ベルト・ファン・マルワイクの突然の辞任によって空席になったオランダ代表ボンズコーチの席。KNVBのディレクター ベルト・ファン・オーストフェーンはデッドラインを設けずに8月のベルギー戦までに決めればいいと考えているようだが、メディアではすでに多くの名前が挙がり、いつも通り国を挙げての議論になっている。
CBVのディレクター ヘラルド・マルスマンも希望しているとおり、オランダ人であることは多くの人の希望であり、おそらくこの一線は守られるだろう。メディアで名前が挙がっている主な候補者は次の6人。フランク・デ・ブール、フース・ヒディンク、ルイ・ファン・ハール、コ・アドリアーンセ、フランク・ライカールト、ロナルド・クーマン。このうちデ・ブール、クーマン、ヒディンク、ライカールトは現在契約中であり、フリーなのはファン・ハールとアドリアーンセの2人。
すでにコメントを出しているのはエールディヴィジで監督を務めるデ・ブールとクーマン。アヤックスで若い選手たちをまとめあげてフットボールをさせるという点では能力を証明しているデ・ブールは「ボンズコーチはまだ早すぎる」と現段階ではまだ就任の意志がないことを公言。アヤックスはようやく『クライフ戦争』を終えて新体制が落ち着いたばかりであり、クラブ内からはデ・ブールとの終身契約を望む声さえある状況。性格を考えてもボンズコーチの就任は無いだろう。
昨シーズンの最優秀監督に選ばれ、その手腕を疑う者はいないクーマンは前々からボンズコーチの夢を公言。彼も早々に「フェイエノールトとの契約にはどんなクラブ(バルセロナ)でもKNVBでも途中解消できる条項は含まれていない。私はこれからもフェイエノールトの監督であり続ける。100%確実だ」と断言したが、なにせ「ぜんか持ち」なためあまり説得力が無いのはしょうがない。4年前にファン・マルワイクを奪われたフェイエノールトとしてもマルティン・ファン・ヘールが「あり得ない」と断言しており、CL予選を控えた段階で手放すことは考えられない。ただテクニカル・スタッフにはすでにライセンスを獲得したジャン・パウル・ファン・ハステルが次期監督候補として控えており、近い将来(1年後)の禅譲は十分可能性がある。KNVBが何らかの手段で1年間の橋渡し期間を設けられればあるいは・・・。
現在サウジアラビアのボンズコーチを務めているライカールトは代理人がコメントを出している。「現段階では何の関係も無い話。サウジアラビアはすでにWK予選を敗退したが、契約終了の2013年末までまだやるべきことはたくさんある。サウジアラビアのフットボール協会が早期契約解消を望めば別だが、今のところは何も無い」というもので、交渉次第では可能性ありという印象。
ロシアのクラブチームAnzhiで監督を務めているヒディンクは言うまでもなくWK 1998で残したの大きなインパクトから今もオランダ・フットボール界から望まれている人物だが、お金を求めてロシアへ渡った本人にその気があるかどうか。ロシアの富豪と張り合う交渉も難航するだろう。
新ボンズコーチとして現在最も支持を得ているのはファン・ハールだ。ロナルド・デ・ブールもTwitter上で推薦し、『希代の戦術家』の再就任を望む声は非常に大きい。本人も「ボンズコーチとしてWKでティートルを争うのが夢」と事ある毎に語っており、交渉に入れば問題なくまとまるはず。若手抜擢の手腕も周知の通りであり、世代交代を進めることになるオランイェにとっては最適だろう。
ファン・ハールと共にホーランセ・スホールに精通し、攻撃的フットボールの信奉者なのがアドリアーンセ。ファン・ハネヘムらが推薦しており、リスクを全く顧みないこの『ギャンブル狂』も一定の支持を得ている。ただファン・ハール以上にKNVBとの仲は宜しくないと見られており、そのスタイルからも、実際に手を出すのはまさに大きな賭。
その他に挙げられている人物としては、毎度「夢の候補」であるヨハン・クライフ、長年ヨング・オランイェを率いて人気の高いフォッペ・デ・ハーン(高齢のため可能性は低い)、知名度だけはあり今回も解説者として外からチームを厳しく批判したルート・フリット(問題外)、2代前のボンズコーチでフリットと同じく解説者としてチームを批判していたマルコ・ファン・バステン(ヘーレンフェーンと契約したばかりで非現実的)、エールディヴィジ最高の名将 ヘルトヤン・フェルベーク(気難しく、トップ選手とは衝突傾向、契約を途中で自ら打ち切るタイプでは無いため非現実的)、前ロシア・ボンズコーチでオランイェを率いた経験もあるディック・アドフォカート(PSVと契約したばかりで非現実的)、など。