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ビデオ判定による誤審: プロメスのファールはなぜイエローカードに修正されたのか

この数週間VARの介入ラインに少なくない疑問が生じているエールディヴィジにおいて、先週第15節でそれを象徴する出来事があった。日曜のデ・クールでのVVV-フローニゲンで41分にリツ・ドーアンに対してイェロルド・プロメスが強烈なタックル。プロメスはかなり遅れて全くボールに行っておらず、足も高く上がっていたことで主審 セルダル・ゲズブユクがレッドカードを提示したのは当然のことだったが、ザイストのVAR シメン・ムルデルがなぜか介入しOFRに。その結果 ゲズブユクがイエローカードに判定を修正する誰も予想しない結果となった。両チーム、ピッチ上の審判団、VARs全員が低調だった試合はそのまま0-0の引き分けに終わり、当然この『ビデオ判定による重大な誤審」 に話題が集中することに。

 

毎節日曜の全試合終了後にFOXがザイストのリプレイ・センターと中継を繋いで判定について話をするコーナーではKNVBのVAR現場責任者 レイノルド・ヴィーデマイヤーが「ファールは100%レッドカードだと思う。かなりのスピードで来て足も上げている。いわゆる殺人タックルでは無いが、あれだけ激しく当たれば・・・ これは我々が望まないものであり、レッドカードなのは明らか」とコメントし、早々に重大な誤審だったことを認めた。


https://www.vi.nl/nieuws/wiedemeijer-corrigeert-collegas-de-ligt-en-promes-hadden-rood-moeten-krijgen

 

悔やむゲズブユク
セルダル・ゲズブユクは試合後カメラの前に立つことを拒否してデ・クールを去ったが、月曜にVIのインタビューに応じた。


「悔しい、とても悔しい。第一印象ではレッドカードだとしっかり判断できていたんだ。馬鹿なマネだった。ロートと確信する一方で迷いが出てしまった。これは我々が望むべきでは無いVARシステムの側面」


「VAR(シメン・ムルデル)がこの場合私に呼びかけるべきでは無かったのは事実。100%の場合にだけ介入すべきであり、これはそうでない。しかし自分の責任から逃げるつもりも無いし、最終判定をするのは私。呼びかけられれば主審として見に行かなければならない。呼びかけられた時点で迷いは出るもの。映像を見るとそれほど酷くないように思えたんだ。接触の瞬間に力点は置かれていなかったが、あるカメラポジションから見た印象。それだと殺人タックルでは無かった。だが振り返って見れば間違いなくレッドに十分なファール。ただその映像でも足も高く上がりすぎていたし、私が他の映像を要求しなければいけなかったが、そのアングルからの映像を見て迷いが出てしまったんだ。私にとっては学ぶべきシーン。VARが提示した映像だけで判断せず、もっと多くの映像を要求しないといけない。複数の角度から見て判断が必要。そうしていれば今回も私はレッドカードを出していた」


「シメンとはすでに話をして、我々二人とも良くなかったという結論に達した。辛いし悔しいが、もうどうしようも無いことも理解している。こういう状況は難しい。私はとても悔しい気持ち。ここまでとても良いシーズンを贈っていたからね。8月のヨハン・クライフ・スハールや、ハイライトとしての先週のフェイエノールトPSVは私は良い気分で振り返ることができていた」


「TVや新聞は全て見ていないし、みたくも無い。今回の話はしばらく続くだろう。我々はそこから学ぶだけで、それに苦労は無い。私の見方としてVAR制度は今回のようなシーンではなく、他のシーンのためのもの。後方からのファール、Maradonaのハンドリング、Henryの誤魔化し、先日のCLのManchester Cityであったシュワルベ。そういうシーンで主審を助けるものだ。解釈が関与するケースでは主審に任せるべき。今回のことはすぐにウィンターストップでの評価でかなり厳しく判断されるだろう。ここから学んでもっと良くなるのが目標」


https://www.vi.nl/nieuws/reactie-gozubuyuk-balen-ik-zat-gewoon-goed-in-eerste-instantie

 

KNVBの審判責任者 ディック・ファン・エグモントもADの取材でコメント。
「ビデオ審判がレッドカードを撤回するように助言し、さらにゲズブユクがそれを受け入れたのが残念。我々はこれは見たくは無い。VARが十分しっかり判断できなかった。彼はファールをフルスピードでも見なければいけなかった。ファールの荒さを判断せず、リツ・ドーアンに完全に当たっているかどうかの部分の判断に重きを置きすぎた」

 

ファン・エグモントはゲズブユクが試合後のメディア対応を断ったことに対しては
「残念。人々に判定を理解して貰うために我々は彼に説明して欲しかった。ただまだ熱い戦場に立ちたくなかったのは理解もできる。ういう判定の後で彼の言葉は重く受け止められるからね」とも語った。

 

さらにファン・エグモントはこの数週間VAR制度が上手く機能せず、少なくない混乱を引き起こしている状況について


「我々は9試合のために32人のビデオ審判が起用できる。大抵VARが仕事をするのは2,3週に一度だが、ミスをすれば出番は減る。ただVARのパフォーマンスが良いか悪いかを見て判断するほど我々はまだ十分試合をしていないんだ。その点で我々はまだ起用ポリシーを考えることがでない。我々は完全に新しい状況にいるんだ」とビデオ審判の査定評価が現段階ではまだ行えないことを認めている。


https://www.ad.nl/nederlands-voetbal/knvb-maakt-var-na-fout-niet-een-koppie-kleiner~a532f639/

 

明確さの条件は?
プロメスのファールがイエローカードで終わったのが明らかな誤審であり、VAR制度の手順としてもVARに判断ミスがあったのは間違いない。簡単に言ってしまえば今回は「主審がVARを信用しすぎた」ために起きた失敗と言えるが、ゲズブユクにとって本当に避けられない失敗だっただろうか?VARプロトコルでは「主審によって行われ元々の判定はビデオ・レビューが明確な誤審と示した場合にのみ変更される」とある。


The original decision given by the referee will not be changed unless the video review clearly shows that the decision was clearly wrong.

 

つまり「明確さ」はVARにとっての介入基準なだけではなく、主審がピッチ上ですでに行った判定を最終的に修正する際にも高いハードルとならなければならないはずだが、ゲズブユクのコメントからは「レッドカードでは100%無い」という確信を持てずに判定を修正している印象を強く受ける。VARの介入を受けた主審に判定への迷いが出るのは仕方ない反応ではあるが、ピッチ上では常に毅然とした姿勢を保つゲズブユクがレビュー・スクリーンの前で余りに脆いところを見せてしまったのは残念だった。

 

VARのシメン・ムルデルが「VARとしての最低限度の基本的能力」に欠けていたのは言うまでも無く、VARとしての評価は大きく落ちた。エールディヴィジではここまで28人の主審資格者がVARとして仕事をしており、その中にはまだエールディヴィジでほとんど笛を吹いたことが無い審判も少なくない。もちろん主審としての能力とVARとしての能力は別物であり、評価基準も異なるのが難しいところではあるが、トレーニング期間の違いのためか、シーズン開始当初順調だったビデオ判定にエールディヴィジで主審としての経験がまだ少ない審判がVARを務め初めて問題が多くなってきているのは確かだ。

 

デ・リフトは咎められず

先週末のもう一つ議論を呼んだシーンとして、土曜のマックパルク・スタディオンでのPEC-アヤックスで6分に完全に抜け出そうとしたキングスリー・エイジブエをマタイス・デ・リフトがタックルで足を掛けて倒し、得点機会阻止で早々にレッドカードの思われたが主審 ヨヘム・カンプハイスはイエローカードを提示。VAR デニス・ヒフラーもそれが明確な誤審では 無いと介入しなかった。

 

月曜にKNVBは毎週公開しているリプレイ・センターでのVARによるレビューと主審との通信映像でこのシーンを選択。ヒフラーは接触の前にすでにボールがエイジブエから離れすぎていたとの理由で「100%明確な得点機会阻止では無い」と介入を控えた。

 

本当にデ・リフトが得点機会阻止では無かったのかは議論を呼んでおり、「イエローカードで済んだのは単純にアヤックスの選手だから」という声も多い。ヴィーデマイヤーは「カンプハイスはレッドカードを出すべきだったと思うが、このケースでVARが介入するのは容易では無い」とコメント。VAR制度の主旨として「VARが自信を持てないなら介入を控える」のは正しい姿勢だろう。