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混乱続く"ラインのFC ハリウッド" -「終わりの始まり」か?

メラブ・ヨルダニアがアーネムに来て約4年、それ以前からの混迷ですでにクラブとしてのアイデンティティを失って久しいフィテッセだが、この1週間で状況はさらに悪化していることを露呈した。

 

まず3月24日に報道官としてクラブ在籍16年間、”フィテッセの顔”というべき存在だったエステル・バルの7月1日付けでの解任がクラブサイトで発表される。数日前から噂を聞いていたフィテッセ・サポーターがFacebook上で‘Ester Bal moet blijven’(“エステル・バルを残せ”)というグループを作成、短期間に数千のlikesを得たが、クラブが決定を覆すことはなかった。バルは「意見の相違が理由」とコメント。SNS上でのファンのリアクションについては「私の問題だけではなく、ファンがこのクラブに失っているものについて、私が代表することになったと感じている。フィテッセがこれを受けて何かをしてくれるのを期待している。フットボールは人々のためのものであり、クラブ内の特定の人のためのものではない」、と”クラブを私物化している人々”を批判した。

 

3月30日はさらに衝撃的でスキャンダラスなニュースが流れる。前オーナーであり前会長 メラブ・ヨルダニアの3年間のヘルレドーム立ち入り禁止がクラブサイトで発表された。しかも理由はジェネラル・ディレクター ヨースト・デ・ヴィットへの脅迫事件。デ・ヴィットは激しい口論から「おまえの指を切り落としてやる」と脅され、警察へ駆け込んだという。ヨルダニアは昨年10月に突然株式を経済的パートナーのアレクサンダー・チグリンスキーに譲渡、2ヶ月後にはRvCの職も辞して、公式にはあらゆる面でフィテッセを離れていた。チグリンスキーはヨルダニアについて「彼はクラブのために多くの良い事をしたが間違いもあった。それらの間違いを評価した後、2013年10月に我々は彼との関係を止めにして株式を移すことを決めたんだ」と事件後にコメント。

 

同日夜のStudio Voetbalではアルノ・フェルミューレンが「フィテッセの終わりの始まりだ」と語ったが、その言葉を現実のものとするかのように、ヨルダニアがこの発表を受けてフィテッセの現運営陣への批判を大々的に開始。インタビューに成功したDe Telegraafで語られた内容は実際”公然の秘密”と呼べるものだったが、前オーナーによる暴露という形は十分にオランダ・フットボールに衝撃を与えるものだ。

 

ヨルダニア:「フィテッセ・サポーターに真実を話したい。私はオランダのカンピューンになりたかったが、”ロンドン”は結局それを望んでいなかったんだ。フィテッセはChelseaのもとではCLに進むことは許されないんだよ」

 

フィテッセがCehlseaと共にCLに出場することになれな、『同一のコンペティションで一人のオーナーが二つのクラブを所有することはできない』というUEFAのルールに抵触する怖れがあり、両クラブの関係にUEFAからの調査が入ることをChelseaは危惧している、という。

 

ヨルダニア:「ルテンは自分が出ていく半年前の2013年1月に、今のフィテッセでは決してカンピューンになれないと分かっていた。冬の時点でフレッドはチームをトップに上げていたが、ティートルを取るにはまだ補強が必要と感じていたんだ。その一人がレールダムだった。この移籍は可能だと思われたが、そこに”ロンドン”が介入してきたんだ。我々は強くなりすぎることは許されないんだよ。その結果は緊張と混乱だった。フレッドは私に怒り、試合後のバスに乗らずにNECとのダービーにも加わらなかった。紛れもなくその期間に失った7ptsでカンピューンスハップへの道が閉ざされたんだ」

 

ヨルダニア:「もちろん自分が叫んだ内容については後悔している。ヨーストとロンドンに犬を叩く棒を与えてしまった。しかし一方で喜んでもいるよ。これで真実を話すことができるからね。私はフィテッセのために戦ったんだ。テン・ハーフが現れた時にヨハン・クライフがアヤックスのために戦ったように。しかし私は負けてしまった。より強力な相手だったんだ。理事会とフリーンデン・ファン・フィテッセにもっと戦ってくれることを期待していた」

 

さらに前テクニカル・ディレクター テッド・ファン・レーウヴィンもクラブ運営に”ロンドンからの介入”が存在したことを明言。「Chelseaにとって大事なのは自分たちの選手の成長。それはティートルを取るためにプレーすることと決して平行ではないんだ。結局お金を払う者に決定権がある。そしてフィテッセでは私が知る限り選手のサラリー面で大部分はChelseaが払っている。だから私はChelseaがボスだと思う」

 

ファン・レーウヴィン: 「我々は昨年のウィンターストップに当初3選手を補強しようとしていたが、実際にはレールダム一人になった。そしてその移籍も市場の最後の30分で駄目になった。レールダムはChelseaのレンタル選手の一人のライバルになる可能性があったからだ」

 

ヨルダニアは昨年のファン・レーウヴィン解任もロンドンの圧力の結果だと語る。「私はテッドが去る事は望んでいなかった。ペーター・ボスもテッドが続けるのを望んでいた。彼はオーナーの私にとっても、テクニカル・スタッフ全員にとっても、前年去ったルテンにとっても重要な存在だっが、’ロンドン’のせいで去らなければならなかった」

 

フィテッセでは2013-2014シーズンからエルヴィン・カサコウスキに代わってヨースト・デ・ヴィットが就任。同時期にテクニカル・ディレクター職も契約が切れたテッド・ファン・レーウヴィンに代わってモ・アラッハが就任し、その数ヶ月後にヨルダニアも去った事でクラブ内の力関係が”ロンドン寄り”へ大きく変化したと想定される。

 

フィテッセはヨルダニアとファン・レーウヴィンの暴露に対してクラブサイトでRvCの会長 ベルト・ルーテルトが「酷いエイプリルフール・ジョーク」と反論。ヨルダニアのもとでクラブ財政がバランスを失ったと批判、「現在のオーナーとディレクターはフィテッセの目標はフィナンシャル・フェア・プレーのルール内でエールディヴィジの安定したトップ5になること」とコメントしたが、肝心のChelseaとの関係についてはお世辞にも具体的な内容と言えるものではなく、KNVBもこの騒動を受けてベルト・ファン・オーストフェーンがクラブ内の運営を再調査することを明言した。

 

今のところ両クラブの関係についてChelsea側からのリアクションは出ていない。De Telegraafによると、今週にもChelseaの運営陣がオランダに来てこの状況について話し合うとのことだが、フィテッセのプロジェクトがあまりにリスキーなものなのは誰の目にも明らかだろう。