Mijn Feyenoord

Feyenoordを中心にNederlands voetbalを追いかける

多言語で読む競技規則 (6. PK戦)

  1. PK

2023年夏の改定で一般的に全く使われていないルール用語だった“ kicks from the penalty mark“が“ penalties (penalty shoot-out)“に。各国の訳でどう変わったかを見てみましょう。

 

英語

日本語

ドイツ語

オランダ語

イタリア語

kicks from the penalty mark

ペナルティーマークからのキック

Elfmeterschiessen

de strafschoppen

tiri di rigore

penalties

(penalty shoot-out)

PK戦 (ペナルティーシュートアウト

Elfmeterschiessen

de strafschoppen(serie)

tanda de penales

 

意外にも元からあった自国での”penalties“に当たる用語を変えなかったのはDFBのドイツ語訳だけ。KNVBのオランダ語訳は「一連の」を意味する“- serie”の接尾辞を付けて「一応変えました」感を出してますが、実際意味は無いような・・・ FIGCのイタリア語訳は” penalty”に当たる” rigore”に”kicks”に当たる”tiri”を組み合わせていましたが、この改訂でターンを意味する”tanda”を採用。純粋な自国語だった” rigore”も”penalties“に近い“ penales“に。“ tiri di rigore“も“ tanda de penales“も同じくらい普通に使われているようで、実際変更するだけの理由があったのかは分かりません。もしかしたらKNVBもFIGCも「規定時間内での複数回のペナルティ」と「規定時間後のpenalties」の違いを表現したいという意図もあるでしょうか?

JFAの日本語訳は例の如く英語そのままで「ペナルティーシュートアウト」と日本のサッカー業界ではほとんど使われていないであろう用語が書かれてますので、そもそも改訂の意図についてどう考えているのだろうかと思いますが、その一方でPK戦 (おそらく「ペナルティキックせん」では無く「ピーケーせん」が正式な読み方として採用か) という古くからあるもしかしたら唯一のこの競技独自の純粋日本式用語が遂に正式なルール用語になりました。

 

6.5 スローイン

小ネタです。日本語の競技規則を読み返して気づきましたが、“ スローワー“という単語が出てきます。英語そのままなので意味は分かりますが、これくらい普通に日本語に訳しても良いのではと思ったので他の言語の訳と比べてみましょう。

 

英語

日本語

ドイツ語

オランダ語

イタリア語

thrower

スローワー

einwerfende Spieler

inwerper

calciatore incaricato

 

オランダ語訳は「投げ入れる人」で英語をそのまま訳しています。ドイツ語訳は「投げ入れる選手」、イタリア語訳は「担当する選手」。JFAの日本語訳は英語をそのままカナ表記しがちな傾向がありますが、“ スローワー“という呼び方は実際競技規則外ではほとんど聞かないので、これは最たる例でしょう。日本語訳も「スローインを行う選手」くらいだと良いと思います。