今シーズンも紆余曲折を経てリーグの全日程が終了。シーズンを通してメディアを賑わわせたトゥエンテの問題がPOの最中にジュピラー・リーグ降格処分というライセンス委員会の『斜め上の決定』により、残念ながら今後数週間の裁判にまで続く見込みになってしまったのが今シーズンのオランダ・フットボール最大の汚点だろう。
ピッチ上では今シーズンも大きくブレイクするタレントがいる一方で、安定して実力を発揮するトッププレイヤーがおらず、その分サブトップからトップへ挑んだ選手たちの明暗が目立った印象。むしろ4-3-3以外のシステムが明らかに増えたことで、監督たちの戦術的側面に注目が集まったが、5-3-2や4-4-2の採用が増えたのはサイドの1対1で違いを作れるバイテンスペーラーが希少になったことも要因だろう。
カンピューンスハップは大本命のPSVがCLとの二足のわらじに苦しみつつ、最終節のデ・フラーフスハップの健闘によって劇的に二連覇という結果的に順当な形に。一方でカンピューンスハップを長く争うことを目指したフェイエノールトは今シーズンもトップ2に差を付けられる失望に終わり、トップ2とフェイエノールト+サブトップの財政規模がそのまま勝ち点差に表れたのもまた順当と言えるか。Leicester Cityのように偶発的な事件が起きる可能性は今後もエールディヴィジには残されているが…
サブトップ争いでは補強策が成功したAZとテン・ハフがオランダ・フットボールに新しいインスピレーションを与えたユトレヒトがベスト・オブ・レストを争う中、ヘラクレスの大躍進が今シーズンのエールディヴィジに明るい光を与え、欧州戦POには届かなかったが昇格1年目のNECの好成績も光った。ステーヘマンやファーベルといった新しい世代の監督たちが好成績を残したのは喜ぶべきことだろう。
残留争いはADOとローダが抜け出し、エクセルシオールが見事なパフォーマンスで歴史的な2年連続直接残留に成功。ヴィレムIIが入れ替えPOで生き残り、デ・フラーフスハップもトゥエンテ枠で残留。カンブールが落ち、来シーズンはスパルタとゴー・アヘッド・イーグルスが加わることで人工芝の数は変わらず。
その他のトピックでは特にシーズン序盤に一発レッドカードの試合後の取り消しが目立ち、特にフェイエノールトは弁護士 ファン・ベンテムが規律委員会と抗議委員会で3連勝とピッチ上のチームのパフォーマンスを遥かに上回る好成績で話題に。エド・ヤンセンは誤審自体は増えていないとコメントしたが、ケフィン・ブロムやデニー・マッケリーが低調なシーズンを送り、イェルーン・マンスホットやヨヘム・カンプハイスの次世代がまだトップレベルに対応できないことが明らかになるなど、カイパース後に向けて不安は大きい。来シーズンおそらくベーカー戦でオンラインテストが始まるビデオ・アシスタント・レフリー制度が成功してくれることを期待したいが、審判の育成改善も急務だ。
1 PSV 26勝6分2敗 84pts 得点88 失点32
CLとの二足のわらじに苦しみながら後半戦に46ptsを積み重ね、最後はスーパーブーレンに助けられて圧倒的大本命が劇的に23回目のティートル獲得。最もクオリティも層もあるセレクションで正当なカンピューンと言う他無いが、CLでのグループステージ ポット1を活かして冬越えを果たし、来シーズンのCLグループステージ枠も獲得したことは財政面でとてつもなく大きな弾みに。エールディヴィジでは決して高いレベルのプレーだった訳ではなく、主導権を取った時にプレーを作るのに苦労していたのは昨年に比べてアンドレアス・グアルダードが怪我もあって決してコンスタントで圧倒的なパフォーマンスでなかったことと、ワィナルドゥム、デパイといったドリブラーがいなかったことも要因か。しかし高いレベルにすんなり適応したデイヴィ・プロッペルやチームリーダーとして牽引してゴールを決め続けたルーク・デ・ヨングらが違いを作り、不安定だった序盤以降は概ね高いレベルを維持したイェルーン・ズート、ほとんどファール無しに相手選手を止め続けたヘクトール・モレーノの存在も大きく、最終的にオランダでは圧倒的な選手個々の成熟度の高さがカンピューンスハップで決定的な要因になったと言える。。家族の不幸でレスティエンが期待に応えられずに終わり、ロカーディアがある程度役割を果たしたものの、来シーズンに向けてベルフワインのブレイクやペレイロの成長などサイドで違いを作れる選手の出現が必要だろう。
2 Ajax 25勝 7分 2敗 82pts 得点81 失点21
どう見ても最悪だった昨年と比べてもそれほど変わらない質のセレクションで82ptsを稼いで最終節まで圧倒的なクオリティの差のあるアヤックスとカンピューンスハップを争ったのは驚き。今シーズンもフロントの脱クライフ騒動で連日メディアを賑わせながらのこの結果はフランク・デ・ブールの手腕を讃える他無いだろう。プレー面では特にポジションプレーでデ・ブール体制下最低のレベルだったが、後方から中盤で組み立てるのではなく、早々に前線に放り込む直接的なプレーが増え、「よりチャンスを多くして魅力的な攻撃をする」という名目で採用された10番システムが結局はチャンスを増やすのではなく失点を減らす結果に。展開力に欠けるネマンヤ・グデルィをコントローラーで起用し続け、どう見てもアヤックスの9番には不適格なミリクに代わるスピッツが見つからなかったことが大きな要因だろうが、戦術に選手を当て嵌める理想主義者のデ・ブールが選手の能力を最大限に発揮させる戦術家に姿を変えたのは新しいステップへの成長とも言えるか、それともベルフカンプとトゥルスフルの手法の違いから来たただの混乱の結果か。違いを作ったのは右バックとして明らかにCB以上の適応を見せたジョエル・フェルトマンと、珍しくスカウティングが成功したアミン・ユネス。来シーズンはとにかくデ・ブールが去った後をどうするかで、劇薬 ペーター・ボスを後任に迎えるのなら大成功も大失敗もあり得る注目のシーズンを迎えることになるが。
3 Feyenoord 19勝 6分 9敗 63pts 得点62 失点40
結局今シーズンもカンピューンスハップを争うという野望は果たせず、大きな差を付けられての3位。ベーカー獲得である程度の『ガス抜き』はできたが、高い期待に全く応えられなかったのはようやく買えるようになった選手たちがサブトップのレベルからステップアップできなかったことがまず大きな要因。来シーズンに向けこの夏はまずマルティン・ファン・ヘールへの査定からになるだろう。特にクラーシの穴を埋めると期待された移籍金350万ユーロのマルコ・ヴェイノヴィッチはフィテッセでのハイパフォーマンスを全く発揮できず、エルジェロ・エリアも対面の相手を全く抜けない時期が長く、14ゴールを決めたミヒル・クラーメルは前で待つだけでチームのフットボールに全くと言っていいほど参加しようとしなかった。唯一ディルク・カイトだけは年齢からそれほど高くなかった期待を逆に裏切る活躍ぶりでエールディヴィジを盛り上げる存在感を見せたが、チームとしてウィンターストップ前後の7連敗を抜きにしても良い試合をほとんど見せられず、接戦をチームの一体感を武器になんとかモノにする展開が多かったのは少なすぎる得点と多すぎる失点、ベストプレイヤーがシーズンを通してただ一人パフォーマンスを高いレベルで維持したケネト・フェルメールだったことに現れている。監督1年目のジョヴァンニ・ファン・ブロンクホルストはクラブの顔として冷静さで好印象を与え、戦術家としての顔もある程度見せたが、ユース出身の若手を冷遇した印象のある前任のルテンからユース重視へ舵を切ることも無く、トニー・フィレーナは新契約を受けずにフリーで去り、アナス・アチャバールも最後まで3番手に留まり、トップタレントのヤーリ・スフールマンもシーズン最後の5分間でようやくデビューと、ピッチ上にフレッシュなムードをもたらすことは無かった。来シーズンに向けてプレーレベルを数段向上させることが必須だが、ファン・ヘールの去就やこの夏も多そうな選手の出入りを含め、まだ希望は見えない。
4 AZ 18勝 5分 11敗 59pts 得点70 失点53
エステバン、フート、グデルィ、ベルフハイス、アロン・ヨハンソンと縦軸とスペルマーカーが綺麗に抜けて苦しいシーズンになるかと思われたが、ELの終わった後半戦に巻き返しての4位は見事。原動力となったのは帰ってきたロン・フラールの復活、冬に獲得したスタイン・ヴァイテンスの急場凌ぎのCB起用の予想外の成功、そしてマルクス・ヘンリクセンの10番起用とフィンチェント・ヤンセンの想像を絶する急成長だろう。チーム戦術がまとまった後半戦は攻守の切り替えに一体感が生まれ、ホームでフェイエノールトをハイプレスから4-2で破った試合は圧巻のパフォーマンスだった。来シーズンはドス・サントスに代表される活気あるユース組のさらなる成長と中盤のフットボール能力の向上、怪我から復帰に時間がかかったヤハンバクシュの本当の復活などが期待されるが、まずは間違いなく去るはずのヘンリクセンとヤンセンの後任探し。一方でフラールがいち早く新契約にサインしたことはクラブに落ち着きを与える大きなプラス。
5 FC Utrecht 15勝 8分 11敗 53pts 得点57 失点48
エリック・テン・ハフの就任が予想以上の変化をもたらして劇的な1年に。エルヴィン・クーマンら過去の監督たちが批判したクラブ体質に容赦無くメスを入れ、ピッチ上でもこれまでのユトレヒトのイメージを完全に覆す戦術的なフットボールに。伝統的にファイティングスピリットを前面に出すフットボールをしてきたクラブで5-3-2と4-4-2を臨機応変に使い分けるチェスゲーム・フットボールを展開したのは大きな驚きであり、攻撃的でも魅力的でも無いものの、数字的には見事に結果を残した。ダイナミズムをもたらしたなティモ・レッチェルトとバルト・ラムセラールの急激な成長、ナセル・バラジテの復活、波はあったが欠かせない存在であり続けたセバスティエン・ハレルなどの存在が大きかったが、クリエイティヴィティをもたらすヤシン・アユプをシーズン終盤怪我で欠いたのが大きく、ベーカーフィナーレ、最終節のAZ戦、欧州戦POのヘラクレス戦を全て低調な内容で敗れて結果的には何も得られなかったシーズンに。現実主義的な戦術家としてのイメージを残したテン・ハフが来シーズンも同じ方向性を進むかどうかは移籍市場次第だろうが、財政状況を見ればたとえハレルが高額で売れても大きな補強は期待できない。そして依然として観客が増えないハルヘンワールトの様子を見る限り、テン・ハフのフットボールがサポーターに支持されるのかも注目点。
6 Heracles Almelo 14勝 9分 11敗 51pts 得点47 失点49
厳しい残留争いを強いられていたここ数シーズンを考えればまさに夢のシーズン。昨シーズン後半戦から流れが変わる予兆は確かにあったが、大改築を終えたニュー・ポルマン・スタディオンが与えたインパクトがとてつもなく大きかったのは明らかだ。序盤に勢いを与えたタナーネが長期負傷、冬に移籍した穴は大きかったが、チームの一体感を武器にサブトップの争いに生き残り続けたのはジョン・ステーヘマンの手腕であり、終わってみれば今シーズンの最優秀監督に最も相応しかった。ジョーイ・ペルペシー、トーマス・ブルーンス、イリアス・ベル・ハサーニの走力とフットボール能力を兼ね備えた中盤は冬場以降、特にコントローラーのペルペシーの調子が落ちたことで低調になったが、シーズン終盤にベル・ハサーニが大きく調子を上げて決定的な仕事をし続けた。POでも個々のクオリティで優るユトレヒトに見事に競り勝ってクラブ史上初の欧州戦チケットを獲得。この夏の移籍市場でもベル・ハサーニやヴェフホルストら主力が去り、補強は現実的なものに留まるはずで、EL予選を勝ち抜くのはさらなる奇跡が必要ではあるが、クラブの今後の成長に向けて新たな歴史を刻めた意義は大きい。
7 FC Groningen 14勝 8分 12敗 50pts 得点41 失点48
ベーカーウィナーとしてELグループステージ参戦もシェリー、キーフテンベルト、ボテギンの抜けた穴は大きく、デ・レーウのゴールゲッターとしての力も衰えて苦しいシーズンに。アルベルと・ルスナク、イェスパー・ドロスト、ブライアン・リンセン、ミムーン・マヒーらのアタッカーを活かせる9番の不在が痛く、シーズン終盤にウサマ・イドリシがブレイクもチームとしてのフットボールは説得力を欠いたまま欧州戦POで敗退。エルヴィン・ファン・デ・ローイはサポーターから大きな批判を浴びて退任に。来シーズンはエルネスト・ファーベルの監督就任が決まっており、新しい姿が期待できるが、サブトップを争うにはやはり強力なCBとスピッツの獲得が必要。
8 PEC Zwolle 14勝 6分 14敗 48pts 得点56 失点54
財政面の困難からチームが大きく入れ替わり、レンタル組も多い、若く不安定なチームでPOに進んだのはロン・ヤンスの手腕だろう。特にシーズン前半は徹底したボールを持たないカウンター戦術で勝ち点を重ね、フットボール面でチームの中核だったリーンストラの移籍をウアシム・ブイーのレンタルで補ったのは大きなサプライズだった。同じくレンタル組のシェラルド・ベッケル、クインシー・メニフの活躍もあったが、何よりもラルス・フェルトワイクの得点とアシストが大きな価値を持っていたのは明らか。契約選手のヴァウター・マリーヌスとリック・デッケルがプロ1年目で主力に定着し、来シーズンにもある程度計算できる戦力が生まれたのはプラスだが、金額的に無理なフェルトワイクの買い取りを諦めて獲得したアナス・アチャバールが新スピッツとして大ブレイクできるかが大きな鍵に。
9 Vitesse 12勝 10分 12敗 46pts 得点55 失点38
ペーター・ボスがシーズン半ばで中東へ去り、アシスタントのロブ・マースが後を継いだが、欧州戦PO枠も逃して前任者の偉大さを証明する結果に。新米監督が率いるにはフィテッセという特殊なクラブは難し過ぎたのは間違いないが、グラム・カシアの冷遇やケルフィン・レールダムのリザーブ送りなどロッカールームを落ち着かせることができず、ピッチ上での采配も疑問点ばかりで選手交代でスタンドからブーイングが飛ぶことが多かった。マルフェラウス・ナカンバが競り合いの強さを見せ、ミロト・ラシーチャがサイドで違いを作るなど期待を持たせる面もあったが、ドミニク・ソレンキがとてつもないポテンシャルを感じさせる一方で、ユース選手のような”playful”なスタイルでフィニッシャーとしての怖さを感じさせなかったことが象徴するようにチームとして作ったチャンスをほとんど決められないことから悪循環に。来シーズンに向けては新監督の決定が第1だが、この1年のgdgdからChelseaからのレンタル選手頼みの状況が(どちらからにせよ)変わるかもポイント。
10 NEC 13勝 7分 14敗 46pts 得点37 失点42
昇格1年目で記録的な勝ち点を積み重ねた前半戦から、ウィンターストップ以降はサントスの移籍を巡る騒動などもありクラブ内でゴタゴタした印象を残して結局PO圏に届かず。サントス、リンボンベ、フォールらの攻撃陣が目立った前半戦に比べ、冬に加入したGK ブラッド・ジョーンスが高いクオリティで話題を呼んだことにもシーズンの流れが象徴されている。特にシーズンを通して中盤での安定感を欠いたのが痛かったか。ビケルはプロでの本格的なフルシーズンで躍進を見せたもののパフォーマンスは安定していたとは言えず、リッツマイエルとスレーヘルスも期待に応えられなかった。期待を上回るプレーを見せたのはトッド・ケインとルーカス・ヴァウデンベルフの両バック。前者はステップアップ確実で後者もフェイエノールトに戻ってスタメンを争うはず。来シーズンに向けてはファーベルが去り、ドイツから育成の名手で知られる若手指導者 ペーター・ヒバラを招聘。ただサントスやフォールらキープレイヤーが契約終了のため、安定した中位の目標を達成するにはこの夏は少なくない補強が必要。
11 ADO Den Haag 10勝 13分 11敗 43pts 得点48 失点49
ワング買収から本格的な1年目で昨夏に十分な補強も行って今シーズン台風の目とも期待されたが、そのワングからの送金が遅れに遅れて野望への将来図どころかサラリー支払いも危ぶまれる状況がプレーに影響したと判断されても仕方ないだろう。ゴタゴタの中で結局リンカーライチェには届かず、残留という現実的な目標だけ達成。リーグ最多10アシストを稼いだエドゥアルド・ドゥプランとヘディングの強さを活かして16ゴールを記録したマイク・ハーフェナールが結果を残したものの、トミー・ベウヘルスダイク以外のDF陣がほとんど固定できずに守備組織がシーズンを通して混乱。チームを牽引すると思われたトーマス・クリステンセンを外してティモティー・デライクのコントローラー起用で現実的なリアクション・フットボール路線に。来シーズンに向けてはワングとの路線がどの方向に進むのか依然不透明であり、契約終了の選手も多いがそれ以前にヘンク・フレーザーが見切りをつけて去る可能性もあり、この夏も先の見えない混迷。
12 SC Heerenveen 11勝 9分 14敗 42pts 得点46 失点61
ウートの後任を期待されたテ・フレーデとフェールマンも大きなインパクトを残せなかったことでフィニッシュワークに苦戦。フロントのごたごたからピッチ上も迷走してローデウェーヘスがウィンターストップを待たずに辞任し、緊急的に戻ったフォッペ・デ・ハーンが結局最後まで指揮を執ったが、それでもパフォーマンスを安定させることはできなかった。サム・ラーソンが後半戦に入ってようやく成長を見せるなどプラス面もあったが、結局夏に突然引き抜かれたデ・ローンの穴を埋めることが最後までできず。ファン・デン・ボーメンは守備面が甘く、ジェリー・シン・ジュステがコントローラー起用で高いポテンシャルを見せたが、スタメンを固定して戦うところまでチームを落ち着かせられなかったのが残念。来シーズンはユルヘン・ストレペルの監督就任が決まっているが、貴重なベテランのジョーイ・ファン・デン・ベルフとの契約を延長せずにお別れを決め、夏の補強でストレペルのフットボール観に合う選手を得られなければ来シーズン迷走する怖れもあり、状況は楽観できない。
13 FC Twente 12勝 7分 15敗 40pts(-3pts) 得点49 失点64
悲劇的な財政状況で迎えたシーズンはさらに悲劇的展開を迎え、ピッチ内よりもピッチ外でクラブ存続への戦いがメインになった1年。ジュピラー・リーグでの存続は現在の契約では不可能と結局裁判に持ち込むことになったが、エールディヴィジでの存続よりも一気にライセンス停止でプロ・フットボールから姿を消す可能性の方が大きい。
14 Roda JC Kerkrade 8勝 10分 16敗 34pts 得点34 失点55
昇格1年目で戦力的にも苦戦が予想されたシーズンだったが、15位で迎えたウィンターストップに大補強を敢行。パニック買いにも思われたが、結果的にマルクス・グヨン、うグル・インチマンがチームに安定感をもたらしトム・ファン・ヒフテが攻撃面で違いを作る役割に集中できるようになったことで大きな問題なく残留を決定。しかしダルジェ・カレジッチと新テクニカル・ディレクター トン・カーネンの間の亀裂は明らかで、カレジッチはシーズン終了後間もなくして解任。安定した中堅への道はまだまだこれから。
15 Excelsior 7勝 9分 18敗 30pts 得点34 失点60
ダイクハイゼンからフルーネンダイクに代わったが、スタイルを大きく変えることは無く歴史的な2年連続直接残留の偉業達成は素晴らしい結果。ウィンターストップ過ぎの連敗で危機感が生まれる時期もあったが、ヴァウデスタインでNECとフローニゲンに勝利し、ヘーレンフェーンとPECに引き分け、最終節カンブールとのアウエーゲームに勝利して無事に残留。前半違いを作っていたジェフ・スタンスの調子が落ちた時期から終盤にトム・ファン・ヴェールトがゴールを決めだしたのが大きかった。サイドだけでなく10番起用でも奮闘したブランドリー・クヴァス、冬の加入でコントローラーとして復活を感じさせたルイジ・ブラインスの存在も欠かせない。
16 Willem II 6勝 11分 17敗 29pts 得点35 失点53
昇格2シーズン目でこれだけ苦しんだのは移籍市場での失敗が大きな要因だろう。ジヴコヴィッチは予想通り全くチームのプレースタイルに合わず、冬に大きな期待を持って獲得したオフベチェも活躍する前にシーズン絶望の怪我。さらに冬にチームのフットボールの心臓だったスタイン・ヴァイテンスを失い、希望を掛けたフリーのカーリもやはりシーズン絶望の怪我。シーズンの流れ的には入れ替え戦で降格も濃厚な展望だったが、直前にルーカス・アンダーセンが調子を上げ、絶望視されていたカーリがフィットしてスタメンに戻ったことで、結局低調だったNACを楽々破って残留に成功。来シーズンはストレペルが去って後任にエルヴィン・ファン・デ・ローイの就任が発表。チームのプレースタイルに変化が生まれる可能性もあるが、まずはどんなタイプのスピッツを探すか。
17 De Graafschap 5勝 8分 21敗 23pts 得点39 失点66
入れ替え戦での驚きの昇格からほとんど有効な補強もできず、最下位降格の最有力と見られていたスーパーブーレン。シーズン前半戦はまさにその通りの試合内容だったが、シーズン後半の巻き返しは今シーズン最大の驚きの一つだろう。元々期待が高く無かったとはいえ、落ち着いてヤン・フレーマンに任せ続けたフロントとチームを支え続けたデ・ファイフェルベルフのサポーターは賞賛に値する。カンブールの悲劇的低調さもあったが、コンパクトな4-4-2からドライファー、エル・イェブリらの能力を活かして確実にフィンチェント・フェルマイまでボールを繋ぐスタイルで勝ち点を積み重ねて見事に直接降格を回避。入れ替え戦ではゴー・アヘッドのカウンター・フットボールに苦戦し、1試合目でファン・デ・パーフェルトが早々に退場したのが響いて敗れたものの、結局ヴィレムIIの残留成功に助けられてトゥエンテ裁判の結果待ちながら残留の流れに。来シーズンも厳しい戦いになるだろうが、伝統の4-4-2スタイルは変わらないはず。移籍市場で去るはずのユルユスら主力の穴を埋められるかどうか。
18 SC Cambuur 3勝 9分 22敗 18pts 得点33 失点79
3年間過ごしたエールディヴィジから悲劇的なシーズンで最下位降格。ライネンとドロステのCBデュオが去り、スピッツもヘメンが抜け、ラチマン、ベリシャらの補強は見事に失敗。サポーターはヘンク・デ・ヨングを支持し続けたが、冬の移籍市場でオフベチェを失ったのが致命的だった。代わりにイングランドから連れ戻しでレンタルしたファン・フェーンは全く期待に応えられず、攻守共にクオリティ不足は明らかな上にフィニッシュで力を発揮できる選手がいなければわずか3勝での最下位も納得だろう。