Mijn Feyenoord

Feyenoordを中心にNederlands voetbalを追いかける

2011/2012シーズン前半戦、だいたいのまとめ

全体としては攻撃的なプレーをするチームが多くなり、レベルがやや底上げされた印象の前半戦。数字上も1試合3ゴール以上と欧州の主要リーグで圧倒的なゴール数の多さを見せているが、むしろ「レベルの差が小さくなり、安定した戦いを見せられるチームがほとんどなく、先の読めない」という意味でエンターテイメント性が高まっているエールディヴィジ

 

前半戦のキーワードは「不安定さ」だろう。代表的なのが再建へ大きく前進しつつあるフェイエノールト。トッパーでカンピューンチームと思わせるほどの素晴らしいプレーを見せたと思えば、翌週には低調なプレーで格下相手に勝ち点を落とすというtotoファン泣かせの不安定ぶり。その他のトップチームもPSV、トゥエンテ、アヤックスと軒並み安定感が無く、単純にスコアを並べるとフローニンゲンフェイエノールトが6-0、PSVフローニンゲンが6-1、そしてフェイエノールトPSVが2-0と力関係が理解しにくい結果。要因は若手主体、新戦力の多さとクラブ毎に様々あるが、その中で唯一安定感があったAZが首位を走ったのは偶然ではない。

 

昨シーズンの低調さから巻き返しが期待されたサブトップ勢だが、予想ほど勝ち点を積めていない。特にセレクションに継続性のあったフローニンゲンは上位に近づくと思われたが、こちらもプレーに安定感が無く惜しい勝ち点の落とし方が続いている。他に昨シーズンPOへ進んだ3クラブはローダ、ADOが選手入れ替えで競争力を失い、唯一ヘラクレスだけが安定した戦いで多少はPO圏内への可能性を感じさせる。一方で巻き返しに成功しているが昨シーズン12位に終わったヤンス2年目のヘーレンフェーン、そしてファン・デン・ブロム1年目のフィテッセで、PO圏内は十分に狙える位置に着けている。

 

サブトップ勢の低調でレヒターライチェは団子状態だが、残留争いはデ・フラーフスハップ、VVV、エクセルシオールの3チームが15位からやや引き離された。デ・フラーフスハップとVVVはポテンシャルから考えて勝ち点が足りないが、後半戦もタフな戦いになるだろう。

 

1. AZ 38pts [12勝3敗2分] 36-15

セレクションの質と層を見れば脅威的な勝ち点を積み重ねたと言うしかない。名将フェルベークの評価を再び高めた前半戦だった。スハールスがいなくなった中盤にラスムス・エルムが君臨。正確なパスを比類無きセットプレーでゴールを量産。マルテンスが長期離脱したトップ下も新鋭 マヘルが期待以上のプレーで決定的働きも数回。マルテンスが復帰する後半戦、フェルベークがどのような起用を見せるか注目される。前線のみが物足りなさを感じさせるため、アルティドールが3トップに馴染めるかどうかが後半戦の鍵に。

トップチームで唯一安定したプレーを見せたものの、12月はエクセルシオールとの45分ゲームを勝ちきれず、さらに「ブレダの昼」で痛い敗戦を喫してしてすでに3敗、PSVに1pts差に詰められた。フェルベーク自身、カンピューンを本気で狙うかどうか慎重な態度を崩しておらず、「あくまで5位以内が目標」というプランAからBへ切り替えるかどうか、ウィンターストップ明けの手応えで早々に頂点を諦める可能性も。

 

2. PSV 37pts [11勝2敗4分] 48-19

「金の力でカンピューンになれるか」が課題の今シーズン。新戦力の多いチームは序盤低調なスタートを見せ、シーズンが進むにつれて時に連動性のある攻撃を見せて大勝するものの、gdgdな試合も多いという前半戦。最終的にヘーレンフェーンを1-5と圧倒してカンピューンの有力候補であることを見せての前半戦締めくくりとなったが、この半年もトッパーに一つも勝てず勝負弱さが残った。序盤の機能しないチームでメルテンスが爆発、次第に調子を落としたがラビアトがついに本ブレイクでレンスからポジションを奪い、ワィナルドゥムが当たり出すなど、決定的プレーができる選手を多く抱えている強みは出ている。誤算はプレシーズンで「補強がなければ移籍する」と言っていたトイヴォネンの低調さと、ピータース、タマタと続けて長期離脱した左バックのポジションだろう。

単純にスタメンを眺めれば依然カンピューンスハップの最有力なのは間違いないが、メンタル面の力強さに欠けるため後半戦も勝ち点を落とす可能性はある。契約切れルテンの去就問題もメディアを賑わわせているが、選手たちはルテン支持で一致しており大きな問題にはならないか?ウィンターストップ直前のベーカー戦でついにトゥエンテを下したのは好材料

 

3. FC Twente 33pts [9勝2敗6分] 43-18

大きな期待をもって迎えられたアドリアーンセ1年目だが、前半戦を終えて期待ほどの成果は得られていないと言わざるを得ない。成績以上にテオ・ヤンセンとルイスを失った攻撃には魅力も創造性も感じられず、チーム全体のフットボール能力の低さが露わに。ヤンコとルーク・デ・ヨングへ向けてジョンが放り込むだけ、という状況はアドリアーンセにとっても受け入れがたい事態だろう。相手を圧倒するために4-2-4の採用や、チャドリの出遅れてトップ下無しの3センターなど様々試したが、依然試行錯誤状態でピッチ上の選手たちにも迷いが見える。ヴィレム・ヤンセン、大金を払ったフェルがまだスタメンに定着できないなど、クラブ運営にもここにきて疑問の視線が向けられているが、今後中盤に力強さと創造性を取り戻せるか。自分たちのチームに対して寛大なエンスヘデのサポーターからもブーイングが起きるなど、カンピューンスハップ奪回へ向けての光はまだ見えていない。

後半戦へ向けてのかすかな希望は怪我で大きく出遅れていたチャドリがトップ下としてどれだけ輝けるかだが、復帰からここまでのプレーを見る限り期待はできず、本来補強にそれほど積極的ではないアドリアーンセもタディッチかナルシンの獲得の可能性を否定していない。ただどちらも高額な移籍金で可能性は低い。

 

4. Ajax 33pts [9勝2敗6分] 46-23

昨シーズンのカンピューンチームにテオ・ヤンセンとシクトルソン、ブリキンを迎えて強さを増したかに思えたが、予想を遙かに下回る出来。デ・ブールは「まだ80%可能性がある」と語っているが、クライフの「ビロード革命」が裁判所にまで場所を移す「クライフ戦争」にまで発展。クラブとしての体制に大きな問題があることを露呈した。サポーターも目の前のチームを応援するよりもフロント批判に躍起になり、アレナで異様な雰囲気が続いた結果ヶベーカー戦でのフーリガンエステバン襲撃事件だ。ほとんど語る価値も無いクラブ。

 

5. Feyenoord 31pts [9勝4敗4分] 34-22

カスタイニョス、ワィナルドゥム、フェルを失ったがユース上がりのクラーシが大ブレイク、エル・アマーディが加入3年目にしてついに本来のクオリティに合うプレーを見せ、レンタルのグイデッティとバッカルが前任者の穴を埋めるだけでなくチームに大きなプラスアルファをもたらす活躍。クーマン、ファン・ハステル、ジオの新テクニカルスタッフのもとで大きなレベルアップを果たしたのは間違いない。メンタル面の未成熟さから依然不安定さは残っているが、エールディヴィジトップレベルのクオリティを持つに至ったクラーシ、エル・アマーディ、バッカルの中盤を中心にチームが完璧に機能した試合ではカンピューンチームを思わせるポテンシャルを見せており、特にトップ5内の対戦成績は7ptsで得点7失点5と最高成績で後半戦への期待も高い。カテゴリー2復帰も実質決まり、来シーズンへの欧州戦を確定させるために5位が現実的かつ必須の目標。

 

6. Vitesse 29pts [8勝4敗5分] 23-16

ファン・デン・ブロム就任でセレクション、スタメンにオランダ人が増え、攻撃的にフットボールをしようとピッチ上でクラブカルチャーを取り戻しつつある姿勢が見えたように感じられたが、ファン・ヒンケルの長期離脱、チャントゥリアの自己中心的なプレーで第13節フェイエノールトに0-4と完敗した後はスタメンを大きく入れ替え、フィジカルの強い国外選手たちで守りを固めてカウンターと、ほとんどフットボールをせずにこつこつと勝ち点を重ねている。

ADOで躍進を果たしたファン・デン・ブロムだが、フィテッセではセレクションを見ても違いを作れる選手が少なく、目標の欧州枠へ向けてボニー頼みが続くか。最終節で復帰したファン・ヒンケル、ウィンターストップで加入するハーフェナール、そしてサプライズ契約で完全復活を目指すライスがフィットすれば劇的に変わる可能性はあるが・・・。まずはボニーが抜ける1月2月の戦いぶりが重要。

 

7. sc Heerenveen 28ptsv [7勝3敗5分] 39-28

ヤンス就任初年度の昨シーズンは失望に終わり、今シーズン序盤も不安定なスタートだったが、プレシーズンの怪我で出遅れていたタレント ハウウェレーウがスタメン復帰した第5節の北部ダービーで完勝。そこから、ゾメルとのCBコンビが固定されると安定した守備と組み立て、さらに強力なカウンターで勝ち点を重ね、第15節AZ戦では首位相手に5-1と圧勝劇を見せた。ウィンターストップ前最後のPSV戦こそ中盤の脆さを見せて1-5で完敗したが、チームとして安定したことでナルシン、ジュリチッチ、ドストら個々の選手たちが成長を見せており、後半戦へ向けてさらなる伸びシロも感じさせる。たとえアサイディが抜けたとしてもPOは十分現実的な目標圏内。

 

8. FC Groningen 26pts [7勝5敗5分] 29-28

見事なフットボールを見せた昨シーズンから、マタフス、グランクフィストらが抜けたが、セレクション全体としては継続性があったため期待されたシーズン。しかし勝てる試合での勝ち点の取りこぼしがあまりに多く、ここまでは内容に見合わない結果になっている。第1節から残り80分先制して相手10人という展開で逆転負け、第3節ブレダ戦でもHT0-2から追いつかれ、最も1ゲーム内での不安定さを露呈したのが85分の勝ち越しゴールから追いつかれた第15節NEC戦だろう。真スピッツ テキセイラは欧州1年目で期待以上の働きは見せており、チームとしてタディッチを中心に多くのチャンスを作れているのは確かで、ユーロボルフでのフェイエノールト戦では恐ろしい効率の良さでほぼ全てのチャンスを決めたことで6-1と歴史的圧勝。だが、それ以外の試合ではあまりにも試合を決められるチャンスを逃すシーンが多かった。自信を持って臨んだPSV戦では6-1と完敗するなど、オープンすぎるスタイルに不安もある。

PO圏内は十分狙えるクオリティがあるはずだが、タディッチが抜ければ油断はできない。

 

9. Roda JC Kerkrade 24pts [8勝9敗0分] 29-38

昨夏にヴィレム・ヤンセン、スコブ、カーら多くの主力を失い、シーズンスタートはコンディションの調整不足もあって大きく出遅れたが、少しずつ立て直してリンカーライチェで折り返し。ユンケルとコンビニ新戦力マルキが定着し、前線のアクセントになってきている。

後半戦も勝ったり負けたりが続くだろう。ユンケル、フォルメルが契約最終年で、ファン・フェルトホーフェンも今シーズン限りで去る可能性もある。ファン・ヘールが去り、クラブとしてどうチームを継続させていくかが注目。

 

10. NAC Breda 21pts [6勝8敗3分] 24-28

今シーズンもブレダで粘り強さを見せるも、アウエーでは前半戦たった1勝1分けの4ptsと相変わらずの内弁慶。アモアの抜けた穴はさすがにスハルクでは物足りないが、コンディションの良さを見せているベテラン ルールリングが頼もしい。トップ下でもスヒルデルが新たな姿を見せるなど好材料もあるが、人のいない右サイド、脆弱なDF陣、あまりに腰の引けたアウエーでの戦いぶりなど課題は多い。

 

11. ADO Den Haag 21pts [6勝8敗3分] 22-31

昨シーズン、クラブ史上に残る快進撃でPOを勝ち抜き、夢の欧州戦でシーズンスタート。しかしファン・デン・ブロムをフィテッセに引き抜かれ、ELも予選で敗退、さらにブリキンが抜けた上に夏の移籍市場でインマルス、フェルフークらに移籍の噂が立ち昇ったことでフィジカル面だけでなくメンタル面の疲労もあり、前半戦は低調なパフォーマンスに終わった。

スピッツのウェズリー・フェルフーク、ウィンガーのシェリーと新戦力はそれなりの結果を出しているが、全てが上手く行った昨シーズンの再現は望むべくもない。

 

12. Heracles Almelo 20pts [5勝7敗5分] 27-25

契約切れで移籍したフレデールス以外セレクションの大部分が残り今シーズンも充実したフットボールを披露。CB陣の怪我もほとんど影響を感じさせず、ショートパスを中心にコンビネーションで崩すスタイルは健在で、好調時ではエールディヴィジトップクラスのエンターテイメントなプレーを見せてくれる。特に新加入 デュアルテが機動力とキックテクニックをもとに中盤でスペルマーカーとして新境地。唯一エヴァートンの調子が上がらないことで前線の迫力不足が感じられたが、ウィンターストップ直前のベーカー戦でヴェイノビッチを10番に置いたアルメンテーロス、プレット、オーヴァートムの3トップが機能したことは後半戦へ向けての大収穫だろう。パスフェールはスーパーセーブの一方で大事な場面での凡ミスもあり、もう少し安定したい。

 

13. RKC Waalwijk 18pts [5勝9敗3分] 17-28

ジュピラーリーグを圧倒的攻撃力で制した3トップが全員抜けてのエールディヴィジ1年目で苦戦が予想されたが、ブロートが見事な采配で序盤戦の大きなサプライズ。テン・フォールデ、カスティリオンの2トップとブラーベル、ファン・ハウトらクリエイティビティのあるMF、攻守の切り替えで起点となるスノ、スーパータレントでることを証明しているGK ズートと残留へ向けて十分なだけのクオリティがあるのは間違いない。

 

14. FC Utrecht 17pts [4勝8敗5分] 28-35

夏の移籍市場で主力のほとんどを失い、エルヴィン・クーマンも「クラブがプロフェッショナリズムに欠ける」との言葉を残して辞任。今シーズンも例のごとく多くの長期離脱者を出しており、特にムレンガが再び膝の十字靱帯断裂と重傷を負ったのは悲劇としか言いようがない。

苦しいチーム事情の中で020戦で見せたような闘争心をどれだけ見せられるか。後半戦残留争いに巻き込まれる可能性もある。

 

15. NEC 17pts [5勝10敗2分] 17-27

パストールを新監督に迎え、ゾメルは抜けたがシェーネが残った上にコールワイク、ファン・デル・フェルデン、プラッチェ、ゼーファイクを補強と期待のシーズンだったが、ここまで失望としか言えない結果。テクニックに優れた選手たちが時に素晴らしいフットボールを見せ、チャンスシーンも十二分に作っているが、結局昨シーズン前半戦だけで12ゴールを挙げたフレミンクスの穴を埋められていない。唯一の光はゴールゲッター プラッチェが5ゴールを挙げていることだか、パストールは以前としてスーパーサブ扱いを続け、いまだノーゴールのゼーファイクがスタメンとなっている現状。テン・フォールデをレンタルに出した代償は大きかったと言わざるを得ず、このまま決定力を欠く試合が続けば残留争いも。

シェーネとホーセンスが来夏に契約終了のため、新戦力が出てくるかも注目。

 

16. De Graafschap 12pts [3勝11敗3分] 16-39

ホームではやや攻撃的プレーを見せるようになったが、失点も増えて今シーズンも苦しい戦い。デ・レーウはまだ期待ほど活躍できていないが、エル・ハスナウィがトップ下に定着しつつあり、デ・レーウをサイドからシャドウアタッカーとしてフィニッシュに絡める形は出来つつある。GK デ・ヴィンテルは期待を遙かに上回る出来。

 

17. VVV-Venlo 10pts [2勝11敗4分] 16-42

入れ替え戦まで行った昨シーズンから夏の補強、プレシーズンの戦いぶりから巻き返しが予想されたが、O/19WK帰りのナイジェリア組との融合に見事失敗、チームとしての戦術がまとまらずに迷走し、RKC戦での初勝利まで10試合を要した。結局前半戦の勝利はこの1勝とリンブルフダービーでの歴史的1勝のみと、セレクションのクオリティを大きく下回っている。

ヴィルツフットやリンセンとタレントが結果を出しているため、新監督に決まったトクホフが後半戦、チームに指針を与えられるかどうか。

 

18. Excelsior 8pts [1勝11敗5分] 9-41

昨シーズン活躍を見せたコールワイク、クラーシ、ベルフカンプらが抜け、クラブとして長期的にエールディヴィジを戦っていくだけのベースが無いことが露わに。RKC戦の勝利を含め、8ptsでも戦力的に見て出来過ぎ感がある。

よほどのことがない限り最下位は間違いないが、後半戦へ向けてフェイエノールトからDF スヘンケフェルト、ゴールゲッターのマヌをレンタル。