ヨハン・クライフ・スハールを終えていよいよこの週末から新シーズンがスタートするエールディヴィジ。この夏も多くのクラブがチームを刷新した中でどのような勢力図が描かれるか、大まかに展望。
ADO Den Haag
昨シーズンはフレッシュなフットボールを見せながらトールンストラが去った後半戦に大きくトーンダウンしたADO。失望に終わったプポンをレンタルに出し、キープレイヤーだったシェリーも去ったが、ハウリエ、スヘット、カブラルと攻撃陣を補強。ゴールゲッターのファン・ダイネンが残り、ファン・ハーレンの獲得でフィチェント・ヤンセンとのファルケノールト・コンビが機能すれば今シーズンも楽しませてくれるかもしれないが、目標としては10位前後が現実的だろう。
『負の遺産』スレイマニがついに去り、今のところ戦力ダウンもなく、この夏も国内外から10代のタレントをかき集めるのに終始。たいした話題もないがこのまま9/3を迎えられれば今シーズンもカンピューンスハップの本命であることは間違いない。
AZ
昨シーズンの失点増の反省からハウウェレーウとヴァイテンスを獲得、中盤にグデルィも加えていち早く移籍市場で体制を整えることに成功したAZ。それでもアルティドールとマヘルの移籍は大きな戦力ダウンだが、グデルィやアロン・ヨハンソンという代役たちが成長を見せられればチームとしては昨シーズンの繰り返しになることは無いのはJCスハールでも感じさせてくれた。再びカンピューンスハップを争うのは現実的ではないが、欧州戦は確保していきたいところ。
SC Cambuur
ジュピラー・リーグを劇的に制しての昇格。補強はエールディヴィジでフリーになったファン・レーウヴィンやジュピラー・リーグからの獲得だが、チームとしては継続のカラーが濃いだろう。フリースラントのスモールクラブがエールディヴィジでどんなフットボールを見せるかは楽しみだが、目標は残留のみ。
Feyenoord
放出は契約切れのレールダムと構想外のモコチョ、フェルナンデスのみで、今のところ大きなマイナスも無いが大きなプラスも無く、カイプ・プランの問題に終始した夏。財政的に補強の見込みは薄いが、今年もファン・ハールが最終日のサプライズを見せるかどうか。レンタルバックのマヌが活躍すればボエチウスの復帰までの序盤戦を乗り切れるだろうが、そのマヌも4試合出場停止なのが泣き所。チームとしては今のところタレントたちが全て残留しており、心身ともに成長を見せられればコールシンゲルの夢にさらに近づける・・・だろうか。
Go Ahead Eagles
自慢の攻撃的フットボールで入れ替えPOを見事に制して久々の昇格。一発勝負ならエールディヴィジのクラブも十分に苦しめられるのはこの数年のベーカー戦でのジャイアント・キリングで証明しており、リーグ戦で安定した成績は望めなくとも、トップクラブにとっても十分驚異となる存在だろう。マルスマン、プロメス、ミシジャンらが去ったが、Cercle Bruggeからフデーをレンタルし、フリーになっていたクミンスを獲得するなど補強も的確に行えている印象。目標は残留だが、フーケ・ボーイがプレッシャーを感じずに伸び伸びと采配を振れることを期待しよう。
FC Groningen
説得力のあるパフォーマンスを見せられなかったマースカントを1年で切ってファン・ローイが昇格。セレクションからもアジロレ、クワクマン、スパルフ、バクーナ、ファン・ダイクと多くの選手が去った。補強にはジリ・ワィナルドゥム、ボテギン、ファン・デル・フェルデンに加えてシェリーとエールディヴィジでの経験のある選手たちを獲得。ゼーファイクのスピッツ問題は依然残るが、シェリーとデ・レーウがどんな連携を見せるかは楽しみ。目標は再びPO圏内。
sc Heerenveen
ジュリチッチが去り、ハウウェレーウも移籍、エル・ガナスィとマレチェクもレンタル元に帰った一方でヴィルツフット、エイクレム、レンタルでダイクスと補強。もしこのままフィンボガソンが残ったとしても攻守にトーンダウンした印象はぬぐえない。唯一ファン・デン・ベルフ、ツィエヒにエイクレムを加えた中盤がプラスか。昨シーズン終盤にようやく完成した印象のあったチームとしてのプレッシングが早い段階で機能すれば去年の二の舞を避けられるだろうが、目標はやはりPO圏内。
Heracles Almelo
クラブトップスコアラーのエヴァートンが契約終了でついに移籍、再び新チームを作る段階でボスもクラブを去った。前線はリンセン、タナネ、カンハスコルカと補強できたが、新監督デ・ヨンゲがこれまでの攻撃的スタイルをどれだけ引き継げるかは未知数。目標はレヒターライチェ上位だろう。
NAC Breda
下位で苦しんだ昨シーズン。セレクションからはグデルィ、ボテギン、ライクスとさらにキープレイヤーが抜けたが、サルポン、プポン、ジョーイ・スク、ボドゥル、クワクマン、スヴェルツ、ヘンリコ・ドロストと積極的な補強。デニー・フェルベークも再レンタルに成功し、新加入の選手たちに連携が生まれてくれば面白いチームに。ベテラン ルールリングが昨シーズン同様のハイパフォーマンスを見せられるかも注目。
N.E.C.
バボシュ、プラッチェ、テン・フォールデ、スノが去ってにAZからのレンタル組も返還。補強は国外からが多く未知数だが、スコットランド・プレミア・リーグでトップスコアラーを獲得したHigdonが期待に応えれば再びリンカーライチェを狙える存在。ただファン・アイデンに移籍の噂も。
PEC Zwolle
昇格1年目で見事なフットボールを見せたPEC。アフディッチ、プライムがレンタル元に帰ったが、ステフ・ナイラント、モコチョ、ギオン・フェルナンデスと補強。プレシーズンの成績も好調なため、ヤンスの采配がはまれば今シーズンも目を引く存在に。特にモコチョ、フェルナンデスの古巣 フェイエノールトと当たる第1節が注目。
失望の5年間を過ごして「これからはユースに目を向ける」というブランツの言葉も当然実現されず、メルテンス、レンス、ピータース、ストロートマンを高額売却してブルマ、ヨーゼフゾーン、マヘル、スハールス、アリアスを獲得してレキクをレンタルとこの夏も派手な動きで話題を振りまいた。新監督コクーとスハールス、レキク、マヘルらがチームに新たなメンタリティをもたらすことができれば5年間の失望を打ち消すこともできるかもしれない。懸案だったCBデュオがまさかのファルケノールト組だが、特にスーパータレントであるレキクはエールディヴィジでセンセーションを巻き起こす可能性もある・・・。実に皮肉な話ではあるが。数少ないユース上がりではバッカリがナルシン復帰までの穴を埋められるかが注目。
RKC Waalwijk
スタメンのほとんどが入れ替わる大忙しの夏。特にマルティナ、ドロスト、ラモス、ファン・ペペンが去ったDFラインをどうするのかまだ答えは見えない。ただ前線ではヨーゼフゾーンが移籍したものの、ロンメダールとカステレンを獲得する驚きの補強で話題に。ここ数年まともにプレーできていないカステレンは未知数だが、ロンメダールには大きな期待がかかる。目標はもちろん残留。
Roda JC Kerkrade
劇的な残留劇からマルキがついに去ったもののデムージュの獲得に成功。ヴィーラールト、ダニーロが抜けたDFラインもラモス、ライクスの獲得に成功。そして何よりもなぜかカーリをフリーで獲得できたことは大きなサプライズであり、この夏の移籍史上最大の謎だったが、ともかく大きなプラスアルファ。他にもファン・ペペン、プライム、ヘッシャーと計算できる戦力を得て、再び中堅に戻れるか。
FC Twente
久々に欧州戦を逃したことでここ2年の移籍市場での派手な動きを反省したか、ようやくユースに目を向けて静かな夏。良くも悪くもダグラス、フェル、チャドリ、カブラル、ブリキンらが去り、補強はエベシリオとコッペルス、マルティナ、ソニー・ステーフェンスだけで後はレンタルバック組。ブラマやタディッチ、エベシリオが怪我で出遅れているプレシーズンのテストマッチも3連敗で終了と苦戦の予感。目標は再び欧州戦確保。
FC Utrecht
ヴァイテンスとファン・デル・ホールンのCBデュオが去り、カーリとアサレも抜けたて補強はデライクのみ。EL予選もまだまだ未熟なCBデュオのミスもあって失望の結果に終わり、再び一からチームを作り直すシーズンに。もしムレンガが移籍する事態になれば再び残留争いも。
Vitesse
念願の欧州戦枠を得たものの、赤字をはき出し続けた3シーズンからボニーとファン・ヒンケルを期待以上の高額で売却しても補強費は出せない夏。カクータ、ファン・アーンホルトの再レンタルに成功したが、補強はフリーのレールダムとヴェイノヴィッチ程度。ボスが標榜する攻撃的フットボールを展開するにはまずボニーとファン・ヒンケルに依存していたメンタリティの改善からであり、目標は希望的には5位以内、現実的にはPO圏内か。