的に動かないだろうが、シンクフラーフェン獲得には前向き。

 

3 Feyenoord 31pts 9勝4分け4敗得点30失点15

主力数人と監督が入れ替わっての再スタートでカンピューンスハップを争うという目標を立てたシーズン。欧州ではSevillaをホームで下して冬越えを決め、長らく待ち望んだヘット・レヒューンに大きな喜びをもたらしただけでなく、オランダ・フットボールに全体にとっても2014年のハイライトの一つだったが、エールディヴィジではウィンターストップを待たずにカンピューンスハップを争うという目標が潰えたのは悲しい現実。戦力が揃いきっていなかったシーズン序盤に今シーズンも尽く勝ち点を落としたのは残念だったが、12月のAZ戦とPSV戦の重要な2連戦で1ptという数字とその内容を見れば、トップを争うチームにはまだほど遠い。それでもDF面ではファン・ベークとコンゴロの若手二人が期待に応え、サプライズ移籍で加わったフェルメールもオランダ最高のGKであることを証明。ラインを高く保ってのハイプレスという戦術採用から守備面は劇的に向上。18クラブで最もポゼッションしているデータが表すように、どのチーム相手でも果敢に前に出て主導権を取れている。フットボール面でもトールンストラを右サイドからフリーで中に入らせることで大きく改善されてきたが、懸案だったペッレの穴を埋めることができなかった。カジム・リチャーズがウィンターストップを前にしてポストワーカーとしてもフィニッシャーとして成長が見えてきているのはプラスだが、衰えたスハーケンが不動のスタメンから一気にセレクション外となり、ボエチウスもまだ本調子に届いていないために、崩しの場面で独力で違いを作れる選手が不在。マヌのパフォーマンスが高いレベルで安定するか、カジム・リチャーズとの連携が増すことでインマルスの得点ペースが戻るかしなければ勝ち点を積むペースを上げて上に追いつくことは難しいところ。冬の移籍で新スピッツが来る可能性はほとんど無く、スハーケンら構想外になった人材整理に。

 

4 PEC Zwolle 29pts 分け6敗 得点31失点21

ベーカーとJCスハールというクラブ史を塗り替え、さらに4位での折り返し。ベンソンとギオン・フェルナンデスの両スピッツ、さらにチームのポジションプレーの心臓部だったモコチョを失ってのこの結果は驚嘆する他無い。モコチョの穴埋めに獲得したリーンストラが予想以上のパフォーマンスを発揮し、ポジションプレーの質がさらに高まっているのだから、スカウトとヤンスの手腕は本当に見事。「Manchester Unitedより良いフットボールをしている」というファン・ヘールのコメントに間違いはない。セインズバリ-、ルコキという新戦力も健闘しているが、フィニッシュ面で決定打に欠けていた全チームとの違いはネシドの存在。しかしよほどの幸運が無ければこのウィンターストップでお別れになることはほぼ確定事項なため、後半戦はネシドのためにポジションを失っていたステフ・ナイラントが再びチャンスを得るだろう。今シーズンも序盤やネシド不在の試合ではポジション・プレーの面でネシドを上回る高いクオリティを見せており、後はイェスパール・ドロストと共にフィニッシュ面の向上が適えばトップ4でシーズンを終えて再び欧州へという夢も。

 

5 FC Twente 28pts 7勝7分け3敗 得点31失点21

ようやくコーチ・ライセンスを取得したシュロイデルのもと、モコチョとツィエクというリーグ有数のMFを獲得してかつてのようなフットボールで魅せられるチームを目指したが、この半年間もフロールシュ・フェステのスタンドからはブーイングが途絶えることは無かった。カスタイニョスがフィニッシュ面でようやく成長を見せた以外、他のポジションはほぼ全てクオリティ不足を露呈し、チームとしての一体感も無いため、クラブのチーム作りに理想以前の問題があると言わざるを得ない。唯一コローナがようやくポテンシャルを見せ始めているのはプラスだが、あまりに保守的なフットボールをもたらしているメンタル面を改善できなければ後半戦の巻き返しもシュロイデルにもクラブでの将来は無いだろう。

 

6 AZ 17 28pts 8勝4分け5敗 得点26失点25

ファン・バステンの辞任という大事件があったものの、新監督に就任したファン・デン・ブロムのもとで巻き返しの雰囲気を見せての6位でウィンターストップに。ベルフハイスの負傷離脱が痛かったが、その代わりにアロン・ヨハンソンとタンコヴィッチの後ろにタレント ドス・サントスを据えるという新システムが機能。カウンターだけでなく、時に見事なフットボールでシュートまで持っていくシーンが見られるようになったことで、後半戦へ期待は持てる。ただ成長の見えるハウウェレーウの隣に定着したフートが契約延長を断ったことで、契約残り半年のこのタレントの起用をどう判断するか。

 

7 SC Cambuur 26pts 7勝5分け5敗 得点27失点25

昇格2シーズン目で大躍進の前半戦。良いフットボールをしても結果が付いてこなかった昨シーズンと違い、取りこぼしが少なくなって着実に勝ち点を積み重ねた。CBデュオを失いながら新加入のライネンが素晴らしいプレーを見せ、ウィンターストップ前にはマッキントッシュも期待を上回る果敢なプレーでチャンスをつかみスタメンに定着。攻撃面ではメレフが期待はずれなものの、フルジェル・ナルシンがエールディヴィジ最高の右バイテンの一人と呼ばれる活躍を見せ、タレント ファン・デ・ストレークも活躍。2年目に入ってオランダに慣れたオフベチェが8得点とフィニッシュ面で数字を残しているのは心強い。言うまでもなく最大の貢献者はルスナクだが、予想通りウィンターストップにフローニゲンへの移籍が決定。フットボール面とチャンス・メイク、セットプレーの面で大きな存在だった彼の穴をどう埋めていくか。移籍市場で代わりを得られればいいが、かなりの幸運が必要になる。

 

8 FC Groningen 24pts 6勝6分け5敗 得点19失点24

EL予選をたった2試合で終え、シーズン前半はアウエーでほとんど勝てず(2勝)と不安定なパフォーマンス。カウンター・スタイルからポゼッション・フットボールを志向してシェリーがフル稼働したものの、フーセンがわずか1得点と大きく期待を裏切り、アントニアも思うような活躍はできていない。フィニッシャーとしての能力を買われてスーパーサブから脱却しつつあるデ・レーウを活かすなら、後半戦はフーセンではなく怪我から戻ってくるゼーファイクと組ませるのも手だろう。しかし現状ではPO圏内はやや厳しい。

 

9 FC Utrecht 23pts 7勝2分け8敗 得点30失点33

アドリアーンセ&アルフレン体制が始動し、攻撃的で魅力的なフットボールを目指したシーズン。序盤は全くなっていなかったものの、冬が近づくにつれて予想よりも早くスタイルを確立することに成功したと言えるだろう。特に9試合で9得点とボイマンスは圧倒的存在としてこのスタイルを牽引。しかし昨シーズンはやはり奇蹟だっのか今シーズンも例のごとく長期離脱者が続出し、案の定出遅れたボイマンスも再び怪我で3月まで離脱というのは大きな失望。ドゥプランがウィンターストップ前に戻って早速高いクオリティを示しているだけに、オールがアジア・カップでいないウィンターストップ明けにドゥプランとボイマンスを組ませられないのは痛い。ただペーターソンが結果を残し初め、ルビンもボイマンスとは違うタイプの9番として機能はしている。フランスからレンタルしたハレルとどちらを選んでいくかだが、上手く嵌ればPO枠は十分可能。

 

10 Vitesse 22pts 5勝7分け5敗 得点35失点27

ボスのもとでエールディヴィジ・トップクラスのフットボールを展開。特にかつてのトップタレント ヴェイノヴィッチの成長は著しいものがあるが、あまりにもFW陣が脆弱で尽くチャンスを決められずに守備面の個人のミスから試合を落とし続けたシーズン前半戦。チーム全体の連動性に比べてゴール前でのDF陣のエゴが目立ったが、結果がついてくればここも改善されてくるはず。その点ではウィンターストップ前にトラオレが当たり始めたのは期待が持てるだろう。ゴール前ではミスが続いたフェルトハイゼンからロームがスタメンに定着して活躍。安定感が生まれれば後半戦は大きく巻き返すポテンシャルはある。

 

11 SC Heerenveen 22pts 5勝7分け5敗 得点21失点21

移籍市場でフィンボガソン、ツィエク、ビラルと主力を失って迎えたローデウェーヘス1年目。ファン・バステン時のカウンター・スタイルからポゼッション・スタイルに転換し、やはり序盤は慣れない雰囲気があったものの、ウートが少なからずフィンボガソンの穴を埋める活躍を見せて次第に安定。中盤ではシンクフラーフェンがツィエクの穴を十二分に埋め、ファン・デン・ベルフは15試合でイエローカード9枚と相変わらずだが、チームの機能には欠かせない存在であり、デ・ローンは中盤のリーダーとして大きく成長を見せている。DFラインがまだ不安定なものの、後方にはノルトフェルトが相変わらずのセーブを見せているため、やはりチームの成長にはバイテンスペーラーの活躍が待たれるところだが、スラフフェールもラーソンもまだ1ゴールずつと厳しい状況。

 

12 Willem II 20pts 6勝2分け9敗 得点25失点29

ジュピラー・リーグを攻撃的なフットボールで制しての昇格1年目でエールディヴィジでもそのスタイルを踏襲。アンドラーデとメサウドが違いを作り、アルメンテーロスがスコアラーとして期待に応えており、サブトップ相手でも十分張り合える攻撃力と言える。中盤でもスタイン・ヴァイテンスが存在感を示しており、後半戦も残留争いには巻き込まれない程度の回転は十分稼げるだろう。

 

13 Excelsior 17pts 3勝8分け6敗 得点23失点36

入れ替え戦からの昇格で残留に向けては厳しいと思われたが、ヴァウデスタインではPEC、フェイエノールトアヤックスと上位に負けただけで他は負け無しと予想以上の勝ち点を積み重ねたことは賞讃に値する。ただ特にアヤックス相手に優勢に試合を進めながらチャンスを決められなかったようにフィニッシュワークにまだ難がある。ボタカは個人で違いを作れるものの、スタンスとファン・ヴェールト以外に得点の臭いがせず、ハウリエはスタメンをつかめずと期待に応えられていない。失点が多いものの、残留に向けてはやはりフットボール能力と得点力を兼ね備えたFWを移籍市場で得られるかどうか。

 

14 ADO Den Haag 16pts 3勝7分け7敗 得点22失点29

フレーサー体制で後半戦大きく巻き返した昨シーズンからの流れを考えればこのシーズン前半は大きな失望だろう。コンパクトで組織的な守備は姿を消し、ボールを持っても組み立て能力の低さが目立って主導権をつかみきれない試合が多い。クラーメルが11得点な一方でファン・ダイネンはわずか2得点なのもカウンターに頼る場面が多いせいだろう。ハンセン、クリステンセンという新戦力は価値を示しているため、後半戦はDFラインの攻守での勇敢さが鍵になるはず。

 

15 Heracles Almelo 16pts 5勝1分け11敗 得点27失点36

昇格10年目で将来に向けて大きなプロジェクトを進めようとした矢先、わずか4試合でヤン・デ・ヨンゲ解任という悲劇。しかし昨シーズンからの流れを考えればそれもしょうがないだろう。結局シーズンスタートから7連敗と大きく躓いたが、11月からは立て直してGAイーグルス、ADO、ヘーレンフェーンユトレヒトに勝利。特にタナーネの調子が上がったことが大きく、圧倒的な突破力で違いを作っている。同時にリンセンのフィニッシュも冴え初め、ヴェフホルストもポストワークで活躍。ただ残留争いはまだまだ予断を許さず、できればDFラインに補強が望まれるところだが、ゾメルが財源を捻出するのは困難か。

 

16 Go Ahead Eagles *16pts 14勝4分け9敗 得点22失点36

昇格1年目で行使席を残した昨シーズンから、アントニアとハウトコープが抜けて相手ゴール前で苦労した今シーズン前半だった。スハルクが4得点とそれなりの数字を残したが、デ・サ、ルイス、ライメリンクと期待されたサイドプレイヤーがなかなかインパクトを与えられず。突破力のある選手を補強できれば大きな勢いを付けられるが、できれなければ終盤まで残留争いを余儀なくされるはず。

 

17 NAC Breda 13pts 3勝4分け10敗 得点16失点37

負のスパイラルを抜け出せず低調なフットボールに終始していたネボイサ・グデルィを8節終了時に解任したのは妥当。ただその後も結局1勝しか挙げられず、立て直しは簡単では無い。冬の市場ですでにマルセリスを獲得し、デ・ゼーウと契約の意志も公にするなど、積極的な動きを見せているが、現在のセレクションでもそれなりのクオリティが揃っているため、チームの一体感とファイティング・スピリットが備われば間違いなく残留はできるはずだが、シーズン後半戦もスタートに躓けば危険信号。

 

18 FC Dordrecht 7pts 1勝4分け12敗 得点12失点42

昇格1年目のシーズンでいきなりアベ・レンストラ・スタディオンで3ptsを手にして期待を抱かせたが、結局前半戦の勝利はそれだけ。ファン・オーフェレームなど違いを作れる選手はいるが、さすがにエールディヴィジで戦うには予想通り厳しすぎるセレクションだった。最下位降格はほぼ間違いないが、まずはまだ1ptしか取れていないホームでの初勝利が待たれる。