プレシーズンで暇なのでメディアの話でも。
事の起こりは13日のVVV － Genkの練習試合に34分にオーツが一発退場。何が起きたのかTwitter VVV公式アカウント(@vvvvenlo)の実況ツィート。
34. Na enkele tikken en trappen laat Yuki Otsu zich gaan. Hij reageert zich af. Scheids vindt het natrappen, Otsu krijgt rood. #vvvkrc
(34分 何度も叩かれ、蹴られた後にユーキ･オーツは感情にかられ、鬱憤を晴らす行為。主審はナートラッペン[相手を蹴る行為]と判断、オーツはレッドカードを受けた)
https://twitter.com/vvvvenlo/status/356036863464706049
最初から結論が出てる気がしますが試合後の地元フェンロのローカル放送局 Omroep Venloの試合記事。
VVV deed weinig onder voor de Belgische nummer vijf van afgelopen seizoen. Ook na de rode kaart van Yuki Otsu, die al na 35 minuten kon inrukken wegens natrappen, bleef VVV makkelijk overeind.
(VVVは昨シーズン ベルギー5位相手にもほとんど劣っておらず、ユーキ･オーツが35分にナートラッペンのためにレッドカードを受けて退場した後も容易に持ちこたえていた)
http://www.omroepvenlo.nl/nieuws/17199/
そしてリンブルフ州の大手 Dagblad De Limburgerの試合記事。
Het zomerse duel op een drukbezocht Sportpark De Bakenbos werd ontsierd door de rode kaart voor Yuki Otsu. Die kreeg de Japanner in de 34ste minuut wegens natrappen. Otsu zal minimaal voor één wedstrijd worden geschorst. De exacte strafmaat zal komende week worden bekendgemaakt.
(賑やかなSportpark De Bakenbos での夏日の試合はユーキ･オーツのレッドカードによって台無しに。この日本人選手は34分にナートラッペンでレッドカードを受けた。オーツは少なくとも1試合の出場停止処分に。正確な処分は来週発表されるだろう)
さらにVVVファンの運営している情報サイト GoodOld.nlの記事
De Belgische bekerwinnaar had moeite met de eerste-divisionist die tien minuten voor rust bovendien met tien man verder moest na een rode kaart voor Otsu. Erkend VVV-hater Ed Janssen (VVV verloor alle vijf competitiewedstrijden die onder zijn leiding stonden) had de Japanner een natrappende beweging zien maken richting Koulibaly.
(ベルギーのベーカーヴィナーはVVVが前半終了10分前にオーツへのレッドカードで10人のプレーを強いられて以降も、このエールステ･ディヴィジョニストに苦戦していた。VVV嫌いで知られるエド･ヤンセン(VVVは彼の笛でリーグ戦5試合連続敗戦中)がこの日本人がKoulibalyに向けてナートラッペンのモーションをしたのを見逃さなかった)
http://www.goodold.nl/vvv-verliest-oefenwedstrijd-tegen-genk-met-0-1/
で、出場停止処分の発表についてのOmroep Venloの記事。
Tegen de Belgische club werd Otsu al na 35 minuten van het veld gestuurd wegens een schoppende beweging naar een tegenstander.
(ベルギークラブ相手にオーツは35分に相手を蹴るモーションで退場になっていた)
http://www.omroepvenlo.nl/nieuws/17218/?utm_source=www.hetnieuws.in&utm_medium=embed&utm_content=
ナートラッペンは実際に相手に当たっていなくても蹴るモーションだけで一発退場になることがありますが、練習試合4試合の出場停止、内1試合は執行猶予という処分がKNVBから出たので多分当てたでしょう。と、ここまでは問題ないのですが、周知の通りなぜか日本では「審判への抗議で退場」との報道に。
ただおそらく一番早かったであろうゲキサカが当初「0-0で迎えた前半36分、DFクリバリーからファウルを受けた大津が苛立って相手を蹴ってしまい、一発退場となった。」と報じてたらしいですが、現在は「0-0で迎えた前半36分、DFクリバリーからファウルを受けた大津は苛立ち、主審への抗議が侮辱行為として一発退場となった。」に変更済み。
ゲキサカ (7/14 14:16) http://web.gekisaka.jp/398048_121730_fl
まとめサイト CloudPressの転載記事 http://cloudpress.jp/385748.html
実際のところナートラッペンのファールの後に審判と揉めて一発レッドカード、というシナリオもあり得るかもしれませんが、リスペクト問題の煽りで昨冬から抗議に厳しくしたオランダでも「判定への抗議は即イエローカード」という基準なので(残念ながらあまり守られてませんが)、抗議で即一発レッドカードというのはまず考えられません。抗議というのが審判に殴りかかった、というのなら話は別ですが、だったらオランダの全国紙でも一面飾れるかな～。
ちなみにナートラッペンはいろいろありますが、「暴力行為」クラスでなくても、ボールに関係なく故意に相手を蹴ったと判断されれば当然即退場。有名なので言えば、2009年11月PSV - ヘラクレスで悪名高きトイヴォネンのファールで倒されたピーケンハーゲンが起き上がり際に足を蹴ったとしてボッセンが一発レッドカード。
http://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=QpaC9d4bZ0Q#t=79s
今回の件は日本のメディアが独自ソースで報じてるのなら良いんですが、最近のオランダ･フットボールの記事は中田徹さんレベルの人でもない限りワールド･サッカー･ダイジェストでも結構間違いが目立つのが事実なので、最終的に迷惑するのは他人とはいえいろいろと心配ではあります。特に普段は明らかに取材せずにそのまま適当に転載しているだろう、といういくつかのメディアが、一つとしてオランダ･メディアのソースを表記していないのが率直に言ってかなり疑問。
