Mijn Feyenoord

Feyenoordを中心にNederlands voetbalを追いかける

怪我と停滞のシーズン

総括
16年ぶりのCLグループステージの舞台と共に、クラブ史上2回目のカンピューンスハップ連覇という大きな野望を持って臨んだシーズンだったのは事実であり、結局CLでもエールディヴィジでも期待を遙かに下回るパフォーマンスだったのは否定できない。クラブ史上最高額の補強資金(約25mil)を注いでハプス、アムラバト、シン・ジュステ、ラーソンと国内サブトップから十分な補強を行ったものの、それに見合うチームの大きなベースアップには繋がらず、サブトップからデ・カイプへのステップアップの難しさがまたしても証明される結果になってしまった。

 

確かにシーズン前半に主力に怪我人が続き、昨シーズンからのベースを維持できなかったのは不運だった。特にカルスドルプとコンゴロの両バックが去った後にボテギンとファン・デル・ハイデンが揃って長期離脱して全く新しいDF陣で戦わなければならなくなったこと、明らかに替えの利かない存在だったヨルゲンセンの負傷離脱で前線の連携に解決できない大きな問題を抱えてしまったことは大きかった。そうした状況の中でCLでは当然ノーチャンスの試合が続き、選手のほぼ全員が本来のパフォーマンスを下回ったシーズン前半は『失われた半年間』というよりも『大きく後退した半年間』と言った方が適切だっただろう。

 

しかしヨルゲンセンが戻り、多少上向きの傾向が見られたウィンターストップ前から、冬のトレーニングキャンプを挟んで後半戦のスタートが悲劇的だったのは何の弁解も利かない。「上を追い続ける」というヤン・デ・ヨング、ファン・ヘール、ファン・ブロンクホルストらのコメントがウィンターストップ明けの数試合で早々に不可能なものになってしまい、テクニカル・スタッフに対する批判が多く出たのも仕方ない面があり、デ・カイプで毎試合のようにブーイングが起きるなど、クラブ全体の雰囲気が昨シーズンとは違うモノになってしまったのもそれだけの理由があった。

 

最終的にベーカー獲得、リーグ戦8連勝で4位と多少最悪の状況からはマシな終わり方ができたのはファン・ベークの復帰とファン・ペルシの帰還の効果が大きかったと言えるだろう。昨シーズンを棒に振ったファン・ベークは11月に完全復帰すると即座にトップパフォーマンスを披露して最終ラインにようやく力強さと安定感をもたらし、1月の移籍市場で帰還したファン・ペルシはほとんどフィットしていなかったものの、短い出場時間で少ないチャンスを確実に決めるトップクオリティが変わらずあることを証明、多少無理にでも安心してボールを預けられるポイントができたことでチームのフットボールは明らかに向上した。

 

MVP
低調なパフォーマンスだった選手が大部分の苦しいシーズンだったが、その中でも「ベルフハイスのシーズン」だったのは明らか。プレースタイルから上手く試合に入れずに消える時間も確かにあったが、全体的にはほぼ常に決定的な仕事をし続け、低調だった攻撃陣の中で唯一奮起し、CLレベルでも通用することを証明していた。

来シーズンに向けての展望
テクニカル・スタッフは存在感の薄かったヴァウタースが退任で後任はまだ決まらず。この1年停滞感のあった戦術面でプラスαをもたらせる人材が望ましいが、ランツァートが候補に挙がっているようにより若い世代を探しているもよう。

 

移籍市場ではワールドカップを終えてヨルゲンセンにどういう動きがあるか。数字を残したフィレーナ、ベルフハイスにもステップアップの可能性があり、エル・アマーディももう一度国外挑戦の可能性を否定してはいない。補強ではフリーのアユプをすでに獲得、エル・アマーディが去ればアムラバトが代わりを務めることになるだろうが、ボエチウス、ラーソンのどちらも結果を残せなかった左バイテンのポジションは悩み所。特に高額を払ったラーソンにサブトップからのステップアップでもう1年時間を与えるか、それとも国外から信頼できる名前/未知の選手を探してくるか。

 

ファン・ペルシのキャリア続行はクラブの雰囲気、イメージ、戦術面の全てで非常に望ましい決断。この夏でコンディションをどこまで戻せるかだが、第3ラウンドからのEL予選を突破してグループステージに進んだ場合は、どの試合に出場させるかの選択が重要になるのは間違いない。

 

Keepers
Brad Jones 31試合出場
今シーズンの大きな失望の一人。好セーブを連発した昨シーズンから一転、非常に不安定なセービングの上に、NAC-thuisのようなボールを持った時の致命的判断ミスで何度も痛い失点を招いた。ベーカーフィナーレのように調子の良い試合では好セーブでチームを救えるが、安定感を求められるポジションであまりに不安定であり、ボールを持った時に判断の遅さでチームのフットボールにもマイナス面が多く、ブーイングを受けるシーンも目立った。その点でバイローが好判断を見せていることで、ヘット・レヒューンの心がすでに大きく離れているのは否定できない。

 

Justin Bijlow 3試合出場
ジョーンスが負傷していた第1節と4位が確定した後の最後の2節で出場。その他ベーカー戦、Onder19でのYLでも好セーブとスロー、キックでの好判断で高い評価を受けた。第1GKに何かあった時にはいつでも安心して任せられる第2GKのレベルには十分到達しており、来シーズンは堂々と第1GKのポジションを目指すことになる。

 

Ramón ten Hove 0試合出場
第3GKとしてベンチ入りするもトップチームでの出場は無く、リザーブとYLでプレー。契約は残り1年のため、この夏に移籍の可能性も。

 

Kenneth Vermeer → Club Brugge (huur) 7試合出場
第1GK復帰を目指すもシーズンスタート直前に負傷離脱。再び第1GK復帰を目指したウィンターストップにチャンスも与えられずにジョーンスとのポジション争いに敗れたことでClub Bruggeにレンタル移籍。しかし再び怪我もあって買い取りオプションを行使されることなく、レンタルバックに。ジョーンスと共に二人揃って来シーズンもフェイエノールトにいることは想像しづらい。

 

Verdedigers
Kevin Diks 23試合出場 4アシスト
層の薄い右バックの控えとしてレンタルされ、ニューコープがシーズン前に長期離脱したことでスタメンに。しかし期待を下回る低調なパフォーマンスでヘット・レヒューンのブーイングを浴び、シーズン途中にはシン・ジュステにポジションを奪われる時期も。ただシーズン後半戦途中からパフォーマンスが上がって本来のダイナミックなプレースタイルが戻るとベルフハイスとの連携でチームの重要なピースとなり、ヘット・レヒューンの賞讃を受けるまでに見事に復活した。1年レンタルのためにFiorentinaに戻ることになるが、ニューコープが怪我がちだったことを考えれば再レンタルの可能性は十分ある。

 

Bart Nieuwkoop 14試合出場 0得点1アシスト
カルスドルプの後任として右バックの1番手として迎えるはずのシーズンだったが、プレシーズン最後に長期離脱すると、復帰後も怪我がちでほとんどコンディションを作れず、失望のシーズンに。

 

Ridgeciano Haps 23試合出場 0得点1アシスト
待望の本格派左バックとして加入。高い移籍金に見合う活躍では決して無かったが、前にいる左バイテンが固定されずに連携を作れなかった部分はあるだろう。怪我の間のマラシアの台頭はあったが、来シーズンも左バックの1番手なのは間違いない。

 

Sven van Beek 20試合出場 0得点1アシスト
11月に復帰するやいなや、1年半の長期負傷離脱が嘘だったかのような力強いパフォーマンスを披露。今も変わらずエールディヴィジではトップレベルのCBであることを証明した。右利きCBが3人とセレクション内の競争は激しいが、総合力で見ればファン・ベークは抜きん出ており、来シーズンも1番手なのは確実。あとは組み立てでより主導権を発揮したいところ。

 

Jan-Arie van der Heijden 18試合出場 0得点0アシスト
シーズン序盤に負傷離脱し、2月にようやく復帰すると左利きのアドバンテージもあってそのままスタメンに定着。決して力強いパフォーマンスでは無かったものの、それまでやり繰りに苦しんでいた最終ラインがファン・デル・ハイデンの復帰でようやく落ち着いた。相変わらずスピード不足問題はあるものの、国内レベルならそうそう露見することは無いため、来シーズンもこのままなら左利きの利点でスタメンか。

 

Jerry St. Juste 15試合出場 2得点0アシスト
実績も将来性もある万能CBとして獲得され、当初はベンチだったが怪我人が続いたことでスタメンに。右にディクス、左にターピアという悩ましい状況で孤軍奮闘してた、シーズン前半の影のMVP. それでも守備陣の崩壊を止めることはできなかったが、シン・ジュステがいなかったらと思うと怖ろしいものがある。怪我のCB陣が戻ったシーズン途中には右バックも務め、ハイスペックぶりを証明。ディクスを再レンタルせずにシン・ジュステをこのまま右バックで使い続けるという選択肢も無くは無い。

 

Eric Botteghin 12試合出場 0得点0アシスト
シーズン序盤に長期離脱し、2月に復帰後もファン・ベークの前にポジションを奪うことはできず。空中戦の強さは依然抜きん出ており、終盤の逃げ切りカードとしては有効だが、それに甘んじることは無いだろう。来シーズンさらに力強さを増して戻ってこれるか。

 

Tyrell Malacia 11試合出場 0得点0アシスト
ハプスの怪我でネロムの悪夢に苦しんでいたヘット・レヒューンの前に颯爽と現れると、闘争心溢れるプレースタイルであっという間にそのハートを掴んで一躍ヘルトに。フェイエノールトが求める左バック像を体現しており、順調に成長すれば近い内にスタメンを奪える可能性もあると期待したいタレント。

 

Lutsharel Geertruida 0試合出場 0得点0アシスト
Onder19では不動の存在も、練習試合で起用されてジオを納得させることはできず。トップチームまでのステップはまだ遠く、来シーズンはリザーブでプレー。

 

Middenvelders
Tonny Vilhena 33試合出場 11得点4アシスト
ゴール数が少なすぎる、前掛かりになりすぎている、と批判されながらも11得点の結果を残し、ゴールを決められるBox-to-boxプレイヤーとして成長を見せたシーズンに。全体的には不安定だった印象の方が強いが、分かりやすい数字を残したことでこの夏ステップアップの可能性も。

 

Jens Toornstra 32試合出場 8得点10アシスト
特にシーズン前半はチームの不調を象徴するかのような低調なパフォーマンス。ミスが多く、フィニッシュの決定力も欠き、失望のシーズンと思われたが、シーズン終盤に調子を上げるとゴールとアシストを量産して再び存在感を示した。ファン・ペルシがスタメンで出場できるほどフィットしたことで10番のポジションを奪われた感があるが、これまでのキャリアで何度もポジションを奪われては取り戻すを繰り返してきただけあって、来シーズンに向けても闘争心は全く衰えていない。無論、納得の行くオファーがあれば国外挑戦の可能性はあるが・・・

 

Karim El Ahmadi 31試合出場 2得点4アシスト
カイトの引退で第1キャプテンとしてシーズンを迎えるも苦しい1年に。エル・アマーディ自体は決して低調では無かったが、機能しないチームの中でコントローラーとして苦しい戦いを強いられたのは仕方が無かっただろう。それを証明するかのようにチームが機能し始めたシーズン終盤には本来の高いパフォーマンスを披露し、別格の存在感を示した。替えの利かない存在ではあるが、WKでの活躍次第では再び国外挑戦の可能性も。その場合にはアムラバトが代役を担うことになるはず。

 

Sofyan Amrabat 21試合出場 1得点2アシスト
高い期待を持たれての獲得だったが、エル・アマーディとフィレーナのスタメンの壁を崩すことはできず。ディクスが低調だった時期の右バック起用や、守備的に戦う際のトールンストラに代わっての起用が主で、なかなか本来のパフォーマンスを発揮できなかった。この夏エル・アマーディとフィレーナに移籍の可能性があることから、その場合は代役の1番手なのは間違いない。

 

Renato Tapia 15試合出場 1得点0アシスト
全く何の期待も持たれていなかった状態から、怪我人続きでまさかのCBでCLなどトップゲームに出場。高いフットボール能力を披露する一方で、それを上回るCBとして軽率過ぎるミスを繰り返した。MFとしては有能なのは間違いなく、この夏のWKで活躍して少しでも高く売れることをファン・ヘールは望んでいるはず。

 

Emil Hansson 1試合出場 0得点0アシスト
左バイテン兼攻撃的MFの控えとして度々ベンチ入りするも、スタンド行きも多く、ほとんど構想に入らず。契約は2020年まで残っており、まだ19歳と若いが、リザーブに残すかレンタルに出すか・・・

 

Simon Gustafson → Roda JC (huur) 33試合出場
ローダにレンタルに出され、苦しい残留争いの中で違いを作っていたが降格を避けることはできず。クリエイティヴィティ不足問題の解決策として名前は挙がるものの、どうやらクラブにそのつもりは無くこのまま売却の雰囲気。

 

Aanvallers
Steven Berghuis 31試合出場 18得点12アシスト
フットボールのままならないチームの中で単独で違いを続けて18得点12アシストという圧倒的な数字を記録。上手く行かない状況で不満を露わにしたり、顔を下に向けてしまうシーンも多かったが、ほとんどの試合で決定的な仕事をやってのけた。昨夏に4年契約で獲得したばかりのため、クラブは全力で留める意向のはずだが、断れないオファーが来る可能性も0では無い。

 

Jean-Paul Boëtius 28試合出場 6得点7アシスト
2年ぶりにデ・カイプに戻り、トップフォームでシーズンに入ったが、チームの低調さに合わせるように調子を落とし、ミスの多さで3年前を思い出すかのようなブーイングを受けるシーンも。途中でラーソンにポジションを奪われる時期もあったが、ラーソンも負傷離脱したことで再び起用され、シーズン終盤は再び復調気味に。来シーズン完全復活の可能性はあるが、決してそれを確信させるシーズンで無かったのも確かであり、非常に査定が難しい選手。

 

Nicolai Jørgensen 26試合出場 10得点3アシスト
2年目でさらにゴール量産を狙うも、シーズン序盤に長期離脱。復帰後も調子が上がらない時期が続き、ウィンターストップの移籍の希望が叶わなかったことの影響があったかどうか、結局わずか10得点という失望のシーズンに。この夏WKで結果を残せれば念願のステップアップが叶うだろうが、はてさて・・・

 

Sam Larsson 19試合出場 4得点5アシスト
移籍市場終盤に驚きの高額(7mil)で獲得されるも、それに見合う活躍はできず。ボエチウスとは違い、ボールを持っていない時の動きが少ないため、チームの攻撃に停滞感をもたらしてしまうシーンも多かった。エリアほどボールを持った状況で決定的仕事ができるなら期待できるが、やはりボエチウス同様に非常に査定が難しい選手。

 

Bilal Basaçikoglu 13試合出場 3得点3アシスト
終盤の投入カードなど、ちょこちょこと出場機会を得て数次も残したが、最後までヘット・レヒューンの愛情を受けることはできず、この夏でお別れが濃厚。

 

Robin van Persie 12試合出場 5得点1アシスト
冬の移籍市場で念願の帰還を果たすと、明らかにフィットしていないものの短い出場時間で存在感を示し、圧倒的な技術とチャンスを確実に決める決定力で依然として高い価値がある選手であることを披露。ピッチ外でもインタビューでの常にポジティヴなコメントなど、随所に精神的な成長と安定ぶりを見せており、彼の帰還は非常に大きな意味があったと言える。コンディション調整に苦しんでいるものの、キャリア続行を決断し、少なくとももう1年そのプレーを楽しめるのはクラブにとって大きな財産。

 

Dylan Vente 9試合出場 3得点4アシスト
ヨルゲンセンの怪我とクラーメル問題から12月にスタメンのチャンスを得るとスパルタとのダービーで初ゴール。その後もゴール前での動き出しの良さとフットボール能力で3得点4アシストと結果を残し、19歳でポテンシャルを示したと言える。ただまだフィジカル不足で競り負けるシーンも多く、第1スピッツを争うには力不足は否めない。来シーズンもスタメン出場の機会はあるだろうが、思い切ってレンタルに出すプランも無くは無い。

 

Cheick Toure 1試合出場 0得点0アシスト
期待のバイテンスペーラーだが、トップチームデビュー後に怪我に苦しんでOnder19でのYLでもあまりプレーできず。ビラルの抜けた右バイテンの控えに収まるか、プレシーズンでまだ不十分と判断されればリザーブでのプレーに。