フェイエノールト・マガジン新刊で、ヘット・レヒューンのメンバー全員からクラブのディレクター陣への質問を募集。エリック・フッデ、マルティン・ファン・ヘール、マルク・クーフェルマンスの3人がそれぞれ質問に応えた。以下はその中から、ファン・ヘールが移籍金予算、スカウティング、テクニカル・ディレクターとしての仕事について答えたもの。
1. カンピューンスハップよりも財政健全化が優先されている印象を受ける事がある。予算を上回るため、重要な選手は買うことができない。それについてはどういう考え?(Kees Hukker)
ファン・ヘール:我々は過去から学んでいる。スポーツ面の成功を得るためだけに財政的リスクを冒すことは決してしない。リスクを冒し、予算を上回る選手を数人獲得してもタイトルを獲れる保証は無い。だが我々は常に選手予算のギリギリを目指している、昨シーズンの我々の選手予算はオランダ5位。アヤックスとPSVはこの点では我々を大きく引き離しており、AZとトゥエンテも我々より選手予算が上。現状を見れば、新シーズンの我々はAZとトゥエンテを抜くだろうが、アヤックスとPSVの差は開いたままだ。この数シーズンの我々は、3回連続3位以内と1回の4位で限られた財政能力を上回るスポーツ面の結果を出せることを示してきた。確かにこの財政能力内で残された最後のステップを踏むのはかなり難しいが、我々はもちろんそこを目指している。
2. 監督の要望でエル・アマーディとトールンストラを獲得し、今年ボエチウスとフィレーナはプレーできなかった。1年だけの監督によって作られた状況により、二人とも契約を延長するのを望んでいない。フェイエノールトのテクニカル・ディレクターとして、この状況をどう解決する?(Aad Altena)
ファン・ヘール:補強の最終責任は常に私にあるが、我々はしっかりした構造を持って仕事をしており、その中でスカウトを通して選手たちが構想に入ってくる。関係者全員が定期的集まり、シャドウチームをアップデートしているんだ。もし我々が選手獲得を決めれば、残りのディレクターとRvCと一緒に金銭面の摺り合わせをするのが私の仕事。私はどのクラブでも、それ以外に監督との話し合いも常にしていたし、即戦力を獲る際には監督との合意は絶対必要。監督が遣う気がないと前もって言っている選手を獲得する意味は無いからね。しかし監督が全ての選手の獲得を決めるという分けではない。責任を負うのは常に私だ。買い物の失敗も、成功もね。
3. アヤックスとPSVがデーリー・ブリント、ケヴィン・ストロートマン、メンフィス・デパイなどを高額で売っているのに対し、近年フェイエノールトの選手はほとんどお金を残せていないのはどうして?(Ed Steehouwer)
ファン・ヘール:マルセル・ブランツが最近インタビューで自ら上手く説明してくれている。移籍金額の大部分は売るクラブと買うクラブで決まる。相手のクラブが大きければ大きいほど、より高額を要求できるんだ。Manchester United, Chelsea, FC Barcelona, Real Madridといったクラブはそれ以下のクラブよりも大金を払えるからね。我々が昨夏 選手を売ったFC Porto, Lazio Roma, Southampton, Newcastle Unitedというクラブは、絶対的トップとは別のカテゴリー。我々がFC フローニゲンから選手を買えば、普通RKCより買う時よりお金がかかるのと同じ。この点で我々はまだ、スポーツ面でより多くの成功を収めているアヤックスやPSVのようには見なされていないし、彼らはサラリーもより多く払っている。
昨夏の我々は初めて再び選手を良い値段で売ることができた。これはもう何年間も無かったこと。これは良い方向に向けてのステップ。我々が選手たちをもっと高額で売りたいなら、欧州の絶対的トップからの関心を得なければならない。タイトルを勝ち取って初めてそれができる。その点でも我々は次のステップを踏まなければならないんだ。
4. 得られた移籍金の何%を再投資に回せる?(Jordy Pronk)
ファン・ヘール:昨夏は我々は重要な選手数人を売った後でリアクションを起こすのが遅すぎたと、メディアから不当な批判を受けた。多くの人間が当時の我々の財政状況を忘れているんだ。フェイエノールトはあの時はまだ負債を抱えていたし、この数年は移籍金収入からは1セントも再投資に回せなかった。昨夏その状況がようやくターニングポイントを迎え、我々は移籍金収入の25%を遂に再投資に回せるようになったが、動けるのは実際にユーロが手元に入ってから。その前にはディレクターとRvCとの合意も必要。選手を売るまでは我々は何もできなかったんだ。
グラツィアーノ・ペッレが去るのは予想できたのでは?と多くの人が言う。しかし確実なことでは全くなかった。1年前もSouthamptonが具体的になるまでは、彼は我々のもとに残るという話だったんだ。シャドウリストは作れるが、財政状況が許さなければ事前に動くことはできない。
新シーズンに向けては、我々は初めて再び自分たちで自由に使えるお金を手にしている。負債は無いし、移籍金収入の75%を再投資に回せる他、さらに移籍金予算もある。同時にサラリー予算も増え、我々はあらゆる面で良い方向に向かっている。
5. スポーツ面でも財政面でも近年状況は上向き。どうして我々の最高のタレントたち(ボエチウスとフィレーナ)がフェイエノールトと契約延長を望まない状況にまたなっている?(Jeroen van Holst)
ファン・ヘール:まず、近年の我々はユースで育ててきた多くのタレントと再契約していると言っておきたい。デ・フライ、マルティンス・インディ、クラーシ、コンゴロ、ネロム、カルスドルプ、ファン・ベークのように。フィレーナとボエチウスについてはそれぞれ状況が異なる。フィレーナは出場時間があまりに少ないと考えており、シーズン後半戦はスタメンで出れると考えていたのは私も想像できる。彼は状況の成り行きを見守ろうとしているが、おそらく他のクラブに移った方が良いという結論に達するだろう。ジャン・パウルの状況は違う。彼はかなりのチャンスを貰って出場時間も得ていたからね。私は彼と契約延長できる望みを捨てていないが、そのためにクラブ、選手、代理人側が一本の線にまとまらないといけない。
それを予算内で行い、セレクション内のバランスも保たせるのが私の仕事。
いまの状況がフェルとワィナルドゥムが2011年にしたステップと似ているとは私は思わない。彼らはフェイエノールトを去る3つの理由があると考えていた。一つ目に我々のもとでさらに成長できるチャンスが無いと考え、二つ目にフェイエノールトではオランダのトップを争えないと考え、3つ目にフェイエノールトでは代表選手になれないと考えた。この3つの理由を近年の我々は間違いだと証明した。だからフィレーナとボエチウスにはこれは当てはまらない。
6. フェイエノールトが過去のオノやエマートンのように、スカウティングによってもたらされた選手でサプライズを起こすことがほとんどできていないのはなぜ?(Marcel de Ruiter)
その意見には賛同できない。例えばジョン・グイデッティは無名の選手が我々のもとでファンタスティックな活躍をした良い例だ。彼は文字通り我々のスカウティングによって獲得された選手であり、かなり前から我々のスカウトのレーダーに入っていた。ダリル・ヤンマートも成功例として挙げたい。振り返って見れば、彼は急速な成長を遂げたと誰もが言えるが、ヘーレンフェーンから我々のもとにフリー移籍で来た時は、1年以内に代表選手になると思っていた人は多くは無かった。彼も我々のスカウトによって徹底的に調査された。同じ事は例えばイェンス・トールンストラにも言えるが、ビラル・バサチコグルにも言える。我々は現在3人のフルタイム・スカウトを持ち、さらにベルギーにもスカウトを抱えている。それ以外にも欧州と世界の他の地域に情報網を持っており、推薦や知らせがあれば、一定の形の評価システムで査定できる。私はスカウトたちの仕事に非常に満足しているし、彼らはこの非常に大きな仕事体形でとても正確にな仕事をしくれており、非常に信頼できる人々だ。
さらに知っておいて欲しいのは、我々はユースに常にプライオリティを置いているということ。ユースで使える選手が見つからない時だけ、我々は他の選択肢を探す。第一選択肢はオランダ人だが、そこでも使える候補が見つからない時は、スカンジナビア人にフォーカスを移す。彼らのメンタリティとカルチャーは我々に近いからね。だがこれは我々は他の国の選手たちに目を向けていないという意味ではない。今のところそこにプライオリティを置いていないというだけ。
7. テクニカル・ディレクターとして最も重要な仕事は?(Milan de Vries)
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ランダムに10人の私がフェイエノールトで最終責任を負う仕事は何かと聞けば、おそらく9人は私が選手の売り買いにしか関心がないと思うだろう。それも重要な部分だが、私の仕事はもっと広範囲。私はファルケノールトのF1からトップチームまで、フェイエノールト内の全てのフットボール活動と、それに関わる全てに責任を負っている。私のスタート地点は、まずフェイエノールトにプロフェッショナルな環境を整え、適材適所でみんなが最大限の効率で働けるようにすること。テクニカル、メディカル、スカウティング、育成、設備の全ての分野で連携を取り合い、常にトップチームで最高の結果を出すという目標に向かわなければいけない。育成とユース選手のトップチームへの引き上げもその一部。それ以外にもほぼ毎日 私がマネージメントしなければならない仕事がある。だから私の仕事は選手の売り買いだけでなく、もっと広範囲なんだと言っておきたい。