Mijn Feyenoord

Feyenoordを中心にNederlands voetbalを追いかける

ファイティングスピリットが宿り、良いフットボールが生まれ始めた前半戦

フェイエノールトのシーズン前半戦を振り返ればほとんどポジティヴな数字しか見当たらない。ウィンターストップ前に42ptsはやはり最後のウィンターカンピューンだった2000年以来の成績であり、17試合13勝3分け1敗は過去のカンピューンシーズン3回(1961/62, 1983/84 en 1998/99)と同じ。ホームの7試合全てに勝利し、しかもアウエーゲームでエールディヴィジで最も勝ち点を得たチームでもある。シーズン前半で47得点は1984/85(51得点)以来の数字であり、リーグ戦では13選手がゴールを決めている(過去2シーズンは共に前半戦を終えて11人)。

 

選手個々に目を向けてもニコライ・ヨルゲンセンは15試合で昨シーズンのミヒル・クラーメルのシーズントータルのボールコンタクト数を超え(後者の574に対して582)、12得点6アシストでエールディヴィジ最多の18得点に絡む活躍。さらにイェンス・トールンストラは7アシストでリーグのアシスト王。

 

他にも注目すべき数字としては、最後の15分間に10得点を決めており、さらにその内5得点がロスタイムのゴール。またフェイエノールトは1試合当たりボール奪取数64,6回とエールディヴィジ最多。選手個人としてもボテギンが1試合当たり13,7回とリーグ全選手でトップ。

 

【総括】

フェイエノールトに昨シーズンの経験が活きていることは間違いない。7連敗の教訓、そしてベーカーを獲ってコールシンゲルを経験したことでグループ内に「もっと成功したい」という気持ちが生まれ、今シーズン出だしからの一体感とメンタル面の強さに繋がった。特に顕著だったのがEL Manchester United-thuis, そしてその2日後のエールディヴィジ第6節 PSV-uitだ。共にクオリティで優る相手に終始圧倒されていたが組織的な守備が全く崩れず、終盤に来たほとんど唯一のチャンスをモノにして大きな勝利を収めた。

 

昨夏に加入したブラッド・ジョーンス、ニコライ・ヨルゲンセン、スティーヴン・ベルフハイスがもたらしたプラスαも見逃せないポイント。ジョーンスはチームに落ち着きを、ヨルゲンセンはハードワークとポストプレーを、そしてベルフハイスはクリエイティビティをもたらし、チームのクオリティを格段に引き上げている。ファン・ヘールがプレッシャーの中で良い仕事をしたのは否定できない。

 

9連勝スタートは堅い守備と個々のクオリティを最大限の結果に結びつけたことによる成功と言える。第10節020-thuis, 第11節ヘーレンフェーン-uitに勝ちきれなかったのはその限界が露呈された結果であり、第12節ゴー・アヘッド-uitに敗れたのはそれに加えてEL Zorya戦後の疲労、トニー・フィレーナの母親の死のショック、カリム・エル・アマーディの欠場という負の要素が全て揃った結果だった。

 

第14節ユトレヒト-uitで絶望的な2点差の終盤から1ptを持ち帰ったのは、逆にメンタル面でチームの一体感を再構築する切っ掛けになったかもしれない。第15節スパルタ-thuisではシーズンスタート時のエネルギッシュさを取り戻したが、第16節AZ-uitと第17節フィテッセ-thuisではベルフハイスがスタメンに復帰して遂にフットボール面のクオリティという問題に対する改善も見られ、シーズン後半戦に向けて大きな自信になったことは間違いないだろう。

 

【個人レポート】

Brad Jones 16試合出場

プレシーズンのケネト・フェルメールの長期離脱という大事件を受けて即座に獲得され、期待通り見事にその穴を埋めた。フェルメールとの違いは空中戦の強さだろう。あまりゴールから離れられないボテギンやファン・デル・ハイデンのCBデュオとの相性も結果的にだろうが良かった。至近距離の1対1になった時に体勢を倒すのが早いという批判も出たが、高いセーブ率を見せてシーズン前半は間違いなくエールディヴィジトップのGKの一人。但しフットボール能力や飛び出しの対応は明らかにフェルメールに劣っており、後半戦の選択はCBデュオとの相性も考えて非常に難しいポイントになる。

 

Paer Hansson 1試合出場

ジョーンスが負傷欠場したJCスハールとゴー・アヘッド-uitでプレーもそれほど印象は残せず。Marbellaのトレーニングでフェルメールのコンディションに問題が無ければそのままお別れか。

 

Rick Karsdorp 17試合出場1得点3アシスト

90分間常に激しいアップダウンを繰り返していた昨シーズンと比べて上がるタイミングを見極めて動くようになり、10月頃までは非常にハイレベルなパフォーマンスを発揮。サイドからクロスを上げるだけでなく、中盤に切れ込んで決定的パスを狙う選択肢を選ぶシーンも増えた。代表入りも正当な結果だったが、但し11月以降はシンプルなミスが増えてやや低調に。

 

Bart Nieuwkoop 1試合出場

毎試合ベンチには入っているが、今のところエールディヴィジ1試合、ベーカー戦1試合、EL1試合でのカルスドルプのバックアッパーとしての終盤の投入だけ。念願のデビューを果たしたが、今シーズンはこのまま右バックの貴重な右バックとしてリザーブでのプレーが続くだろう。ユースでは中盤でもプレーしていたが、今のところリザーブでも右バックに集中。

 

Eric Botteghin 17試合出場2得点

シーズン前半のベストプレイヤーの一人。スピードの無さと組み立て能力の不足という弱点を補ってあまりある充実したパフォーマンスを見せ、前進守備の改善も見られた。スフェン・ファン・ベークの回復に時間がかかっているため、このままいけば間違いなくキャリア最高のシーズンになるだろう。

 

Wessel Dammers 0試合出場

カンブールでスタメンを守れずに降格を経験という苦い経験から戻り、フィンチェント・ヤンセンとの比較もあってクラブの判断ミスの象徴としてヘット・レヒューンの期待もほとんど持たれず迎えたシーズン。未だエールディヴィジデビューは果たしていないが、ボテギン不在のManchester United-uitでいきなり欧州戦デビューし、それなりに代役を務めて評価を上げた。ファン・ベークがまだ回復のメドが立っていないため、後半戦もボテギンに何かあれば登場の機会があるか、と思っても実際は左バックに二人いる上にコンゴロがフィットしていることを考えればほとんど出場の見込みは無いはず・・・。

 

Jan-Arie van der Heijden 14試合出場1得点2アシスト

ほとんど出場機会が無かった加入1年目の昨シーズンから一転、今シーズン最大のサプライズに。第4節エクセルシオール-thuisでHTに負傷したコンゴロと交代で出場すると、ネロムとヴァウデンベルフにジオが納得していなかったこともあってそのままスタメンに定着。昨シーズンの失敗からのハードトレーニングによって力強さが大きく増し、それで自信を取り戻したことで本来のフットボール面でもクオリティも発揮。時に果敢なドリブルで相手陣内に切り込むプレーからヤン・スハーリーのニックネームが付き、華麗なドリブルでヘット・レヒューンの大歓声を浴びるカルト的存在に。

 

Terence Kongolo 13試合出場1得点

CBのポジションでシーズンに入るも、ジオがネロムとヴァウデンベルフに納得しなかったことで再び左バックに。十二分にこなしており、現セレクションでは最高の左バックなのは確かだが・・・

 

Lucas Woudenberg 7試合出場

NECでのレンタルで成長し、スタメンでシーズンに入ったが最初の5試合でジオを納得させられず。EL Manchester United-thuisで外されると、その後はコンゴロ、ネロムが優先されたことでもうスタメンのチャンスが回ってこなかった。能力がほぼ変わらないなら将来性のあるタレントを使うという多くのオランダ人監督の思想にジオが当てはまらないことを示すまた一つの例だろう。

 

Miquel Nelom 5試合出場1アシスト

一時はベンチ外もあったが、コンゴロの負傷により再びスタメンになり、カイトとエル・アマーディ不在時にはキャプテンマークも巻いたのはジオのポリシーを示している。セレクション最古参であり、決して悪い試合はしていないが、未だ軽いミスもあり、ファイティング・スピリットやアグレッシブさを欠くプレースタイルも変わっていないことでヘット・レヒューンの愛情はまだ得られていない。

 

Karim El Ahmadi 16試合出場4得点1アシスト

間違いなくエールディヴィジのベストプレイヤーであり、今シーズンのフェイエノールトにとって絶対に欠かせない存在。ボールを追い、競り合いに強い面は変わっていないが、今シーズンはボールを持った時のミスが減り、より遠くのフリーな選手へボールを送れるようになったことで、正真正銘の6番としてチームの組み立てに大きく貢献。さらにこれまでのキャリアでほとんど決まっていなかったミドルシュートが次々に決まって4ゴールと、文字通りキャリア最高のシーズンを過ごしている。替えの利かないエル・アマーディが不在のアフリカ・カップ期間中をどうするかが最大の問題。

 

Tonny Vilhena 16試合出場3得点1アシスト

土壇場で契約延長して残留を決め、強い決意で迎えたシーズン。しかし厳しい目で見れば必ずしも高い期待には応えていない。ボールを持っていないシーンでエル・アマーディと共に中盤を掌握し、ボールを持った時のパス能力も見せているが、ミスも多く、プレッシャーを受けた時に打開策を見つけられない。本来の攻撃的なクオリティを考えても3得点1アシストは本人も物足りないはず。長く苦しんだ母親の死という悲しい出来事はあったが、ヘット・レヒューンの愛情も強い選手。逆に言えばフィレーナの更なる成長が半年後のクラブの成功に大きく繋がっていることは確か。

 

Renato Tapia 4試合出場 1得点

構想外になりつつあるヴェイノヴィッチに代わって中盤のバックアッパーとして台頭が期待されたが、未だ確信は与えられず。現時点でエル・アマーディとフィレーナの代役の1番手なのは確かだが、フェイエノールトではまだクオリティを示せていない。ウィンターストップ明けにスタメンでピッチに立っているかどうか・・・

 

Marko Vejinovic 1試合出場

昨シーズンに続いて今シーズンも失敗の年に。唯一出場したゴー・アヘッド戦で大きな失望に終わり、ほぼ構想外なためにこの冬の移籍の可能性も。

 

Dirk Kuyt 16試合出場6得点3アシスト

36歳になり、低調な試合をする度にパフォーマンスの低下と限界論が出るも、依然として出場した試合では結果を出し続けているアーンフールダー。休養でスタメンを外れるだけでメディアが騒ぐ存在感をジオが今後上手くコントロールできるかどうか。

 

Jens Toornstra 17試合出場5得点7アシスト

第1節こそバサチコグルが優先されてスタメンを外れたが、第2節からはスタメンに復帰。華麗なテクニックや驚くようなクリエイティビティは無いものの、ハードワークと献身性、戦術眼、キックテクニックはフェイエノールトフットボールには依然重要な要素であり、5得点とリーグトップの7アシストという数字にも表れている。カイトが休んだときは10番に入る試合も増え、第16節のAZ戦でチームが前半戦最高のフットボールを見せたことで後半戦 カイトから十分ポジションを奪える存在に。

 

Simon Gustafson 2試合出場

昨シーズン加入してデビュー後はクリエイティビティの欠如問題解決のミッシングピースかと期待されたが、その後ホームを崩して今シーズンもほとんどチャンスを得られず。ヘット・レヒューンの期待は依然として高く、復活が期待されているが、メンタル面でどういう状況かが気がかり。

 

Bilal Basacikoglu 16試合出場5アシスト

エリアの怪我があってもスタメンはわずか5試合。ほぼ攻撃を活性化させるためのバックアッパーとなっているが、依然ヘーレンフェーン時代の輝きは出ずに迷走を続けている印象。ヘット・レヒューンの信頼も得られておらず、このまま失望のシーズンに終わってもおかしくないが、ウィンターストップに入った直後にSNSで突然意識改善の決意発表。後半戦にどんな姿を見せてくれるか期待。

 

Steven Berghuis 13試合出場4得点

クリエイティビティの欠如問題解決のために大きな期待を持ってレンタルされ、加入当初から活躍を見せたが臀部の怪我に苦しんで不調に。ウィンターストップ前に再びスタメンに復帰してクオリティを見せたことで、後半戦は再び大きな期待が持たれる存在。コンディションに問題が無ければトールンストラも抑えて右バイテンの1番手なはず。

 

Eljero Elia 10試合出場5得点4アシスト

第1節フローニゲン-uitでいきなりハットトリック・スタートも第2節で肩を痛めて手術。11月からスタメン復帰も精彩を欠いたが、ウィンターストップ前終盤はエネルギッシュさが戻り、決定的仕事もして貢献。相変わらず足下でしかボールを受けようとしないシーンが多く、エリアがボールを持ったところでフットボールが止まるシーンが度々あるものの、得点に直結するアクションを起こせる好調さなら圧倒的存在なのも事実。但し1対1で勝てないパワフルなバックとの対戦だと丸で何もできなくなる可能性もあるため、戦術的にどう組み込むかやはり難しい存在。

 

Mo El Hankouri 1試合出場

第4節のエクセルシオール-thuisで途中出場でデビュー。その後ベーカー戦にも登場し、特にビラルへの不満が溜まっていた時期なのもあり、少ない出場時間ながら積極的なアクションを見せてヘット・レヒューンから喝采を浴びた。ユース出身のタレントのデビューとしては上々だが、後半戦はリザーブで過ごさせるより思い切ってレンタルに出す選択肢も。

 

Nicolai Joergensen 17試合出場12得点6アシスト

ファン・ヘール3回目のhit. 350万ユーロの価値は十二分にあったのは誰の目にも明らかで、3スピッツシステムでプレーするのがほとんど初めてとは思えないほどスムーズにフィットした。グイデッティやペッレのようなオーラや主張の強さはないが、力強さと献身的なキャラクターを備えたフェイエノールトスピッツと呼べるだろう。ポストプレーの技術は言うまでも無く、特に右サイドに流れた時は自らドリブルで相手を抜いてラストパスを出すシーンもあるなど、総合的な能力の高さも感じさせる。欲を言えばハイボールに対してのヘディングの上手さと、フィニッシュへの強引さがもう少し欲しいところだが、それは望みすぎだろう。クラーメルにヨルゲンセンの代役をこなすのは困難なため、なるべく避けたい状況だが仮にヨルゲンセンが離脱した場合はカイトが代役になるか。

 

【後半戦の展望】

この冬の補強の可能性はまず無く、このままのグループで後半戦に入るはず。チームのプレースタイルもようやく出来上がり、エネルギッシュにプレッシャーを掛け、スピーディに奥行きを作る戦術を続けるはず。後はフレッシュさをどれだけ維持できるかだけが問題で、エル・アマーディ、ヨルゲンセンの怪我と出場停止が無ければ大きく戦力が低下することは無く、連敗を喫することは早々無いはず。まだまだ難しいアウエーゲームを残しているものの、トッパー2試合を共に落とさなければコールシンゲルへの道は自ずと拓けてくるはず。

 

この冬の問題がエル・アマーディの穴埋めなのは言うまでも無い。補強によって同等のクオリティを持つ代役を得るのは「宝くじ」に近く、いまの手駒で何とかするしかないだろう。現実的な選択肢はおそらく二つ。ターピアにもう一度掛けるか、万能性の高いトールンストラに頼るか。カイトのハードワークをこのポジションに当てることができないでは無いが、ベテランのコンディション問題と、起用法の与える影響を考えればリスクが高すぎる。理想を言えば本来このポジションであるターピアが『本当の姿』を見せてくれることが当然ベスト。幸いにも対戦相手はローダ-uit, ヴィレムII-thuis, NEC-thuis, トゥエンテ-uitとやっかいなカードではあるがトッパーは組まれていない。ここでターピアが自信を得られれば理想のシナリオだが、万が一出だしのローダ-uitで躓けば非常に苦しい状況に陥る可能性もある。さらにNEC戦の前にはフィテッセ-uitでのベーカー戦もあり、ここではフィレーナも出場停止とゴー・アヘッド-uit同様に中盤の二人を欠くことに。現状でヴェイノヴィッチを使うことは想像するのが難しく、やはりターピアとトールンストラを中盤に並べるのが現実的か。特にこのベーカー戦では元々MFだったファン・デル・ハイデンやニューコープのコントローラー起用といった緊急対応的な選択肢も必要になるはず。勝ち残った8チームを見てもアーネムでの試合はダブルの夢がかかる大一番なため、何とか超えたい壁だ。