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2020-2021シーズン ビデオ判定まとめ

EredivisieにVAR制度導入から3年目の2020-2021シーズン。handsbalのルール変更やbuitenspellijntechnologie導入、そして無観客による判定への多くの影響があった。

 

2018-2019シーズン ビデオ判定まとめ - Mijn Feyenoord

2019-2020シーズン ビデオ判定まとめ - Mijn Feyenoord

 

KNVBによる発表
Buitenspeltechnologie bewijst toegevoegde waarde in Eredivisie | KNVB

・VARが状況を判断したのは4000回以上で、1試合あたり12~13の状況。VARが状況を細かく調査する必要(チェック)があったのは約1,700回 (1試合あたり5回)。

・VARの介入は98回。内85回が正しい判定になり、3回が疑問、10回は間違った判定結果に(7回はVARが適切な助言を与えず、3回はscheidsrechterが適切な助言を受け入れず)。

・VARが不当に介入しなかったのは16回。判定の正しさに疑問がある状況で介入しなかったのは4回。最終的に26の状況で誤審となり、VARがいなかった場合は103の誤審が起きていた。

・OFR実施は54回で5試合に1回。 

 

・VARの介入後に正当に取り消された得点 28 / VARの介入後に正当に認められた得点 5
VARが介入しなかった取り消すべき得点 1 / VARが介入しなかった認めるべき得点 1

・VARの介入後に与えられたpenalty 27 / VARの介入後に正当に取り消されたpenalty 11
VARの介入後に不当に取り消されたpenalty 2 / VARが介入せず不当に与えられなかったpenalty 5
・VARの介入後に与えられた不当なpenalty 2 / VARが介入せず不当に取り消されなかったpenalty 2 / VARが介入すべきだったか疑問なpenalty 2

・VARの介入で正当に与えられたrood 12 / VARの介入で不当に与えられたrood 5
正しいVARの介入後に与えられなかったrood 1 / 正しいVARの介入後に不当に与えられなかったrood 1
・VARが不当に介入しなかったroodの状況 7 / VARが介入しなかった事に疑問の状況 4 / VARが介入したのが正当かどうか疑問の状況 1

・gele kaartの選手誤認に対する介入 1

・16mカメラの使用は895回。内846回で判定を支持し、判定修正は49回、その内22回でbuitenspellijntechnologieによる修正。

 

独自集計 (若干漏れあり)
306試合: ビデオ判定による修正/VARの介入: 92/97回 (3.15試合に1回の介入。227試合 74.2%の試合で介入無し)。
OFR実施: 49回 (6.24試合に1回. VARの助言通りに判定が修正されたのは43回. 88%)

 

・得点対象の介入: 33回 (+5/-28) (OFR回 +0/-7) (OFRで却下された助言 0)
・penaltyが正当に行われたかどうかの介入: 2回 (攻撃側の違反0回・GKの違反1回・守備側の違反1回) やり直し撤回0回
・penalty対象の介入:44回 (+29/-14) (OFR回+28/-5) (OFRで却下された助言 +2/-2)
rode kaart対象の介入: 22回 (+18/-2) (OFR+16/-1) (OFRで却下された助言 +1/-0)
(選手誤認対象の介入: ?回)
(上記得点機会阻止によるPKかつレッドカードの介入が2回あり)

 

過去2シーズンとの比較 (2019-2020シーズンは1,32倍で比較)
ビデオ判定による修正/VARの介入: 91→70→92 / 100→75→/97 (3.06試合に1試合の介入→4.07→3.15)
OFR実施 67回→52,8→49 (4.57試合に1回→5.8→6.24 判定が修正されたのは56回. 84%→47回. 90%→43回. 88%)

 

・得点対象の介入: 32回→16→ 33
・penaltyが正当に行われたかどうかの介入: 0回→4→2
・penalty対象の介入: 43回→29→44
rode kaart対象の介入: 27回→22→22
・buitenspelpositieかどうかの介入: 22回 (+19/-3)→ 6 (+3/-3)→ 17 (+15/-2) (2019-2020シーズンは実数)
試合後に取り消されたrode kaart: 4→2→9 (2019-2020シーズンは実数)

 

buitenspellijntechnologieは価値を示したのか?
Dick van Egmondはシーズン前半を終えて「assistent-scheidsrechtersがその仕事をかなり上手くやっているということも示しており、彼らは滅多に修正されていない」とコメントしたが、実際ほとんど修正が無かった昨シーズンから大きく増加。しかし以外にも初年度の2018-2019シーズンと比較すると5回少ないという結果になり、これは16mカメラが全stadionに設置されたことを考えれば注目すべき数字だ。

 

2018-2019シーズンと同様に今シーズンもbuitenspelの判定が取り消されることは稀で、ほとんどの状況で得点/penalty/rode kaartの判定がbuitenspelによって取り消され、assistentがbuitenspelと判定した場合は概ね正しく、technologieは特にassistentが見極められなかった状況で有益だという結論に。

 

まずbuitenspellijntechnologieが間違い無く価値を示したのは良い角度からの映像が得られない状況であり、これまでなら素の映像では判断が付かなかったシーンでハッキリした答えを得られることだろう。

 

FC Twente - ajax

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FC Utrecht - FC Twente

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buitenspellijntechnologie使用による時間消費についてのデータは出ていないが、3分以上かかるような悲劇的状況は2, 3回程度で、実際多くの状況で1分ほどで作業が終わっている印象。一方で「2ラインが接近している場合は必ずラインを引いて判断する」というルールのために、過去2シーズンでは素の映像だけで正しく判断されていた状況でもラインを引くために頻繁に無駄な時間が取られるという状況になり、さらにfoutmarge-regelの存在によって素の映像では誤審だが、2ラインを引いた結果 誤審のまま容認されるという本末転倒な状況まで生まれた (buitenspellijntechnologie: foutmargeは何の解決策にもならない - Mijn Feyenoord) 。

 

sc Heerenveen - PSV (buitenspelに判定修正に2分以上)

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VARsやオペレーターが不慣れだったのもあるだろうが、最初の判定が間違っていなくてもbuitenspellijntechnologie使用による多少の待ち時間が多く生まれること、大抵の場合は最初の判定が間違っていないこと、良い角度からの映像があれば多くの場合は素の映像だけでも判断できることなどを踏まえれば、buitenspellijntechnologieが価値を持つのは逆に言えばassistentが稀に間違いを犯し、さらに良い角度からの映像が得られない場合だけと言っても過言では無いだろう。

 

試合後のrode kaart取り消し

今シーズン最も悲劇的な数字は間違い無く、試合後aanklagerやtuchtcommissieによって取り消されたrode kaartenが実に9枚に上ったこと。その内 4枚がVARが介入して判定がroodに修正されたものだった。

 

1. ajax - RKC Waalwijk Nijhuis / Pérez (得点機会阻止では無い)

https://youtu.be/NI-Q0QMYv1g?t=509

2. PEC Zwolle - Sparta Rotterdam: Lindhout / Gözübüyük (ボールが当たったのは手では無く肩と胸)

https://youtu.be/2N-KHAZmJU0?t=328

3. ajax - Vitesse: Van Boekel / Van den Kerkhof (roodで罰しなければならないほど過度のファールでは無い)

https://youtu.be/SCbs_lxEIAw?t=272

4. FC Emmen - Willem II: Van de Graaf / Cantineau (アドバンテージ・ルールを適用しておりroodで罰するのは不可能)

https://youtu.be/l26dX8sBTzY?t=487

5. AZ - FC Emmen: Nagtegaal / Catineau (roodで罰しなければならないほど過度のファールでは無い)

https://youtu.be/eaIaKm2IFUE?t=380

6. FC Twente - AZ: Makkelie / Higler (Makkelieが試合後に「これはファールでは無い」と証言)

https://youtu.be/P8Q36x8Jat0?t=703

7. Willem II - PEC Zwolle: Van der Eijk / Martens (ファールでは無い)

https://youtu.be/SP4jnCtdCCQ?t=336

8. Fortuna Sittard - FC Emmen: Kooij / Dieperink (得点機会阻止では無い)

https://youtu.be/UOuchGHgp8k?t=339

9. RKC – AZ: Higler / Pérez (roodで罰しなければならないほど過度のファールでは無い)

https://youtu.be/JcPNJrIR4a8?t=552

 

arbitrageにとっては酷いシーズン

多くのrode kaarten取り消しからも明らかなように、今シーズンはarbitrageにとっては悲劇的だったと言うほか無い。無観客による集中力の低下という影響も指摘されるほど、ほとんどのscheidsrechtersにミスが目立った。

 

VARの介入も2018-2019シーズン後半から昨シーズンにかけて控え目になっていたが、今シーズンに入ると特にhandsregelの変更によってpenaltyが増加。winterstopに多少修正したとVan Egmondが認めるとおり、シーズン後半戦はかなりVARが控え目になったが、控え目になりすぎることでの誤審も目立ち、納得できるレベルにはほど遠いシーズンに。

 

審判員の起用

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VARの担当振り分けはさらに均等化が進む一方で、Makkelieがわずか4試合という目を引く数字も。scheidsrechterの担当振り分けではこれまでどおりフィールド上でのクオリティが優先されている一方で、VARについては個人の意向や全体的なバランスが強く反映され、DieperinkなどVARとしての能力が高く評価されいる人物の起用が目立ってきた。