ブラジルでのWK3位からEK予選グループ4位敗退と天国から地獄へと落ちたオランダ代表。ほぼ全てが上手くいかなかったこの13ヶ月の失敗の要因は長期的、短期的に様々あるが、主な5つを確認しておこう。
1. ヒディンクを選んだKNVB
KNVBに最大の責任があるのは間違いない。ファン・ハールが2年契約を延長しないと改めて明言した時点でオランダ中の誰もが、選手たちも、そして本人も「次はロナルド・クーマン」と確信していた。ファン・ハールと並ぶ戦術家であり、ホーランセ・スホールだけでなく、4-4-2や5-3-2など柔軟性を備え、国際的経験があり、過去の失敗からコーチとしてだけでなくトレーナーとしても成長したことをフェイエノールトでの証明し、3年目のサイクル終了でボンズコーチへのステップアップは自他共に誰が当然と思う道筋だった。しかしKNVBはボンズコーチの若い世代への移行を選ばず、突如手を挙げたフース・ヒディンクを選択。クーマンに2年間のアシスタントの後にボンズコーチ昇格のオファーを出すも、稚拙な対応により断られたファン・オーストフェーンの責任はあまりに重い。結局クーマンはイングランドに渡りSouthampton FCで成功。クーマンは過去の失敗から契約を途中で投げ出す選択肢は持っておらず、KNVBへの不信感も当然あることを考えれば今後ブリントが窮地に陥ってもバトンを受け取る可能性は無い。
2. WKでの成功による選手たちの過信
ヒディンクは決して無能な監督ではなく、むしろトレーナーとして優秀なのは過去に指導を受けた選手たちが証明済み。しかしブラジルで予想外の成功を収めて自信を得過ぎてしまった、特に若手選手たちのメンタリティを短期間で正しく導き、気持ちを切り替えさせるにはヒディンクはあまりにこの世代の選手を知らなさすぎた。今予選のほとんどの試合で祖開始早々に失点し、ほとんどをの時間をビハインドを背負って過ごすというのは集中力の欠如でしかない。
歴史的にオランダの選手は常にその傾向があるが、若くして成功を収めて慢心した選手たちを導くには穏健なヒディンクではなく厳格なファン・ハールやロナルド・クーマン、さらに例えば妥協無き完全主義者のフランク・デ・ブールのようなタイプが必要だった。アルイェン・ロッベンが今予選中に幾度となく「僕らはトップチームではない」と言い続けたものの、チームに正しい緊張感と一体感は最後まで戻らなかった。
3. ヒディンクの迷走
もちろんヒディンク本人にも責任はある。5-3-2で成功を収めたWKから、就任会見でホーランセ・スホールに戻すと明言。しかし初戦のイタリアとの練習試合に4-3-3で完敗すると、「必要なら5-3-2も選ぶ」と180度方向転換し、数日後のEK予選初戦 チェコ-uitでは5-3-2を選択。しかし早々の失点で再び4-3-3に戻すも、結局終了直前のヤンマートのミスから敗戦。1ヵ月後の予選ではカザフスタンをホームで下すも、3日後のアイスランド-uitでは2-0の完敗に終わり、悪いサイクルに入っているのは明らかだった。さらに1ヵ月後のメキシコとの練習試合に2-3で敗れ、「負けたら辞める」とヒディンクが明言したラトビア-thuisはロッベンの活躍で6-0大勝。しかし新しいサイクルに入れるとの楽観論は年明けのトルコ-thuisでロスタイムのフンテラールのゴールでなんとか1-1という結果に終わったことで再びヒディンク解任論が高まったが、3日後のスペインとの練習試合に驚きの2-0で勝利したことでまたしても多くの問題が有耶無耶のまま続投に。
結局6月にVSに3-4で敗れ、ラトビア-uitで0-2で勝った試合の2週間後にブリントに受け渡しになったが、最後まで明確なプレービジョンを示せなかったヒディンクにこのチームを率いるだけの力は無かったと言える。
4. 歪な国内リーグ
長期的に見ればエールステ・ディヴィジとエールディヴィジの二つのプロ・リーグの歪な構造に根本的な問題があるのは誰の目にも明らか。70年代80年代から国内のトップ選手たちは高額サラリーを求めて国外に出て行ったが、かつては24, 25歳での国外挑戦が今はトップチームで1,2年活躍した段階での19, 20, 21歳、さらにプロ契約前のユースの段階で、と異様なほど低年齢化した。そのためにチームのベースとなる20代後半の選手が国内で激減し、22~23歳の選手でも『リーダー』の役割を担わなければならならず、タレントたちに多くのチャンスが与えられる一方で、若いタレントを国内で健全にトップレベルと導き、成長させる『育成リーグ』としての姿が失われて久しい。さらにプロ・クラブの実に半数が人工芝と、フットボールの体質そのものが変化している状況も憂慮されているが、やはりKNVBが何らかの行動に出る気配はない。
5. 硬直化した育成とホーランセ・ホール
かつて世界有数の育成を誇ったオランダだが、その手法を他の国に提供し、各国がそれぞれ改良していったのに対し、オランダの育成は理念も設備もほとんど改善されないまま、少ない例外はあるものの数10年前の姿をほぼ保っている。これはオランダ人が考えるフットボールの理念が70年代以前から変わらないことと根本的に同じ問題だろう。組み立てとポゼッション、ポジションプレーを重視し、フィジカル、競り合いの強さ、メンタルを軽視する傾向が強く、世界のトップレベルで通用する選手が生まれなくなった。特に組み立ての際にプレッシャーを受けると途端にボールを前に運べなくなる問題は顕著で、本来の横に時間をかけずにダイレクトに前にボールを動かすホーランセ・スホールが実現できなくなっている。ホーランセ・スホール自体が時代遅れという考え方も少なからず浸透しており、実際毎週のようにそれを論じたコラムがメディアに上げられ、昨年末にはKNVBの主導で各専門家を集めてオランダ・フットボールの将来を考える大シンポジウムが開かれたものの、現実的な行動には未だ至っていない。動かないKNVBに業を煮やしたCBVが強力なリーダーシップを持つテクニカル・ディレクター職を要求しているが、今のとことファン・オーストフェーンは積極的なリアクションを見せず、国全体で早急な改革が行われるか11月のRvCの定期ミーティングの結論にかかっているだろう。
De wedstrijden van Oranje na het WK 2014 (overwinningen zijn dik gedrukt)
4 september 2014 Italië-Nederland 2-0 vriendschappelijk
9 september 2014 Tsjechië-Nederland 2-1 EK-kwalificatie
10 oktober 2014 Nederland-Kazachstan 3-1 EK-kwalificatie
13 oktober 2014 IJsland-Nederland 2-0 EK-kwalificatie
12 november 2014 Nederland-Mexico 2-3 vriendschappelijk
16 november 2014 Nederland-Letland 6-0 EK-kwalificatie
28 maart 2015 Nederland-Turkije 1-1 EK-kwalificatie
31 maart 2015 Nederland-Spanje 2-0 vriendschappelijk
5 juni 2015 Nederland-VS 3-4 vriendschappelijk
12 juni 2015 Letland-Nederland 0-2 EK-kwalificatie
3 september 2015 Nederland-IJsland 0-1 EK-kwalificatie
6 september 2015 Turkije-Nederland 3-0 EK-kwalificatie
10 oktober 2015 Kazachstan-Nederland 1-2 EK-kwalificatie
13 oktober 2015 Nederland-Tsjechië 2-3 EK-kwalificatie