Mijn Feyenoord

Feyenoordを中心にNederlands voetbalを追いかける

ルイス・スアレスというキャラクター

WK準々決勝ガーナ戦で手を使って失点を防いだウルグアイのルイス・スアレス。普段エールディヴィジで嫌と言うほど彼のキャラクターを知っているオランダのフットボールファンの中でも、彼のこの行為に対する反応は様々だ。「アンチフットボール」、「反スポーツマンシップ」などお馴染みの言葉が並ぶ一方で、アヤックスファン以外でも彼を擁護する声は多い(オランイェでも1995年にアロン・ヴィンターが似た状況で同様のプレーをしたことがあり、当時オランダのファンは大喜びしていた)。

 

ルイス・スアレスがオランダに現れたのは2006年。29試合10得点で1シーズンでアヤックスに移籍し、エールディヴィジを代表するウィンガーだった彼はアヤックスでの3シーズンを通して成長。キレのあるドリブル、正確なボールコントロールとシュートテクニック、前線での神出鬼没な動きで、2009/2010シーズン33試合35得点とエールディヴィジで最高のスピッツに成長した。その一方でシュワルベ(シミュレーション)の常習者であり、精神面の未熟さ、相手を馬鹿にするようなサーカスプレーでアムステルダム・アレナ以外の全てのスタジアムで大ブーイングを受け、エリア内で倒れてもほとんどPKを貰えずにイエローカードを受けるという強烈なキャラクターである。

 

それでも彼がオランダのフットボールファンの多くから憎まれつつも、同時に素晴らしいフットボール選手として認められているのは「彼はアヤックスでもウルグアイでも常にチームの勝利のために全力を尽くしているだけ」ということをエールディヴィジを観ている誰もが知っているからだ。昨シーズンではマルティン・ヨルのもとでアヤックスのキャプテンを任され、精神面で多少の成長を見せた。あくまで多少・・・試合後の彼のコメントは受け手によってはコミカルであり、それは世界の舞台で戦うフットボール選手としては批判の対象にもなり得るだろう。

 

フットボール」、「スポーツマンシップ」が何かとは国によって大きく異なる。シュワルベは褒められるべきではないが、例えばアンリのハンドやブラジルのルイス・ファビアーノの「神の手」と今回はかなり別の話。スアレスは審判を欺すためではなく、チームを救うために、ウルグアイという国のためにハンドを犯し、レッドカードを受けた。それだけだ。あの行為が「フットボール」を愛する人々にとってどういう意味があるかは彼にとって問題ではないが、その意味自体についてはスアレスという選手とは切り離して客観的に議論されるべきだと思う。

 

今大会スアレスはまだ実力を出し切っているとは言えない。それでもベスト16での2ゴールなどで存在感を示して欧州トップクラブへの移籍が近いと見られている。今回の事件が彼の将来にどういう影響を与えるかは分からないが、どんなブーイングを受けてもスアレスがチームの勝利のために全力でプレーするのは間違いないだろう。

 

 

個人的にはスアレスは嫌いなので、さっさとオランダを出て行って欲しいんですけどね(笑)