Mijn Feyenoord

Feyenoordを中心にNederlands voetbalを追いかける

2012/2013シーズンまとめ

ニューウェンハイゼン事件から一連のリスペクト問題、100周年で覇権奪回を目指したPSVのご乱心、毎年繰り返されるパフォーマンスの不安定さからの混戦など、今シーズンも良くも悪くも盛り上がりは見せたエールディヴィジ。厳しい財政状況からの高いクオリティを持つ中堅&ベテランの減少はさらに進み、悲劇的なレベルだった残留争いを見ても全体的に低調なシーズンだったと言えるだろう。欧州戦の不振もあり急速な改革が必要と叫ぶファン・ハネヘムのような声もあるが、ユース育成の質をオランダ全体で上げて行くにはまだ時間がかかる。いまのヨング・オランイェ世代がもう数年残ればリーグ全体の質を引き上げる切っ掛けになるだろうが、それも難しいだろう。

 

1. Ajax 22勝10分け2敗 76pts 得点83失点31

今シーズンもCLとの両立で勝ち点を落とし続けながらもフットボール能力で違いを作るスタイルを押し通し、欧州戦の無くなった終盤に例のごとく調子を上げてカンピューンスハップを攫ういつものパターンで終わってみれば共にフィテッセに喫したわずか2敗と文句の付けようのない3連覇。フェルトンゲンの穴はフットボールの面ではモイサンデルが十二分に埋め、アニタが抜けたコントローラーもベテランのポウルセンがなんとなくカバー。特筆すべきは中盤と層の薄い右サイドで期待通りの高いクオリティを見せつけたシェーネの存在だろう。シクトルソンが相変わらずの怪我でアヤックス・スタイルのスピッツは今シーズンも不在だったが、この3年間それが好結果に結びついている。

この夏はフランク・デ・ブールが2017年まで契約延長、主力のエリクセン、デ・ヨングに移籍の可能性があり、国内で狙っているマヘル、ファン・ヒンケルに10mil近い大金を出すか、あくまでポリシーを守ってユース選手を使うかが注目。

 

2. PSV 22勝3分け9敗 69pts 得点103失点43

100周年に悲願のティートルを絶対の目標にアドフォカートとファン・ボメルを呼び戻すも今シーズンも最後までgdgdを脱しきれず、久々のCL予選枠を得るのが精一杯。自信を持って相手を圧倒する試合と不安そうにプレーしてミスから自滅する試合を繰り返した。特にアウエーでの不安定さはこの数年の恒常的なメンタルの弱さに他ならず、セレクションを入れ替えるしかもはや解決策はない。DF陣が前進守備ができず、ファン・ボメルとストロートマンも相手をフリーにしてスペースを空けてしまうなど、チームのベースが改善されなかったのも問題だった。

シーズンを通してはさすがのクオリティを見せたファン・ボメルが引退、まだ具体的な動きはないが主力選手に移籍の噂があり、新監督のコクーとしてはむしろ積極的に入れ替えを行いたいはず。

 

3. Feyenoord 21勝6分け7敗 69pts 得点64失点38

昨シーズンからチームのセンターラインが抜けての3位は十分評価できる成績だろう。特にグイデッティの穴を埋める以上の活躍を見せたペッレは今シーズンのベストプレイヤーに相応しい。ヤンマートマタイセン、インマルスら新加入選手も結果を残し、フィレーナ、ボエチウスとタレントもブレイク。特にデ・カイプでは圧倒的な強さを見せ、終始激しい前進守備で相手に全くフットボールをさせる隙を与えなかったPSV戦はこのチームのポテンシャルを見せつけたという意味でも今シーズンのハイライトだろう。ただその一方で度重なるセットプレーからの失点や、デ・カイプで無敗とは対照的にアウエーでは得失点差がマイナス、ペッレ以外の選手(特にインマルスとスハーケン)が決定的なチャンスを何度となく逃すなど、チームとしての未熟さも多かった。

この夏はデ・フライ、クラーシと契約延長に成功。移籍の可能性がある主力は今のところマルティンス・インディ程度で、久々にセレクションを維持して来シーズンはカンピューンスハップを目指すことに。

 

3. Vitesse 19勝7分け8敗 64pts 得点42失点26

テオ・ヤンセンが復帰し、ルテンのもとでようやくまともにフットボールができるようになった・・・と言えなくもないシーズン。ファン・ハネヘムは「攻撃的で魅力的なフットボールをした」と高評価も、コンパクトな4-2-3-1から前線のボニーのキープ力と単独突破に頼る事が多く、チームとしての前進守備の無さや、組み立て能力の低さなどからローテンポで低調な試合がほとんどだった。テオ・ヤンセン、ファン・ヒンケル、ボニーのいずれかでも欠けばチームが機能しないのは明らかだが、ウィンターストップ直後のアヤックス戦での最後の20分間の素晴らしいフットボール(しかもボニーは不在!)を考えればさらにポテンシャルはあったのかもしれない。

いずれにせよ今シーズンもクラブ内は騒動に事欠かず、予想通りルテンも1年で去り、大黒柱ボニーが移籍ほぼ確実、レンタル組も一旦所属クラブに帰るため、フロントがどうセレクションを作り直すのかは謎。収入を遙かに上回るサラリーを支払い、赤字も止まるところを知らず、移籍市場にはそれほどの投資はしていないため、クラブ運営が今後成立していくのか、そもそも健全に成立させる気があるのかどうか・・・。

最後にボニーがメディアに対しては常に移籍の希望を公言しつつ、ピッチ上ではトップパフォーマンスを発揮し続ける真のプロフェッショナルとしての姿勢を見せ続けたことは記しておきたい。「金のためにプレーする」のはプロとして当たり前のことであり、テオ・ボスへのリスペクトの示し方などを見れば彼が一流のパーソナリティを備えているのは明らかだろう。ロシアか、それともトップリーグか、どこに進むにしても成功を祈っている。

 

5. FC Utrecht 19勝6分け9敗 63pts 得点55失点41

今シーズンの最もポジティヴなサプライズ。下位で苦しんだ昨シーズンからほとんど補強もなかったが、カーリ、オールら若手が揃って大きく成長し、ついに監督としての能力を発揮し始めたヴァウタースのプレッシング戦術も見事に機能。フレッシュで魅力的なフットボールを展開した。ムレンガを始め毎シーズン好例だった怪我人が記録的に少なくなったのも好成績の要因だろう。さらにウィンターストップに加入したトールンストラが圧倒的なパフォーマンスを見せてチームをさらに高いレベルに引き上げ、トゥエンテを抑えての5位も全く驚きはない。

この夏はブレイクしたカーリが契約切れでフリー移籍(フロントの怠慢とも言える)、ヴァイテンスも契約が切れ、vdホールンやムレンガが移籍濃厚と大きく入れ替わる可能性が高い。

 

6. FC Twente 17勝11分け6敗 62pts 得点60失点33

マクラーレンのもとで再びカンピューンスハップを争う事を目標としていたが、クオリティ不足と主力に悲劇的なほどの怪我人続きで冬場から全く流れをつかめず、POもユトレヒトに敗れて7年ぶりに欧州戦を逃す結果に。タディッチエールディヴィジではトップクラスの選手ではあるが、まだ多くの試合で決定的な存在ではなく、チャドリも怪我に泣き、フェルは冬の移籍が最後に失敗してのショックに悩み、カスタイニョスは最初から最後まで何もかも悲惨だった。この数年の好パフォーマンスに「慣れた」サポーターがチームに批判的になって毎試合ホームゲームで雰囲気が悪くなるなど、悪循環に陥っていると言える状況。

来シーズンはシュロイデルで継続と報じられているが、フェルやダグラスの売却で雰囲気を作り替えることが必須。今回も移籍市場に投じる資金は十分あるだろうが、ヘルシャーやプロメスといった、ようやく出てきたユースのタレントたちをスタメンに定着させられるかどうか。

 

7. FC Groningen 12勝7分け15敗 43pts 得点36失点53

マースカントのもとで再スタートを切ったが、思うようにフットボールができずにユーロボルフは毎試合厳しい雰囲気に。結局終盤調子を上げてPO圏内に入ったが、トータルの内容を考えれば出来過ぎの結果だろう。特に前線で違いを作れる選手がおらず、スピッツポジションではゼーファイクが明らかなウェイトオーバーでシーズン中にダイエットメニューを課されるなど大きく期待を裏切った。テキセイラもまだまだ力不足で、得点力はデ・レーウのクオリティに頼っている現状。その一方で守備面ではビゾットがルシアーノからポジションを奪い、ファン・ダイクが大きく成長するなどプラス材料が多かった。

マースカントは1年で去り、後任はファン・ローイ。ファン・ダイクの移籍が濃厚なため、スピッツと合わせて上手く補強できるか。

 

8. sc Heerenveen 11勝9分け14敗 42pts 得点50失点63

ファン・バステンのセカンド・チャレンジはとりあえず成功に終わったと言えるだろう。シーズン前半は驚愕するほど低パフォーマンスの試合もあり、守備ブロックの安定を優先してCBを5人並べる斬新な戦術も見せたが、次第にチーム全体でのプレッシングが機能。特に後半戦はファン・デン・ベルフの加入で攻守の切り替えスピードが上がり、相手を止めるだけだった中盤が前へ向けてより攻撃的にプレーできるようになった。ホームでトップ4に3勝1分けと強さを見せる一方で、自分たちがボールを持つ格下相手には最後まで不安定だったため、来シーズン ポゼッション・フットボールの面でさらに先へ進めるか、ファン・バステンの真価が問われる。

違いを作り続けたジュリチッチとハウウェレーウが移籍、フィンボガソンも売却してスピッツはウートに任せる姿勢。エル・ガナスィがレンタルなため、この夏こそ移籍市場に投資か。

 

9. ADO Den Haag 9勝13分け12敗 40pts 得点49失点63

チームとしてはシーズンを通して積極的な前進守備とポジションプレーで魅力的なフットボールを展開。一時はPO枠濃厚と思われていたが、トールンストラが抜けた後半戦は大きくトーンダウンして結局POを逃してしまったが、昨シーズンを考えても現状で9位は十分な結果だろう。ファン・ダイネンが真価を発揮し始め、ケヴィン・ヤンセンの成長などポジティヴな要素も大きかった一方で痛かったのが厳しい財政から移籍金を出して買い取ったプポンの残念なパフォーマンス。

来シーズンも9~12位を目標にしつつ、可能ならPOへ、という立場。

 

10. AZ 10勝9分け15敗 39pts 得点56失点54

前半戦カンピューンスハップを争った昨シーズンと比較して大きく落ち込んだ今シーズン。モイサンデル、エルム、左サイドコンビの穴はとてつもなく大きかったが、シーズン開始当初できていたことも結果がついてこない自信喪失状態の中でできなくなり、かなりの迷走状態だった。最終的に最後の最後で立ち直って降格回避とベーカーヴィナーでの欧州戦チケット獲得と、結果的には良いシーズンと言える終わり方に。

CBコンビはハウウェレーウに続けてヤン・ヴァイテンスで安定を測る方向。あとは苦しむチームの中で移籍の希望を口に出しつつも高いパフォーマンスを発揮したマヘルがどこに移籍するにしても、その穴をどう埋めていくか。フェルベークそこさえ何とかできれば今シーズンで経験を得たチームならPO枠は十分狙えるはず。

 

11. PEC Zwolle 10勝9分け15敗 39pts 得点42失点55

ジュピラー・リーグを制しての昇格1年目でフレッシュなフットボールを展開。多くの試合で五分五分以上の戦いを見せ、多くのチャンスを作っていたことから、決定力のあるフィニッシャーさえいればさらに上にいてもおかしくなかっただろう。惜しむらくはスロットが結局怪我でほとんどプレーできなかったことか。ホームでのフェイエノールト戦でのラストパスなど、数は少ないながら現役ラストシーズンにもファンタスティックなプレーを見せてくれた。

 

12. Heracles Almero 9勝11分け14敗 38pts 得点58失点71

CB陣に怪我が続いたことから試行した3-4-3で注目を浴びたが、さすがに失点も増え、オーヴァートムとアルメンテーロスが抜けた後半戦は相手ゴールへ迫る迫力も消えてPO枠からも脱落。クラブ歴代トップスコアラー エヴァートンも契約終了となり、いよいよ新チームへ移行することになるが、果たしてペーター・ボスが残っているかどうか。

 

13. NAC Breda 10勝8分け16敗 38pts 得点40失点56

長く入れ替え戦圏内で苦戦していたものの、後半戦はネボ・グデルィのもとで自信を取り戻してホームでの強さが復活。フィニッシャーを任せられるスピッツが不在の中で、トップパフォーマンスを発揮し続けたベテラン ルールリングは賞讃に値する。ネノ・グデルィの移籍はこの夏こそ間違いないと思われるが、フェルベークのレンタルが延長されてスハルク、ホーイがさらに成長すれば来シーズンはそれほど苦しまなくて済むはず・・・

 

14. RKC Waarwijk 9勝10分け15敗 37pts 得点39失点48

エルヴィン・クーマンを迎えての昇格2シーズン目は苦しい残留争いに。前半戦フィニッシャーとしての高い能力を見せていたシェヴァリエがクーマンと衝突したのが大きな要因か。冬に補強したリーデルが4ゴールとある程度結果を残し、ヨーゼフゾーンが7ゴールと大きく成長したことで何とか救われた形に。

守護神ズートがレンタルバック、スタメン選手の契約がほとんど切れるため、去就未定のクーマンも含めてこの夏は大きくチームを改変することになるためフロントの手腕が問われる。

 

15. N.E.C. 10勝7分け17敗 37pts 得点44失点66

ウィンターストップ時は7位以下グループのトップに立っていたが、3月以降は全く勝ち点が伸ばせない中でズルズルとパフォーマンスを落として気がつけば15位でのフィニッシュ。結局スピッツ・ポジションを固定することができず、中盤も不安定など昨夏の主力流出の穴を埋められなかった。プラッチェは放出の方向で、新たなスピッツを獲得できるかどうか。

 

16. Roda JC Kerkrade 7勝12分け15敗 33pts 得点51失点69

主力の怪我で大きく落ち込んだ前半戦から、後半戦は新加入のデムージュを中心に巻き返したものの、勝負所で勝ちきれずに入れ替え戦へ。そこでもスパルタ相手に大苦戦しつつ土壇場、紙一重で残留を決めた。

デムージュの買い取りができればベストだが、金銭的に難しい状況で、マルキも移籍のタイミング。資金が限られる中でどう補強をしていくか。

 

17. VVV Venlo 6勝10分け18敗 28pts 得点33失点62

今シーズンも同じ光景が繰り返された末に、クレンを1トップに置いての超守備的フットボールを展開。だがそれで勝ち点が取れたのもウィンターストップ前後だけで、3月以降は少ないチャンスを決められる決定力の無さから黒星を重ねる悪循環になり、入れ替え戦はGAE相手に完敗で遂に降格。

結局最後までヴィルツフットがフォームを取り戻せなかったのが誤算と言えば誤算だが、自分たちでフットボールをすることができなければジュピラー・リーグではさらに苦戦することになるはず。

 

18.Willem II 5勝8分け21敗 23pts 得点33失点76

最下位を免れれば奇蹟と言われた戦力で予想以上の善戦を見せたものの、やはりクオリティの差は如何ともし難く最下位での降格。クラブトップスコアラーのヨアヒムも含めて、あまりに攻撃に力強さが足りなかった。

降格が決まってからもアウエーボックスを満席にするなど、トリコロール・サポーターの熱は健在なのを証明。ジュピラー・リーグから再び戻って来るのを待ちたい。