Mijn Feyenoord

Feyenoordを中心にNederlands voetbalを追いかける

ロールダ、フリースラントのサポーターから喝采を浴びる

レンタルに出された選手が本来の「マイン・クラブ」との試合に出場する、というのはオランダでは今もよくある光景。過去にはアヤックスのヤン・フェルトンゲンが2006/2007シーズンにレンタルされていたRKCアヤックスと対戦。2-2で終わり結果的にアヤックスをカンピューンスハップから追いやったこの試合、RKCの2点目を決めたのがフェルトンゲンであり、本人は「トラウマになった」と語っている。昨シーズンも同様にアヤックスからフローニンゲンにレンタルされていたデーリー・ブリントがユーロボルフでのアヤックス戦出場を前に複雑な心境をメディアに語り、後日スティーヴ・マクラーレンが「イングランドでは本来のクラブとの試合出場を避ける条項がレンタル契約には付きものだ」と語るなど話題を呼んだ。ちなみに幸か不幸かこの試合、フローニンゲンはユーロボルフで3-0の完敗を喫した。

 

今シーズンも4月2日に行われたエールディヴィジ第29節のヘーレンフェーンエクセルシオールのゲームでヘーレンフェーンからレンタルされていたヘールト・アレント・ロールダが別のチームのユニフォームを着てアベ・レンストラ・スタディオンでプレー。ロールダはヘーレンフェーン・ユース出身の期待の選手だが、チームが不調にも関わらず、ロン・ヤンスのもとでほとんど出場機会を得られず、レンタルを直訴して一時的にエクセルシオールに移った23歳の大型MF。試合はヘーレンフェーンリードで2-0で迎えた後半、エクセルシオールが盛り返してきた残り15分からロールダが追い上げのゴールを決めると、ヘーレンフェーン・サポーターも大喜びで歓声を上げ、拍手で賞讃。さらにその5分後にもロールダはピッチ中央を攻め上がっての同点ゴールを決め、ヘーレンフェーン・サポーターはより大きな声でロールダを祝福、同時に今シーズンまったく期待外れの監督ロン・ヤンス解任を求めるコールが沸き起こった。試合は結局ロスタイムのラグイレーのゴールでエクセルシオールが2-3の逆転勝利。アベ・レンストラ・スタディオンにはチームへの大ブーイングの後にロールダを讃える歌が響き、ロールダもスタンドに近寄って両手を挙げて拍手で応えるという珍しい光景が生まれた。

 

このシーンについてのリアクションは様々だ。

ヤンスは「感動的ではあったが、彼はやり過ぎたと思う。彼のプレーには私も祝福を贈ったが、彼の観客への行為にはガッカリしているよ。常識的に試合が終わったらすぐロッカールームに戻るべきだった」とロールダに苦言。

 

ロールダ自身は「自分がロッテルダムで成長しているところを見たかったんだ。ファンがああいうリアクションをしてくれた感動したよ。忘れられない瞬間だ」と歓びの言葉を残し、さらにヤンスの苦言について、「コメントできないな。僕の活躍で気まずかったんじゃないの。観客が僕に向けて歌ってくれたのは、自分のプレーへのご褒美だと思っている。あの夜は楽しかったし、観客も僕を楽しませてくれた。だから彼らに感謝したかったんだ。誰かを挑発するつもりなんてなかった」と冷静に返している。

 

この試合をスタンドで観戦していたヘーレンフェーンの名誉会長 リーマー・ファン・デル・フェルデは「あの状況で口に指を当てて『しっ、止めてくれ』とはやりにくいだろう。ヤンスに対するメッセージというのは私は違うと思う。違うユニフォームを着た選手をヘーレンフェーンの観客が拍手で讃えるというのは奇妙な光景ではあるが理解は出来る。彼の観客でもあるのだからね」とロールダとフリースラントのファンに理解を示した。

 

エクセルシオールのアレックス・パストールも「観客が彼の名前を叫んでいたのだから、彼は常識的に対応しなければならなかっただけ。控え目なやり方だった。仮に彼がウィニングランでもしていれば話は別だがね。それに数千人の人たちから名前を歌われて何の反応もしなかったらどうなる?それこそ尊大な態度じゃないか?ヘールト・アレントのやり方は適切だった」と自分の選手を責めることはしなかった。