Mijn Feyenoord

Feyenoordを中心にNederlands voetbalを追いかける

2016年夏の移籍市場だいたいのまとめ

この夏のKNVB管理下でのオランダ・プロクラブの移籍件数は582件。2015年の577件を抜いて史上最多記録に。それに対して内最終日は52件と、例年に比べて非常に静かな最終日に。国内での移籍数は279件、国内に来たのは133人で、国外に出たのは170人。

 

この夏に大きく目立ったのは”ドイツ組”のオランダ入りだろう。財政的にベルギーや北欧の優秀な選手を獲得できない小クラブが、トップクラブのレンタル以外に新たに見つけた解決策が、ドイツの優れた育成で育った選手たちだったと言え、この傾向は今後しばらく大きな流れとして継続するだろう。

 

もう一つ目立ったのはManchester Cityからのレンタルで、何と10人がオランダへ。内訳はNAC(4)、トゥエンテ(3)、PSV(1)、ゴー・アヘッド(1)、ヘーレンフェーン(1)。 特にNACはジュピラー・リーグ2年目で絶対の昇格のためになり振り構わない動きを見せ、ツィエクが抜けて『降格できない』トゥエンテも同様に、長期的ビジョンを捨ててクラブの生き残りに賭けた。

 

ADO Den Haag

GK ハンセン、ヴォルムホール、デライクらDF陣が去ったが、新加入のリトアニア人GK セトクスが序盤戦で好印象。第4節のフェイエノールト戦では致命的ミスを犯したが、十分信頼は置ける。DF陣もベウヘルスダイクが新加入のドイツ人CB マイスネルと強力なデュオを形成し、新6番のドイツ人 トリブルも非常に安定感があり、右バックのサン・ロマンも含めて守備陣の補強はやや駒が少ないものの一応大成功。前線はハーフェナールに具体的な関心が届かなかったことで予想外に静かに終わりを迎え、カスタネールの序盤の活躍にシェラルド・ベッケルの獲得成功と明らかに戦力増強。何よりも新監督 ゼリコ・ペトロヴィッチがポジティヴな雰囲気をもたらしており、ドゥプランの10番システムも成功して歴史的スタートダッシュに成功。まだ大きな評価はできないが、台風の目として期待されて失敗した昨シーズンの挽回は十分見込める。

 

Ajax

何の脈絡も無くミリクが32milで売れて労せず大成功の夏。シレセンも10mil超で売れたが、フェルメール売却以来、競争できる第2GK獲得を怠ってきたツケが大きく、クルルという全く違うタイプを獲得するいつもながらのポリシー迷走ぶり。それが極まったのが移籍市場終盤でのツィエク獲得なのは言うまでも無い。ビロード革命は完全に形骸化し、早々に補強ミスの烙印が付いたヴェスターマンの獲得にも見えるようにスカウト陣とオーフェルマルスとの間には大きな亀裂が走った。主力では他にファン・デル・ホールンが抜けただけで、余剰戦力とユースのヨンクっ子追放に務めた一方で、補強はコロンビアのCB サンチェスとFW カシエラは移籍金に対して即戦力かどうかはまだ微妙。トラオレはポテンシャルを感じさせる一方でアヤックスの9番としては18歳のドルベルフの方がフィットしている状況。新監督 ボスはクオリティの足りないチームに新戦術を浸透させるのに予想以上に苦しんでおり、バズール、エル・ガーシといった若手の低調が続けば苦しいシーズンになるのは明らか。クラーセンだけがゴールを決め続けている状況で、ツィエクをどうチームに組み入れるか。

 

AZ

フィンチェント・ヤンセンをクラブ最高額を大きく更新する22mil超で売却成功し、契約が残り1年だったヘンリクセンも最終日にようやく売却。他はオルティス、ハイエ、ヤン・ヴァイテンスら控えを整理し、補強はCBにファン・アイデン、ヘンリクセンの後任にベル・ハサーニとマッツ・スーンチェンス、新スピッツにはヴェフホルストとフライデーと獲得。EL予選を危なげなく突破しつつ新チームを作り直している序盤、ファン・アイデンがフラールの隣に入り、スタイン・ヴァイテンスとルカッセンの2コントローラーで守備と組み立てに安定化がある一方で攻撃陣はゴールを決めるのにまだ苦労している印象。スピッツ争いはフライデーがまずリードし、左サイドが低調だったドス・サントスに代わってチャンスを得たリーファイ・ガルシアの活躍とハプスの圧倒的なプレーで機能。問題は右サイドは2年目のヤハンバクシュがどれだけ真価を示せるかと、ベル・ハサーニが人工芝フットボーラーのイメージを払拭してステップアップに成功できるか。

 

Excelsior

サンデル・フィッシェル、スタンス、アウアサル、クヴァス、ファン・ヴェールトとクオリティのある選手が移籍したものの、守備陣がほぼ継続でき、中盤は戻ってきたコールワイクがブラインスと強力なデュオを形成したのは大きい。ベテランのハドウィルはまだ存在感が無く、トップ下はケヴィン・フェルムーレンと新加入 ファイクとの争いになるか。大きく入れ替わった前線はアンゴラのリベイロ、ヴィレムIIで怪我に泣いたオンダーンに最終日にドイツ帰りのマイク・ファン・ダイネン完全移籍を得てようやく形に。ほとんど無い予算でこれ以上の補強は望めず、フェリー・デ・ハーンは十二分に満足できる夏だっただろう。ピッチ上でもすでに新監督 ミチェル・ファン・デル・ハーフがFC アイントホーフェンでのフットボールを彷彿とさせるプレーを披露させており、未知の世界の3年目のシーズンも視界は明るい。

 

FC Groningen

マドゥロ、リングレン、デ・レーウとチームの中心が移籍。補強はCBにボスニアのメミセヴィッチ、待望の左バックにデイヴィドソン、中盤にノルウェー代表のルーベン・イテルガルド・イェンセン、新スピッツ ファン・ヴェールトが新戦力で、前線にレンタルしたイタリアのニコロ・ポゼボンはまだ未知数。他にはファン・デル・ラーン、ヒアリエイ、ファン・ニーフがレンタルバックと、質も量も不安な陣容。リーグ戦序盤も絶望的な内容での3連敗スタートとなり、新監督 ファーベルもスタメンの試行錯誤が続く厳しい状況。vdローイはスペクタクルを提供できずにチームを去ったが、ファーベルもまずはチーム全体での守備を整理しての守備的な戦いが強いられるだろう。

 

FC Twente

運良く生き残るも当然補強し筋は無く、結果的にManCityからガーナ人FW イェボアー、トルコ人スピッツ ウナル、コソヴォ人MF セリーナをレンタル。左バックにはスロヴェニアのトライコヴィチをレンタルし、フリーになったクリシーと獲得。放出はグチェーレスを売り、カブラルと契約終了。そして最終日前日にようやくツィエク売却成功で、財政健全化へ向けて一歩前進…した一方でツィエク抜きで残留できるかはやってみてのお楽しみ。

 

FC Utrecht

レッチェルトとラムセラールが去ったが、ボイマンスの驚きの移籍で替えのいなかったハレルがとりあえず半年間残った意味はとてつもなく大きい。レッチェルトの代役に獲得したベテラン枠のブラーフハイトが早々に長期離脱となったのは痛いが、コホのレンタルファン・デル・メールの獲得で駒は揃った。中盤は補強無くタレントの台頭に期待し、前線にはハレルとは別タイプのジヴコヴィッチをレンタルとオプションが増加。今シーズンは再び3-5-2に着手もパフォーマンスは低下気味で4試合終えて未勝利だが、移籍市場が終わったことでハレルを中心として落ち着きが戻って好転するか。

 

Feyenoord

主力の流出は噂も立たずに静かな夏。さらに新加入のスピッツ ヨルゲンセンと、フェルメールの長期離脱のショックにGK ブラッド・ジョーンスを獲得し、前線には待望のスティーヴン・ベルフハイスをレンタルと確実性の高い補強で戦力をアップ。ELで厳しいグループに入ったものの、連戦をこなせるだけの層も一見ある。ただエリアの怪我で左バイテンをシンプルに埋められないなど、控えに全面的な信頼を置けるかはまだ微妙。スタメンの11人の戦力は明らかに増して大成功の夏だったと言えるが、それでも昨シーズン期待に応えられなかった選手たちから新たに台頭してくる者がいなければPSVを追い続けるのはやや厳しい。

 

Go Ahead Eagles

昇格1年目で主力はフリーンツ、ライスダイク、ファン・デル・メールが移籍した程度。問題の補強はCBにサンデル・フィッシェル、左バックにアシェンテー、中盤に出戻りジョーイ・スクとレンタルでリッツマイエル、前線にもケヴィン・ブランツ、サム・ヘンドリクスにエストニア代表のヘンリク・オヤマーとバランス良く戦力アップ。さらに最後にManCityからビチキをレンタル。それでも序盤4試合を終えて未勝利と、残留に向けて厳しい戦力と言わざるを得ない。デ・アデラールスホルストでどれだけ勝ち点を稼げるか、デ・コーヘルら攻撃陣の活躍が鍵。

 

Heracles Almelo

夢のシーズンから欧州挑戦は2試合で終わり、ヴェフホルストに続いてまさかのフラドンも引き抜かれて完全に現実に。新スピッツにはフェルマイに加えて出戻りのアルメンテーロスを獲得し、復活に期待。中盤は大黒柱のベル・ハサーニが引き抜かれて代役はレリン・ドゥアルテに賭けることに。他にはCBにロビン・プロッペル、右バイテンにクヴァスと即戦力を獲得したが、ベル・ハサーニの穴が問題なく埋まるかどうかの不安は大きい。

 

NEC

ジョーンス、ファン・アイデン、ケイン、ヴァウデンベルフ、リンボンベ、サントス、フォールとクオリティのあるキープレイヤーが去った状況で移籍市場で落ち着いた動き出しから、練習試合での連敗続きでパニック補強に走り、提携グループ Futuralisとフークマンの間で対立が起きる騒然とした夏に。多くの選手をテストし、噂が出ては消えていった結果、ほぼドイツ人新監督ヒバラのルートに頼った末に、スタメンからはオランダ人が姿を消すことに。GKはフランス人 デレ、右バックはドイツ人 ハインロート、CBはデンマークのドゥミッチと残留したポーランドのゴラ、懸案のだった左バックは兼コーチのライワカベシーと新加入のブワルダを信用せずに、最終日にドイツのフォミトショーとオーストリアのグマイネルと獲得。中盤は新コントローラーにドイツのフォン・ハーケがポルトガルのビケルとアルバニアのブラインブルフに加わり、前線はドイツのオフォス、フランスのマイー、ガーナのオヴス・アベイーの快足3スピッツにナイジェリアのアヴォニーをLiverpoolからレンタル。ヒバラはこの意思疎通も困難なセレクションで情熱的采配を見せており、4試合でしぶとく5ptsを獲得。残留には堅守速攻でどれだけ勝ち点を得られるか。

 

PEC Zwolle

この夏も例のごとく出入りが多く、レンタルしていたフェルトワイク、ブイー、ベッケルが去って新たにフェルドンク、ワルメルダム、マストゥールをレンタル。ナイラントとに加えて新スピッツにアチャバールを迎えてフットボールをリニューアルしようとしたが、4試合1ptスタートであっさりノルウェーのフィジカルの強いターゲットマン ブロク・マドセンをBirmingham Cityからレンタルと方向転回したのは大きな失望だろう。

 

PSV

スタメン流出は結局ブルマのみで、控えのスハールスと契約終了、マヘルをレンタルに出して後はセレクションの整理。補強はヴェスターマンより遙かにモダンなドイツ人CB シュワープをフリー移籍で獲得して賢さの違いを見せ、ズートの後任候補にもユルユスをいち早く引き抜き。ファン・ヒンケルが再レンタルできなかった中盤には負傷明けながらシーム・デ・ヨングをレンタルし、ラムセラールを獲得。特にシーム・デ・ヨングはフィットすればルーク・デ・ヨングの代わりを任せられるのは、ロカーディアの負傷離脱を考えれば大きい。さらに棚ぼたチャンスを活かしてManCityからウクライナのタレント ジンチェンコをレンタルし、ヴィレムスとナルシンも結局残って万全の布陣に。

 

Roda JC

移籍市場早々から勢いよく動き、昨シーズンの多少パニック買いでの余剰戦力を大幅に整理する一方でベルギー人GK デ・ヴィンテル、ドイツ人DF アナヌー、ナイジェリア人MF アヤグン、ドイツ人FW シャヒン、デンマーク人左バイテン ボイセン、キプロススピッツ ミティディス、ウェールズスピッツ チャーチといつも以上に多国籍な布陣に。ただまだプレー機会を得ていない選手も多く、カルトヘルトのブラウワースはフィットしていない印象を残し、最も貢献している新戦力がスピッツ起用までされたアウアサルという結果ではアナスタシウの指導力も含めてまだまだ未知数。

 

SC Heerenveen

主力流出はファン・デン・ベルフとファン・アーンホルト、オティグバが去り、ファン・デン・ボーメンをレンタルに。財政的に苦しんだ補強はフリーのスハールスを得る幸運に恵まれ、昨シーズン テ・フレーデが期待に応えられなかった新スピッツにはやはりフリーになっていたホーチャンネヤドが帰還。さらに攻撃的MFに日本代表のコバヤシを獲得し、未知数ながら期待は大きい。何よりもシン・ジュステとサム・ラーソンが無事に残ったのが最大の補強だろう。新監督 ストレペルはまだチームを形にできているとは言いがたいが、それでも4試合5ptsと低調な割には決して悪くは無いスタート。

 

Sparta

昇格1年目で主力流出を最小限に留め、バルト・フリーンツ、久々のエールディヴィジのメンデス・ダ・シウバとベテランを獲得。左バックにはフランス・ユース代表のピントゥー、攻撃的MFにはスペイン・ユース代表 イヴァン・カレロ・ルイスとそれぞれタレントを完全移籍で得て、前線には複数のポジションをこなせるオーストラリア・リーグのベストプレイヤー グッドウィンと、即戦力かつ長期的にも展望のある補強。さらに移籍市場終盤にフランス人FW Cyril Chevreuilとギニア人MF マティアス・ポグバを1年契約で獲得。どれだけの戦力かは未知数だが、駒は揃った印象。リーグ戦4試合でほとんどボールを持てていないものの、超現実的な守備的戦術からブローニョが前線で違いを作ってすでに2勝と好スタート。

 

Vitesse

例のごとくChelsea組の出入りがあるも、ソレンキがいなくなっただけでナータンとベイカーが再レンタルで、新顔は最終日ぎりぎりにレンタルされたアメリカ人CB Matthew Miazgaのみ。ソレンキに代わる新スピッツにもリッキー・ファン・ヴォルフスヴィンケルを格安で獲り戻す幸運を得て、前線はフォールの加入にラシーチャが残ってティガドゥイニがレンタル加入と戦力アップ。序盤4試合でチームとして不安定ぶりを見せており、新監督 フレーザーがどれだけメンタリティを強くさせて結果を出せるチームに変えられるか。国外で経験を積んで帰ってきたファン・ヴォルフスヴィンケルがしっかり結果を出しているのは大きい。

 

Willem II

入れ替え戦で残留からベテランとレンタル組が去り、チームとして不安定な状況での夏に。結局残ったヨルデンス・ペータースの隣で新CB ラチマンが力強さを見せており、右バックにファン・アーメルスフォールトが加わり、中盤はファン・デン・ボーメンとハイエが加入。特にハイエは奮闘を見せており、キャリアを賭けた勝負のシーズンの雰囲気が。前線は再びオフベチェの離脱によるファルケンブルフ頼みから新加入 スペイン人スピッツ ソルがそれなりに内容の良さを見せて、戦力的には苦しいながら新監督ファン・デ・ローイもなんとか序盤戦で戦える手応えを掴んだだろう。