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IFABのVARテスト分析レポート(1): 内容

1月22日のAnnual Business Meetingでメディア向けに公表されたレポートの大まかなまとめ。

http://static-3eb8.kxcdn.com/documents/639/165902_220118_IFAB_Media_Package_ABM2017_all_media_FINAL.pdf


P2 2016年3月から始まったVARテストの全データをKU Leuvenが統計、分析したものの概要

 

・参加協会とコンペティションは20以上

オーストラリア、ベルギー、ブラジル、シナ、 CONMEBOL, チェコイングランドFIFA、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、ポーランドポルトガルカタールサウジアラビア、南コリア、トルコ、USA他。


・公式戦804試合でテスト

さらに様々な形の練習試合700試合以上でVARが使用されているが、プロの公式戦と比較できないために分析対象には含まれていない。


・チェックの56.9%がPKに関する出来事とゴール

試合を変える状況の大部分がPKかどうか、ゴールかどうか。レッドカードかどうかが42.3%で、選手誤認はごく僅か。


・チェック回数は1試合平均5回以下

804試合でレビュー対象になり得る出来事に対して3,947回のチェックが行われ、大部分は試合に干渉しない"バックグラウンドでの"チェック。


・VARのチェックタイムの中央値は20秒

ほとんどのチェックはプレーが続いている間に終わるか、ゴールセレブレーションなどプレーが止まっている状況の"ノーマルタイム"内に終わり、試合の流れに影響を与えることは無い。


・レビューが行われる対象となり得る判定での当初の正確性は93.0%

VAR無しでも試合を変える対象となり得る状況での判定のクオリティはすでに極めて高い。


・68.8%の試合で一つのレビューも行われていない

533試合と多くの試合でレビューによって流れが中断されることは無かった。複数回のレビューが行われたのは42試合(5.2%)だけ。


・明確で一目瞭然の誤審は平均して3試合に1回

明確な誤審が3試合に1回程度しか起きないことはテスト前から数字上明らかに示されていた。


・VARがいる場合の判定の正確性は98.9%

レビューの対象になり得るシーンでの判定の精度はVARによって5.9%上昇する(100%の正確性は人間の認識力と判定での主観性から求めることは不可能)


・全試合に8%でVARが結果に影響を与えた

全試合の24%でVARの関与により(主審の誤審が修正される)ポジティブな効果があったともテストは示している。


・レビュー時間の中央値は60秒

VARとのヘッドセット・コミュニケーションによる判定にかかる時間の中央値は39秒。オン・フィールド・レビューにかかる時間の中央値は70秒。

 

・VARによって失われる平均時間は全体のプレイング・タイムの1%未満。

FK(9.5%), スローイン(8%), ゴールキック(6%), コーナーキック(4.5%), 選手交代(3.5%)など、他の全てのプレイング・タイムを失う状況と比較すると、VARの使用が与える影響は非常に小さい。


・明確で一目瞭然の誤審が修正されないのは20試合に1回(5%)

テスト期間の短さとヒューマン・エラーの可能性、テクノロジーとコミュニケーションでの不慣れな点を考えれば、この数字は非常に励みになるもの。ただよりテストとトレーニングを重ねて次第に改善しなければならない。

 


(P3~) VARについてのQ&A


(P3~5) テストに際してのフィロソフィとテスト背景についての情報

 

(P3) VARフィロソフィ

当初VARの目的が「‘clear errors’の修正」だったのが「‘clear and obvious errors’の修正」に改訂。

 

(P5) ・VARの使用期間と使用費用

コンペティションの規模と試合数、VARsと主審のトレーニング、スタジアムの数と規模とインフラ、放送システムと多くの要素が絡み、ビデオ・オペレーション・ルームをどこに置くかもキー・ファクターなため、どれだけ長期的に使用するか、どれだけの費用が掛かるかはコンペティション毎に査定が必要。


(P6) テスト-参加とタイムライン

        テスト-テスト結果と最終判断


(P6~) アプリケーション-VARの手順

VARは「ゴールかどうか、PKかどうか、直接レッドカードかどうか、選手誤認」のカテゴリーに入る全ての出来事を自動的に「チェック」し、VARか主審が「明確で一目瞭然の誤審」か「重大な出来事の見逃し」があったと信じた場合にビデオ・リプレイを用いることができる。


ほとんどの「チェック」は「バックグラウンドで」行われ、試合や主審に影響を与えないが、いくつかのケースでは主審はVARが「チェック」を完了するまでリスタートを遅らせなければならない。ほとんどのケースでVARのチェックが「明確で一目瞭然の誤審」か「重大な出来事の見逃し」を見つけることは無く、主審とのコンタクトは取られない-これはサイレント・チェックとして知られている。


VARが主審に「チェック」が何かしら示していると連絡した場合、主審はレビューを行うかどうかを決め、そのレビューがVARからの情報だけによるものにするか、主審自らピッチサイドのレフェリー・ビュー・エリアでリプレイを見て関与する(オン・フィールド・レビュー)かを決める。


レビュー・プロセスの最後に主審が最終判定を行う。


(P7) ・VARのみのレビューとオン・フィールド・レビュー(OFR)の違い

一般的なガイドとして、VARのみのレビューはオフサイド・ポジション、ファール・ポジション(ペナルティエリア内か外か)、接触位置(ファールかハンドか)、ボールが外に出たかどうかなど、事実に基づく判定に適している。


OFRはファールかどうか、ハンドリングに対して手や腕の位置が自然な位置かどうか、オフサイド・ポジションの選手が関与しているかどうかなど、主観の入る判定に適している。


(P7~) ・「チェック」と「レビュー」で主審が出すシグナル

チェック-VARがチェックを行うために主審がリスタートを遅らせなければならない場合、主審は片方の耳に指を当て、もう片方の手を伸ばす。リスタートを遅らせる必要が無い場合、主審がVARによってチェックを行っているということを明確にしたいと望まない限り、通常このシグナルを出すことは無い。


レビュー-主審はレビューを行う際に両手でTVスクリーンのサインを出してそれを告げる。レビュー・プロセスの最後に、主審は最終判定を出す前にもう一度TVシグナルを行う。


・レビューの主導権を取れるのは主審だけ


(P8) ・レビューはいつ行えるか

チェックがプレー中に行えるのに対し、レビューはプレーが止まっている時にのみ行うことができる。多くの出来事が起こる前にプレーはすでに止まっているが、必要な場合は主審はプレーがニュートラルな状況担った時に止めることができる。


・VARレビューが行われた場合、最終判定までのタイムリミットは存在しない

・どれだけ前のプレーまでレビューで戻れるか

・どれだけ前の出来事まで判定を修正できるか


(P9) ・ビデオ・レビュー後に判定を行うのは常に主審

・VARがいる場所

・主審とVARとのコミュニケーション方法

・VARに用いられるビデオ・ディスプレイの種類

・VARで使用されるのはTV中継用のカメラ

・スタジアムのスクリーンにビデオ・レビューを映すのは各コンペティションの判断

・VARテクノロジーが不調の場合の対応


(P10)

・選手がTVシグナルを用いた場合

・なぜ監督や選手からのチャレンジを用いる可能性が無いのか


(P10) アプリケーション-VARに求められるプロフィールと教育

・誰がVARとAVARとして働けるか

VARは(元、または現)トップレベルの主審でなければならない。それ以上の要求は各コンペティションの判断。


・主審とVARsにどんな教育が必要か

プロトコルの理解と実行、ビデオ・リプレイを素早く分析するスキルと経験の獲得のため、主審とVARは論理的にも実践的にも共に数ヶ月間の厳しいトレーニングが必要。


(P10~) アプリケーション-VARテクノロジーとクオリティ・プログラム

・VARテクノロジーとは何か

・VARテクノロジーでヴァーチャル・オフサイド・ラインを試みる理由

・VARテクノロジーに認証プロセスが導入されるか

公式戦には要求を満たしたシステムのみが使用されるべきであり、FIFAのクオリティ・プログラムではVARシステムのセットアップ、VARシステムのパフォーマンス、VARリプレイ・オペレーターのクオリティという3つのコア・エリアに焦点が置かれる。


・認証プロセスでクオリティ・レベルの違いが生まれるか

VARシステムのセットアップは必要条件を満たしたベーシックと、それ以上のエリートに分けられることになる。


・VARリプレイ・オペレーターへの資格プロセスは何か

VAR同様にリプレイ・オペレーター(ROs)もシステムを機能させるための重要な役割を担っており、最低限のトレーニングが要求される。