Mijn Feyenoord

Feyenoordを中心にNederlands voetbalを追いかける

成長と停滞のシーズン

エールディヴィジ3位という結果に終わったフェイエノールトの2012/2013シーズン。当初の目標である欧州戦直接枠は確保し、ある程度ティートル・レースにも参加したことで納得のいくシーズンではあったが、その一方でたて続いたセットプレーからの失点や、2月以降PEC ズヴォレRKC ワールワイク、ADO デン・ハーグとのアウエーゲームで貴重な勝ち点を落とすなど、あまりにもったいない試合も多かった。デ・カイプでは無敗を誇り、ホームゲーム成績がリーグトップなのに対して、アウエーでは勝ち点がマイナスになるようでは本気でカンピューンスハップを狙うことなど不可能だ。

今シーズンの総括と来シーズンへの展望としていくつかキーポイントを整理しておく。

 

アウエーでの不振

細かく成績を見ると、昨シーズン 首位だったトッパーの成績は大きく落とし、対トップ5でわずか2勝2分け。それも全てデ・カイプでの勝ち点であり、アウエーでは全敗に終わった。その一方で昨シーズン(70pts)にほぼ並ぶ勝ち点(69)だったのは、昨シーズン取りこぼしていた格下相手にしっかり勝てる試合が多かったからだ。逆に言えば2月以降のアウエーゲームでしっかり勝ち切れていれば少なくともティートル・レースにも本当の意味で参加できていたということだ。特にアウエーでの得失点差という数字は嫌でも目に付く。トッパーではフィテッセ戦以外は完敗、格下相手にもチャンスを決められず、毎試合ロースコアな展開になった末に主導権を取りきれずに競り負けるというパターンが多かった。どちらの点でもアウエーではボールを繋いで相手の穴を探り、周りが疲労の溜まるシーズン終盤で調子を上げてこの3シーズンティートルを攫っている020とは大きな違いだ。

 

ペッレの完全移籍

ディルク・カイト以来、クラブ自前のスコアラーが不在だったフェイエノールト。スポーツ面でも再びオランダのトップに戻るために、トップスコアラーとの長期契約は悲願だった。そのため、レンタルしたグラツィアーノ・ペッレが期待を大きく上回るパフォーマンスを見せ、フェイエノールトとの4年契約を選んだことはクラブにとってとてつもなく大きな意味を持つ。ピッチ上でのポストプレーとゴールだけでなく、クラブが再び移籍市場で選手を買えるようになったことはクラブ・イメージに大きな効果を持つだろう。

 

チームリーダーの不在

ようやくキャプテンらしくなってきたロン・フラールが去ったことで今シーズンも例年と同じこの問題に悩まされた。新キャプテンのステファン・デ・フライ、第2キャプテンのヨルディ・クラーシはまだ多くの面で未熟であり、フラーフラントを除けば最年長のヨリス・マタイセンは決して強烈なリーダーシップを持つ選手では無く、前線でさかんに声をかけるペッレの声に積極的に応えていたのは同じく年長組のルーベン・スハーケンくらいだろう。プレーでは怖れ知らずに相手に向かって行くタレントたちだが、チームメイトと意見をぶつけ合うことがあまりに少なく、チームが上手くいっていない時に修正することができないのが、今シーズン アウエーゲームで大苦戦した大きな要因の一つだろう。

 

大きく分かれた新加入選手のパフォーマンス

昨夏にフェイエノールトが獲得した中で期待通りの活躍をしたのはダリル・ヤンマートとヨリス・マタイセンだけだろう。ヤンマートはまだポジション取りに問題を抱えているもののオランダ。・トップの右バックであることを証明、マタイセンも大きな批判を浴びながら高いパフォーマンスを見せて何度となくチームを救った。その一方でルート・フォルメルは中盤の激しいポジション争いに勝てず、ヴェスリー・フェルフークも時たま良いプレーを見せる程度で真価は発揮できず。出場した試合では高い評価を受けたホーセンスも怪我に泣き続けた。欧州戦本戦を見越して層を厚くしたはずのセレクションだったが、セク・シセが例年通りの怪我などスタメンとベンチとの差は大きく、交代策でも途中出場戦のゴールが0など切り札がいないかった明らか。フェイエノールトが伝統的に適応が難しいクラブとはいえ、チームを支えるべき彼ら中堅層が今後も控えに甘んじるようでは補強戦略も見直しが求められるかもしれない。

 

トップタレントのブレイク

黄金世代の94年組がついにスタメンに定着し始めたという意味では記念すべきシーズンだっただろう。トニー・フィレーナ、ジャン・パウル・ボエチウスは共にしっかりとチャンスをつかんでチームにフットボールのクオリティと推進力を与えた。共にフロート・オランイェの構想にも入り、ユースの有能さを再び証明した。テレンス・コンゴロも不運にも怪我で長期離脱したが、その前はCB陣に怪我が重なった試合で高い能力を発揮。ただ嘆くべきはアナス・アチャバールが今シーズンもブレイクできなかったことだろう。トレーニングでクーマンを納得させることができず、ベンチにさえ入れていないために来シーズンはレンタルか。

 

代表の最多勢力に

選手個人個人の成長はオランイェに最高7人招集という形で現れた。特にクラブのスタメンDFラインは4人とも代表選手であり、今のところトップレベルでも通用し得ることを見せている。今シーズン欧州の舞台で本戦に進めなかったフェイエノールトにとっては、多くの選手が高いレベルを経験できる貴重な機会ではあったが、シーズン後半の2月の代表ウィーク以降、疲労により彼らのパフォーマンスが落ちたことで勝ち点を落とし続けるという負の遺産も。来シーズンこそ欧州の舞台で戦い続けるのなら、コンスタントに週2試合をこなせるかどうかは大きなポイントだ。

 

夏の補強ポイント?

カテゴリー2に復帰し、2シーズン続けて黒字を出したことでこの夏は久しぶりに小さいながらも財布を手に移籍市場に出る能力を得たフェイエノールト。ただファン・ヘールは「誰かが高額で売れない限り大金を出すこともない」と語っており、契約中の選手にオファーが出せる見込みは小さいだろう。それでも敢えていま補強しておくべきポイントを語るなら、まず言うまでもなくセントルム・スピッツのポジションだ。ペッレが出場停止で不在だったフリースラントでの試合で明らかなように、彼の代役は今シーズンのチームにいなかった。来シーズンはクーマンの信頼を得たミチェル・テ・フレーデが第2スピッツに収まりそうだが、トップレベルでの経験はほとんど無く未知数。もう一つの泣き所は右バックだろう。ヤンマートがハイパフォーマンスを発揮しているが、レールダムが契約終了で抜ければこのポジションで起用できるのはもう本職がCBのスフェン・ファン・ベークしかいない。今シーズン ヤンマートの病欠でスタメン起用されたPSVとのベーカー戦では及第点の働きは見せたが・・・

 

本当のティートル候補として臨む新シーズン

来シーズンのフェイエノールトは久しぶりに『本当のティートル候補』として臨むことになる。もちろんクラブの財政規模はまだリーグ5位であり、セレクションの層でも及ばないかもしれないが、今シーズンのグループが何事も無く継続できれば十二分にチャンスはあるはずだ。PSVは変化の時を迎え、トゥエンテも主力流出の可能性がかなり高い。欧州戦という未知数の要素は依然あるものの、チームが今シーズンの教訓を本当に活かしてさらに先へ進むことができれるかどうかにかかっている。