1. PSV 18試合15勝1分け2敗 得点49失点21(+28) 46pt
第14節を終えて10勝1敗など、シーズン前の予想を大きく覆して5pts差のコップローパーでの年越しはほぼ全てが上手く行った結果だろう。ロザーノが総額12mil超と言われる高額移籍金の期待に十二分に応えるパフォーマンスを見せ、ファン・ヒンケルがリーダーとして牽引しつつ得点力でも大きく貢献。ロカーディアが遂にスピッツでブレイクという流れで再び負傷のアクシデントもあったが、ロザーノ以外ほとんど戦力の上積みが無い状態でこの成績は不満の言いようが無いはず。特に守備面の不安をチーム全体が引いてコンパクトに構えてカウンターを狙うスタイルの徹底によって「ある程度」カモフラージュし、伸び悩んでいたペレイロに10番の役割を与えてチームに足りなかったクリエイティヴィティをもたらさせたコクーの采配はある程度評価されるべき。もちろんリードした状態でコンパクトに構えて凌ぎきれずに失点する試合もあり、主導権を取って決めきれない試合でのファンの不満もかなり溜まってはいる。カンピューンスハップに向けてフットボール面の向上は多少必要だろう。
この冬の最大の問題はロザーノが問題無く残留するとして、1にも2にも左バックの補強。ルーク・デ・ヨングの得点力不足問題は獲得が決まったマクシミリアーノ・ロメーロが1月から加入するかどうか。
2. Ajax 18試合13勝2分け3敗 得点54失点17 (+37) 41pt
カイザーがペーター・ボスの手法を踏襲しなかったことでよく分からないシーズンスタートになり、結局ヌーリ・ショックがある程度収まった末にフレンキー・デ・ヨングがようやくスタメンに定着してまともになるも、最後はテクニカル・ハートの権力争いで敗れたベルフカンプの首切りに併せてカイザーも解任といういかにもアヤックスらしいピッチ外のドタバタで終わったシーズン前半。クライフェルトの調子が上向き、移籍金に見合わなかったネレスが活躍しだしたのはプラスだろう。
この冬はまず新監督が本当にテン・ハフになるのかどうか。そしてテン・ハフになった時に実際何が起きるのかはペーター・ボスの時以上に誰にも想像できない部分。さらにオーフェルマルスがようやく補強の実権を得たことで今後の移籍ポリシーにどう変化が起きるかが見物。
3. AZ 18試合 12勝2分け4敗 得点34失点19 (+15) 38pt
「より魅力的で攻撃的なフットボール」を目標に臨んだシーズン。その中心的役割を担うはずだったステングスとヴェイノヴィッチが共に序盤でシーズン終了の重傷を負うアクシデントに見舞われたことを考えれば、その目標を達成しつつ3位で年越しは驚愕と大きな賞讃に値する。アシスタント・コーチに加わったアルネ・スロットの貢献が大きいと言われるが、走力とテクニックとパワーを備えた選手たちがヴェフホルストの周囲を常に動き、サイドラインでは無くゴールに向けて走り込むスヴェンソンと左サイドを一人でカバーするアウエヤンの両バックでかなりモダンなフットボールをしている。相手に合わせず主導権を取るスタイルという点では、オランダで最も国際的なレベルの戦術を実戦していると言えるだろう。特にファン・オーフェレーム、ティル、コープマイネルスのAZユースの育成の質の高さを証明するタレント勢が中心となっているが、最高のタレントであるステングスが不在の中で違いを作り続けているヤハンバクシュは目立つ存在に。一方ヴェフホルストはキャプテンとして牽引しているが、やや負担が大きく、フィニッシャーとしての波を生んでいる気も。コントローラーとしてハイレベルなプレーを見せているミチューはヴェイノヴィッチの穴を埋める大きな補強となっており、スカウティングの有能さを再び証明。
この冬も補強ポリシーを守って特に動きは無いはず。ボアドゥら次のタレントの台頭に期待するだろう。
4. PEC Zwolle 18試合9勝6分け3敗 得点26失点21 (+5) 33pt
ヤンスの後任にファン・スキップを迎えた賭は大きな成功。クラブ記録を塗り替えるシーズン前半戦となった大部分がファン・スキップの功績なのは明らかだ。コンディション不良に苦しんだ昨シーズンとは逆にほとんどの選手がフィットし、右バック起用のエイジブエ、コントローラー起用のトーマスが共にリーグトップクラスのパフォーマンスを発揮とコンバートが大成功。異なるタイプの3人のスピッツが週替わりのメリットとデメリットはあるが、両サイドのモクタールとナムリが違いを作っており、組織的な堅い守備と出戻りのブールのセービング能力をベースに接戦をモノにし続けている。
この冬はトーマスとモクタールに移籍の可能性あり、特に前者はステップアップ濃厚な雰囲気。トーマスの穴埋めが困難なのは言うまでも無く、ファン・スキップの手腕でサブトップ争いにどこまで踏ん張れるか。
5. Feyenoord 17試合9勝5分け3敗 得点37失点16 (+21) 32pt
万全の戦力を整えてクラブ史上2回目の連覇という大きな目標を持って臨んだシーズンだったが、全く予想外の苦しいシーズン前半に。ニューコープ、ボテギン、vdハイデン、ハプスという当初想定されていたDF陣は結局1回も揃わず、早々にCBデュオが長期離脱したことで毎試合のようにDF陣の入れ替えが行われることに。さらにヨルゲンセンもシーズン序盤に離脱したことで「替えの利かないチームの柱」がそろって抜けてしまい、CLで完敗を繰り返すことで自信も失われていく最悪の流れに。ファン・ベークが長い怪我から戻り、ヨルゲンセンが復帰した後もなかなかチーム状態が上向かなかったが、12月に入ってマラシアとフェンテという新たなタレントがデビューしてフレッシュな活気をもたらしたことでようやく復調の気配が生まれて結果も出てきたことは今後のクラブ運営という点でも新ジェネラル・ディレクターのヤン・デ・ヨングは喜んでいるだろう。ただカンピューンスハップの目標はすでに困難なため、なるべく高い順位を目指しつつ今シーズンはベーカーに賭けるのが現実的で、タフな試合が並ぶ1月の最後に待つPSV-thuisがシーズンを決める大一番になるはず。
この冬の補強はトールンストラと競争できる以上の得点力のある攻撃的MFが望まれているが、グスタフソンのレンタルバックで済ませる可能性も。あとは待望のファン・ペルシというミラクルがあるかどうか。
6. FC Utrecht 17試合8勝4分け5敗 得点27失点28 (-1) 28pt
今シーズンも4-4-2をベースにしたテン・ハフの戦術が冴えるも、さすがにハレルの穴が大きく、2スピッツの組み合わせで迷走。デッセルスとゲルトラーがスタメンに定着できず、バヘベックも今シーズン絶望の離脱となり、冬前には成長を見せるケルクとフォームが戻ったラビアトの組み合わせに。しかし10番起用になったvdストレークもフィニッシュで力を発揮できず、得点源がほぼラビアトに依存というのは厳しい。試合結果も内容も不安定で、完全なオフデーでの完敗も目立つなど、チームとしての限界も感じる前半戦に。
この冬はまずテン・ハフが残るかどうかが最大のポイント。さらにラビアトがステップアップの希望を公言しており、共に実現すれば大きな方向転換が必要になる。チームとしてやや伸び悩み感のある現状からそれをチャンスに変えられるかどうかだが、テクニカル・ディレクターも兼任するテン・ハフがシーズン半ばで去れば与えるインパクトが大きすぎるため、楽観的にはなれない。
7. ADO Den Haag 18試合8勝2分け8敗 得点25失点28 (-3) 26pt
7位で年越しは今年2月に最下位だったのが夢だったかのような成績。決して大きな補強を行ったわけでは無くこの順位は賞讃に値する。エル・カヤティが高いクオリティで違いを作り、スピッツ陣もジョンセン 7得点、ファルケンブルフ 4得点と十分な仕事ぶり。キスナとロレンゼンの長期離脱で左バイテンを固定できなかったが、右サイドでジェラルド・ベッケルがスピードを活かしてカウンターで大きく貢献している。中盤ではインマルスが目立たないもののチームを支える柱として献身的働きを見せ、CBのベウヘルスダイク、GKのスヴィンケルスと共にチームメイトをしっかり牽引する存在がいるのも大きい。
この冬はエル・カヤティが引き抜かれなければ大きな動きは起きないだろう。
8. Vitesse 17試合6勝6分け5敗 得点30失点22 (+8) 24pt
ELをこなしながらの厳しい前半戦で、アマチュア相手に早々のベーカー戦敗退もハードスケジュールに苦しんだのは間違いないだろう。マタフスとリンセンがフィニッシャーとしてクオリティを発揮したが、カスタイニョスはマタフスと争えるだけの力を見せられず、冬場に向けてマタフスが低調になるとチーム全体がチャンスを作っても決められないフラストレーションが溜まる状態に。チームのフットボールを支える、代役のいないセレーロが怪我がちだったのも厳しい部分だった。Chelsea組は右バックのダボーが悲劇的なスタートから次第に慣れたのか多少マシになり、マウントが少しずつ出場機会を得ているという程度で大きなインパクトは無し。
フレーザーが契約延長しない方向で濃厚になったこの冬はラシーチャに移籍の可能性が多少ある程度。PO枠を目指すには現有戦力でも十分なはずで、まずはコンディションを整えることが最優先だろう。
9. SC Heerenveen 18試合6勝5分け7敗 得点25失点30 (-5) 23pt
昨シーズン後半戦の悪い流れを脱せられたかと思われたシーズンスタートだったが、結局見事に失敗。シーズン序盤にドゥムフリースが付けた勢いも続かず、ホーチャネヤドが不調、ザネリが負傷離脱、冬前にエーデガールトも怪我して前線の駒不足に。DFラインもファン・アーケンとシン・ジュステが去った穴をピーリ台頭だけではとても埋められず、ハーンが数ヶ月間離脱したこともあって不安定な前半戦になった。結局ストレペルが早めのプレッシャーをかけて主導権を取るスタイルを捨て、コンパクトに構えてカウンターを狙う戦術に変更も思うような結果は出ず。
この冬は主力流出は無いだろうが、DF陣の補強は必須。前線の選手たちが戻るまで時間が掛かるようならその穴埋めをどうするかも検討が必要。
10. VVV-Venlo 18試合5勝7分け6敗 得点22失点26 (-4) 22pt
昇格シーズンで不十分な戦力ながらレヒターライチェのトップで年越しは望外の成績。大きな入れ替えを行わずに継続路線で臨んだことがここまでは成功していると言える。少ない補強の中でもウネスタールが大当たり。外国人GKで外れを引く下位クラブが多い中で、チームに勝ち点をもたらすことができるクオリティを備えたGKを得られたのはとてつもなく大きい。ティの得点力不足が悩みだが、ウィンターストップ前のヘラクレス戦で突然のハットトリックでポテンシャルがあることは証明。レーマンスのミドルシュートという武器もあり、ファン・クローイ、ティスダリ、オポクの誰かの調子が上がれば残留に向けて大きな問題に陥ることは無さそうな雰囲気。
この冬はできるなら両バックの補強をしたいだろうが、例外的チャンスが無ければ動きは無さそう。
11. Heracles Almelo 18試合6勝4分け8敗 得点26失点37 (-11) 22pt
今シーズンも予想通り中位で安定した成績。特筆すべきはクヴァスの充実ぶりで、ボールを持てばどんな状況でも違いを作れるクオリティを見せている。アマチュア上がりのニーマイヤーもフィニッシュで力を発揮しており、攻撃面は充実。やはり問題は守備面で、モンテイロがコントローラーとして予想以上の活躍を見せるも、DFラインは怪我による入れ替えも多くあまりに不安定だった。後半戦もロビン・プロッペルやファン・ヒントゥムがスタメンに定着できないようだと大きな違いは無いだろう。
この冬はクヴァスが残留するかどうかが最大のポイント。残留ならPO枠に向けて多少のチャンスもあるはず。
12. Excelsior 18試合6勝3分け9敗 得点21失点27 (-6) 21pt
昨シーズンの流れそのままに、今シーズンもここまでは残留争いに巻き込まれることなく勝ち点を積み重ねることに成功。ヴァウデスタインでなかなか勝てずに苦しんだが、なぜかアウエーで序盤好調だったのが大きい。11月以降5連敗があったものの、最後の2試合で4ptsを得て気持ち良く年越し。昨シーズン独力で違いを作っていたハッセルバインクの穴は埋まらないものの、ファイク、コールワイク、ブラインスが揃った時のフットボール能力は非常に高く、コンビネーションで打開できるのが大きい。問題はクリスティンソンが期待を裏切ったGKと、ファン・ダイネンに良いクロスを供給できるバイテンスペーラーの不在。
この冬も大きな動きはできないが、戦力を整理しつつレンタルなどで補強チャンスがあるかどうか。
13. FC Groningen 18試合5勝5分け8敗 得点30失点30 (0) 20pt
攻撃的なフットボールを望むナイラントとサポーターの願いは今シーズンも果たされておらず、ユーロボルフにブーイングが響くのも仕方ない内容。特にロッカールームでフェルトワイクにマヒーが暴言を吐いたことがメディアに大々的に報じられるなど、選手たちの統率が取れていないというこの数年の問題が一気に表面化した感がある。当然ピッチ上でも影響が強く、良いパフォーマンスを見せている選手がほとんどおらず、軒並み期待を裏切っているため、この順位も妥当だろう。
この冬はさっさとマヒーを売却する可能性も。とにかくチームの空気を入れ替えることができれなければ、このまま後半戦もズルズルと過ごして最悪残留争いに巻き込まれる可能性もある。
14. Willem II 18試合4勝4分け10敗 得点27失点40 (-13) 16pt
チームが形になるまでかなり時間がかかり、予想通り苦しいシーズンになっているが、11月にガン手術を乗り越えたソルと長期離脱から復帰したオフベチェの強力2スピッツが揃って好転の兆しも。失望に終わったのはドイツ人GK ヴェレンロイテルで、VVVのウネスタールとは好対照な結果になり、シーズン当初第3GKだったブランデルホルストがスタメンに定着。一方で左バックのツィミカス、中盤のベン・リーンストラら新戦力は十二分に期待に応えており、後半戦 ソルとオフベチェが怪我無く過ごせれば早々に16位ラインから離れてレヒターライチェのトップを争える可能性は十分ある。
15. NAC Breda 18試合4勝4分け10敗 得点20失点35 (-15) 16pt
昇格シーズンは予想通り厳しい前半戦。ManCityから多くのタレントをレンタルしてチームを作るも、若く不安定過ぎ、あまりに低い完成度で長いシーズンを戦いながら選手個人個人とチームを成長させて最後に何とか残留の目があるかという厳しい賭け。レンタル組では左バックのアンジェリーニョが高いクオリティを見せ、マヌ・ガルシアも10番起用になってからは度々違いを作っているが、その他はチーム全体を見回してもジュピラー・リーグレベル。
この冬の補強はするにしてもやはりレンタルに頼るしか無く、それも大当たりを期待するのは非現実的。最終節まで長く険しい戦い。
16. FC Twente 18試合4勝3分け11敗 得点24失点33 (-9) 15pt
上手く行きすぎた昨シーズンの反動か、当たりの補強も無く、残留という目標通りに残留争いのシーズン。4連敗から始まって第4節のトゥエンテ-thuis 4-0勝利以降多少勝ち星が突くようになったものの、結局11月頭にハーケが解任、遂にフェルベークが愛するトゥエンテを率いるも、良い試合と悪い試合が交互に行われる不安定な内容。それでも12月頭のアヤックス-thuisで3-3と激しい試合を引き分け、その後のベーカー戦でもアヤックスをPK戦で下すなど、後半戦に向けて期待が持てる材料はある。スラフフェールが離脱した攻撃陣はアサイディに依存しすぎているが、フレデリク・イェンセンの調子が上向きつつあるのはプラス。後半戦ブーレに当たりが出てくれば残留に向けて大きな「補強」になるが、あまり期待は持てないだろう。
この冬の補強が可能ならスラフフェールの穴埋めのバイテンスペーラーは何とかしたいところ。他にも補強ポイントは数多いが・・・
17. Sparta Rotterdam 17試合2勝5分け10敗 得点13失点37 (-24) 11pt
夏の補強が失敗だったのは誰の目にも明らか。コルトスミットやデロイ・ドゥアルテ、スピーリングス以外はせいぜいジュピラー・リーグ中位のクオリティのセレクションでまだ同勝ち点での最下位で済んでいるのは幸運な方だろう。結局ウィンターストップを待たずにパストールが責任を取らされ、アドフォカートを招聘。合意にあたって補強の約束をしているのは間違いなく、まずはこの冬にどれだけ動けるか。特に全く機能していない守備陣の補強は必須。できるならはほとんど総取っ替えしたいだろうが。
18. Roda JC Kerkrade 18試合3勝2分け13敗 得点17失点40 (-23) 11pt
6連敗スタートからそのまま下位に定着して赤ランタン持ちでの年越し。GKのユルユス、10番のグスタフソンが孤軍奮闘するくらいで、他の選手のクオリティがあまりに低い。特に組み立てからフットボール能力の無さが悲劇的。その中でもグスタフソンが毎試合チャンスを提供しているが、それを決められる選手もいないという状況。
フェイエノールトがグスタフソンを連れ戻す可能性もあるこの冬もファン・フェルトホーフェンのやるべき仕事は多い。パニック補強に走らずに適切なクオリティをチームにもたらすことができるかどうか。モレナールにこのまま任せて良いのかも検討すべきだろう。