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エールディヴィジ3強からスター選手が一斉に消える冬。カンピューンスハップの行方は?

17節を終えて今シーズンもエールディヴィジのトップ3は昨シーズンと同じ顔ぶれが並んでいる。オランダ一のセレクションを誇り覇権奪回を狙うPSV、毎年主力を引き抜かれながらも優秀なスカウトとブレることのないフットボールスタイルで年々力を増している昨シーズンのランズカンピューン トゥエンテ、そしてWK組の疲れとウィンガー不在で不調ながらも攻撃陣には高いクオリティを揃えるアヤックス。しかしこの冬、3強からトッププレイヤーがいなくなる事態に。

 

まず現在首位のPSVはキャプテンでありチームの中心であるイブラヒム・アフェライバルセロナ移籍がほぼ確定的。トゥエンテは第17節NEC戦でマン・オブ・ザ・マッチの活躍をしたブライアン・ルイスが反転した際に左膝を捻って靱帯を断裂し月曜に手術。詳細はまだ明らかにされていないが数ヶ月の離脱は間違いない。そしてアヤックスは先日のPSVとのトッパーでオトマン・バッカルに噛みついた「吸血鬼」、キャプテンのルイス・スアレスがKNVBから7試合出場停止処分を受けて2月まで出場できない。

 

戦力、戦術的に見ても一番被害が少ないのはアヤックスだろう。昨シーズンエールディヴィジで35得点、ベーカー戦とELをあわせて50得点以上を挙げたトップスコアラーも今シーズンは3位決定戦まで進んだWKの疲労が色濃く、トップパフォーマンスにほど遠く、新戦力のムニール・エル・ハムダウイとの2トップも機能していなかった。エル・ハムダウイだけでも、彼を中心にすれば確実にシーズン20得点は保証されるスピッツであり、これを機に逆に混迷していたアヤックスの攻撃が良い方向に回り出す可能性はある。スアレスが出場停止になって最初の先週末VVV戦ではまだチームとしては機能していなかったものの、後半途中から出てきたミドがターゲットマンとして働き、スアレスに代わってスタメン出場したスレイマニも良い動きを見てゴールを決めた。

 

それに対してPSVとトゥエンテはダメージが大きい。トゥエンテはトップ下で貴重な働きをしていたケネス・ペレスが抜けた今シーズン、ルイスのトップ下も試したが結局そのまま右サイドに置き、本来スピッツのルーク・デ・ヨングをトップ下にコンバートする策を取っている。ポスト役とフィニッシャーとしては機能しているデ・ヨングも中盤の繋ぎ役としては若干物足りなく、ルイスが自由に動いて中盤のボール回しを流動化させているのが現状だ。テオ・ヤンセンのフィードという「飛び道具」はあるものの、ルイスが抜けることでトゥエンテのフットボールは大きく変更を余儀なくされるだろう。昨シーズン24得点を叩き出したルイスも今シーズンはマークが厳しくなり、17節を終えて7得点だったことから、チームの得点力にはさほど影響しないかもしれないが、ここまで戦力として評価できる働きをしているウィンガーがそれほどいないトゥエンテにとって見合った代役はセレクション内に見つけることは難しく、ウィンターストップに補強に出る可能性は高い。

 

PSVも今年夏にすでにアフェライ売却を覚悟して用意していたものの、今シーズンのチームを見ていてもこのスペルマーカーが抜ける穴はあまりにも大きい。中盤での大きな展開と前のスペースを突くドリブルでチームの推進力となっているアフェライがいなくなればフレッド・ルテンの語っているとおり「PSVフットボールは別物になる」だろう。だがそれでもここまで8ゴール9アシストのバラーシュ・ジュジャク、8ゴールのスピッツ ヨナタン・ライス、4ゴール7アシストのジェレマイン・レンス、さらにチームトップの9ゴールのオラ・トイヴォネンと強力なアタッカーを揃えていることから、アフェライ抜きの現有戦力の中盤でも決してエールディヴィジで苦しむ戦力ではないはず。長期離脱していた右バックのマノレフがもう少しして復帰できれば、守備力のあるヒュチンソンを中盤に戻して、夏に予想していたソリッドなチームスタイルに再び変更できるはずだ。

 

 

カンピューンスハップは17節を終えてPSVとトゥエンテが34ptsで並び、アヤックスが31ptsで追う展開。ここまでの戦いを見ると、圧倒的優勢な立場にありながら取りこぼしをするPSV、多くの新戦力を迎えて初のCL参戦をこなしながらチームの攻撃を作り上げてきたトゥエンテ、WK組の疲労とウィンガー不足、2トップが機能せず混迷状況の続くアヤックスという三者三様。だが後半戦に向けて最も伸びシロがあるのはアヤックスだろう。ヨルとブリントとの確執、クライフがOBに役員選出馬を働きかけるなど落ち着かない政情だが、12月上旬の役員選が期待通りの結果に終わればクラブ内の雰囲気が一変し、ピッチ内にも良い影響を与える可能性はある。あくまで「可能性」であり、マルティン・ヨルの腕次第だろうが・・・。