・ティートル・レース
今シーズンもトラディツォネール・トップ・ドリーからカンピューンが生まれるのは間違いない。例のごとくどのクラブも主力を失っているが、フェイエノールトとアヤックスはそれぞれ代役を確保。一方でPSVはグアルダードとモレーノの穴が大きい事がEL予選で露呈し、昨シーズンからの停滞感を払拭できていない。ここからカンピューンスハップを争うのは2クラブの取りこぼしが多くなるのを期待することが必要だろう。
・サブトップ
サブトップで大きなサプライズを起こす可能性があるのはAZくらいか。欧州戦が無く、ステングスなどユースのトップタレントのチャンスが与えられたことでフレッシュな風が吹いている。ユトレヒトはハレルの穴が大きく、アユプにもまだ移籍の可能性があるなど、さすがのテン・ハフでも厳しいはず。他にはフェルトワイクという待望のポストプレイヤーを得たフローニゲンのフットボールがどう変化するかが注目。
・残留争い
昇格組のVVV、NACの他、例のごとくエクセルシオールとスパルタ、依然得点力が未知数のローダあたりが残留争いの中心か。特に昇格組はレンタル組を中心に大きく入れ替えたNACに対し、ほぼセレクションを維持したVVVとでどう明暗が生まれるかが。
・トップスコアラー
まずアヤックスのドルベルフが2年目の飛躍か停滞かで大きく状況は変わるだろう。フェイエノールトのヨルゲンセンは遙かに安定感があり、多少なりともゴール数を増やす可能性が大きいが、あとはサブトップの新戦力の中からサプライズが現れるかどうか。
ADO Den Haag
注目されたフルーネンダイクが無事に契約を延長後、ワング問題から一時はライセンスの危機とまで言われていたが、ワング退陣でようやくUWVとの関係が落ち着いて補強を実施。移籍したハーフェナールの代役のビヨルン・ヨンセンがどの程度期待に応えられるか。同じく昨シーズンの残留に貢献したエル・カヤティの穴を埋めることが期待されるインマルスの帰還は大きなトピックだが、期待に応えられない時にADOサポーターが地元のヘルトに対してどういうリアクションを起こすかもポイント。守備面はバス・カイパースとニック・カイパース、新GKのティム・コーレマンスが大きな補強。プレシーズンを全勝で終えて雰囲気も良く、今シーズンこそはクラブ周りが落ち着いた環境でフットボールに集中したいところだろう。
あっさり1年で去った劇薬 ペーター・ボスに代わってヨングで結果を出したマルセル・カイザーが新監督に就任もCL予選であっさり敗退して挫折のスタート。クラーセンが移籍、トラオレがレンタルバックで去り、出場機会を失ったテーテとリーデワルトも売却。クラーセンの代わりはvdベークが務めているが、シーズン中に本来の6番に収まってフレンキー・・デ・ヨングがスタメンに入るだろう。昨シーズン大スランプだったユネスがどの程度ゴールを決められるかと、出戻りフンテラールでのプランBがどう機能するか。昨シーズンからの流れを維持できれば今シーズンはカンピューンスハップの本命になってもおかしくないはずだが、EL予選ではフェルトマンとフィールへーフェルの両バックの守備力の低さが目立ち、DF陣の層の薄さは懸念材料。
AZ
ハプスとルカッセン、マティアス・ヨハンソンが移籍し、クルルがレンタルバックでロシェットも売却。ELが無いことで補強は控え目にしてアウエヤン、ティル、ステングスらユースのタレントたちにチャンスを与えるポリシーで動いた静かな夏。新GKにベルギー帰りのビゾットを迎えたが、注目はヴェイノヴィッチのレンタル補強。vdブロムが「より魅力的なフットボール」をシーズンの目標に挙げ、ヴェイノヴィッチを6番、スタイン・ヴァイテンスをCBに固定したことでフットボールがかなりスムーズになり、プレシーズンの成績も国内外のプロクラブ相手に上々。ステングスが大ブレイクを果たし、ヴェフホルストがスコアラーとして不動の第一スピッツに成長することができれば上昇気流が生まれる可能性はある。
Excelsior
奇跡の3年連続残留からvdハーフが留任してようやく継続路線が生まれるも、例のごとく主力が数多く去る夏に。守備面はハーン、クルトー、バス・カイパース、ヘンリコ・ドロスト、デ・ヴァイス、攻撃面もパンティッチ、ハッセルバインク、リベイロとスタメン組が軒並みクラブを去った。未だ新GKを探し中。CBにフェース、両バックにペインとブルネットを獲得、スピッツにエル・アズジをレンタルしたが、練習試合の結果を見ても質も量も不足は明らか。アイントホーフェンから獲得したケネパールがプレシーズン 期待に応える活躍を見せてエールディヴィジでのブレイクに期待がかかるが、それが実現しても今シーズンも厳しい戦いになる。
Feyenoord
18年ぶりのカンピューンスハップを制し、カイトが引退、エリア、カルスドルプ、コンゴロと主力が移籍したが、その中でも大きなポイントはジョーンスとの契約延長と、ベルフハイスを完全移籍で獲得できたことで昨シーズンからの軸を維持できたことだろう。さらにサブトップからシン・ジュステ、ハプス、アムラバトを購入して売買両面でクラブ史上最高額を記録。エリアの穴埋めにはボエチウスが2年ぶりに復帰し、昨シーズンと比較しても見劣りしない陣容。あまりターンオーバーに積極的で無いファン・ブロンクホルストがCLとの連戦をこなす中でどうやり繰りするかが注目。JCスハールではDF陣がラインを上げられずにスペースが広がっていたが、その問題が解決できれば今シーズンもカンピューンスハップを最後まで争える可能性は十分ある。
FC Groningen
出場機会を失ったティブリングと期待外れに終わったセルロートが去り、リンセンがフィテッセにステップアップ。パトに移籍の可能性があったことでベジュワを獲得したが、どうやら杞憂に終わりそうな雰囲気がある。懸案だった両バックにトッド・ケインとワルメルダムという強力な帆挙婦。新CBにテ・ヴィーリク、新スピッツにフェルトワイクを迎えたが、ナイラントが求める魅力的なフットボールを実現するためには日本人MF ドーアンの活躍が鍵になるか。マヒーが残留すれば怪我から戻ったファン・ヴェールトと共に前線の選択肢が増えるが・・・
FC Twente
相変わらず残留以外に大きな目標が無いシーズン。モコチョとクリシが移籍し、ウナルらManCity組もレンタルバック。今シーズンのレンタルは今のところBuckley-Rickettsだけと、多少財政面が落ち着いて長期的視野で動ける状態にはなってきたことが窺える。新コントローラーにホラを得たのが大きな補強だが、他は国外組が多く未知数の部分が大きい。ジュピラー・リーグのトップスコアラー ブーレがどの程度期待に応えられるかが一つポイントだが、それ以上に長いシーズンでどうモチベーションを保つかがやはり最大の問題。
sc Heerenveen
ウィンターストップ前後で明暗分かれた昨シーズンからもう一度フレッシュな風を吹かせたいところだが、プレシーズンの結果からは停滞感も。主力組ではムルデル、マルゾ、シン・ジュステ、バイケルにナムリとスラフフェールが去り、ユトレヒト行きを待望するフェールマンへのオファーを拒否、例のごとくサム・ラーソンが移籍希望でキャンプに帯同しないなど落ち着いた様子も無い。新戦力はGKにハーン、両バックにドゥムフリースとヴァウデンベルフと強力な補強。CBとバイテンスペーラーに外国人を獲ったが、中盤のバランスをどう取るか模索が続いたプレシーズンの結果は蓋を開けてのお楽しみ。
Heracles Almelo
安定した中位クラブとして成長を続けており、この夏はジュスティン・ホーフマがドイツクラブに引き抜かれ、テ・ヴィーリクとホーセンスも移籍しフレデールスが引退とDF陣が多く移動。代わりにドリース・ヴァイテンス、ダリオvdバイス、ファン・ヒントゥム、ハルデフェルトと堅実な補強。問題はプレシーズンでキャプテンのペルペシー以外固定されていなかった中盤。ファン・オーイェンとニーマイヤー、新加入のモンテイロが争い、ファン・ヒントゥムを回る選択肢も。前線はなぜかアルメンテーロスがまだ残っており、すでにフラドンをレンタルで連れ戻しているが、何事も無く残留ならそれが最大の補強。その上で中盤の組み合わせさえ見つかればPO枠も狙えるはず。
NAC Breda
入れ替え戦を制しての待望の昇格1年目。昨シーズンに続いてManCityとの提携を活かし実に6人をレンタル、1人を購入。中でもマヌ・ガルシアはジュピラー・リーグで違いを作って昇格に大きく貢献しておりエールディヴィジでも活躍できるかが注目。問題は存在感が大きかったデッセルスの穴埋めだが、未知数の部分が大きい。ManCity組がどれだけ活躍するかに大きく左右されるのは間違いなく、長期的なポリシーとしてこのやり方が適切かも当然大きく問われるシーズンになるだろう。
PEC Zwolle
苦しんだ昨シーズンからホラ、ワルメルダム、ブロク・マーツェン、ブイー、メニフ、vdパーフェルトら主力が去り、期待外れに終わった余剰戦力も整理して補強は出戻りのブールに、コッペルス、エリック・バッケル、ナムリ、パルツィゼクと少数精鋭。まずはヤンスが去って久々のオランダ復帰となるファン・スヒップのお手並み拝見。
失望のシーズンからモレーノとグアルダードのメキシコ人コンビが去り、EL予選であっさり敗退する失望のシーズンスタート。PSVが『長い病』になりかけている雰囲気を払拭できるか今シーズンのエールディヴィジ全体を見ても大きな見所。欧州戦が無くなったことでユースのタレントにチャンスを与える絶好の機会とも言えるが、若手起用にそれほど積極的では無いコクーにその勇気が持てるかどうか。ズルズル行けばカンピューンスハップから早々の脱落だけでなくサブトップに飲み込まれる怖れも。
Roda JC Kerkrade
昨冬からのゴタゴタは外見上一応収まったようには見える。安い外国人選手を集めて全く収集の付かない状況を脱し、この夏は新たにTDに就任したファン・フェルトホーフェンのもとでユルユス、グスタフソン、ファンカンプとオランダとベルギーで主な補強。まずは冬にみんなで言語の勉強をする必要が無い状況にするのが目標。
Sparta Rotterdam
低調だった昨シーズンからドゥムフリースが高額で売れ、ファン・ドロンゲレン、ダイクストラ、カレーロ、カブラル、プシッチが移籍。補強は国外組からだけで未知数の部分が大きく、ドゥムフリースとファン・ドロンゲレンが抜けた守備陣の組み合わせに苦労している印象。9/1まで補強に動き続け、チームが出来上がるまで時間が掛かりそうな雰囲気なため、今シーズンも厳しい残留争いになりそう。
FC Utrecht
昨シーズン4位で欧州戦POも勝ち抜き、上昇ムードの中でテン・ハフ体制3年目。しかしこの夏はブラマ、アムラバト、ハレルとキープレイヤーが去り、さらにまだ移籍の可能性が高いアユプが去ればさすがのテン・ハフといえども再び好成績を繰り返すのは至難の業のはず。補強はCBにドゥミッチ、コントローラーにカーリ、アムラバトの穴埋めのBox-to-boxプレイヤーとしてvdストレーク、マルチローラーのエマヌエルソン、前線にはオーチクとシレル・デッセルスを獲得。新スピッツのマキーノクが怪我で長期離脱になったことでテン・ハフのコネクションから獲得したヘルトラーがどの程度期待に応えられるか。現状厳しい目で見ればPO枠には入れれば万々歳に思える。
Vitesse
ベーカーを獲ってELグループステージが待つシーズン。ベイカーがレンタルバック、ナカンバが移籍で中盤のキープレイヤーを失い、さらにファン・ヴォルフスヴィンケルがあっさり移籍する大きなショックがあったが、中盤にブルーンスとセレーロ、前線にマタフスとリンセンを獲得し、移籍の可能性もあったロームの代役候補にパスフェールも獲得。さらに例のごとくChelsea組も4人をレンタルし、アリを完全移籍で獲得。未知数の部分も多いが、新たにブレイクする選手もこの中から多少は出てくるだろうが、ELとの連戦は高いハードルであり、リーグ戦に悪影響が出る不安も大きい。
VVV-Venlo
3年計画でチームを作り上げ、見事にジュピラー・リーグを制しての昇格シーズン。それほどセレクションを入れ替えずに継続路線で臨む方針で落ち着いた夏を過ごしたが、その中でも過去にジュピラー・リーグで活躍していたティソダリ、ラルフ・スーンチェンスと別タイプのスピッツ レナート・タイをそれぞれレンタル。さらに左バックに念願のラビレ獲得と駒の足りないポジションを手堅く補強し、NACとのポリシーの違いを鮮明に。ジュピラー・リーグではデ・クールの人工芝を活かしてテクニカルなフットボールをしていたが、その路線で結果を出せれば良い雰囲気でシーズンを送れる可能性はある。簡単では無いだろうが・・・。
Willem II
この数年得点力に苦しんでいるが、ウラーレが去るもソルが残り、オフベチェも今のところ怪我無くプレーできる状況。さらにバイテンスペーラーにアザウイをレンタルし、期待は持てる状況。中盤にもクラウリーを購入、チリヴェラをレンタルとクリエイティビティのアップを図っており、カーリの移籍の穴もそれほど大きくは無いか。vdローイは毎年手堅い仕事をしているが、魅力的なフットボールも期待したい陣容ではある。だが今シーズンもまずは残留が目標。