Mijn Feyenoord

Feyenoordを中心にNederlands voetbalを追いかける

一体感とメンタルの強さがもたらした18年ぶりのティートル

 

【総括】

ディルク・カイトが繰り返し口にしていた”Eén team, één missie.”が今シーズンのキーワードだろう。確かにジョーンス、ヨルゲンセン、ベルフハイスの補強でカンピューンスハップを争える戦力は整っていたが、チームとしてピッチ内外で一体感を保ち、シーズンを通して安定したパフォーマンスで崩れる期間が無かった事がティートル・レースでの違いを作った。特にフィレーナの母親の死去、カイトのスタメン落ちの与えた影響の大きさを考えればこのチームの”ファミリー”としての一体感の強さが逆に浮き彫りになる。クラーメルのような我の強い選手が控えの役割を受け入れて不満を言わずに、むしろピンチヒッターとして貴重なゴールを決めていたことも選手一人一人がこのチームの中でどれだけカンピューンスハップを熱望していたかが分かるだろう。ディルク・カイトというカリスマ性を備えたイコンが何よりもカンピューンスハップを求め、自らも犠牲にしての貢献はもちろん、ジョーンス、ボテギン、エル・アマーディ、エリア、ヨルゲンセンという経験ある選手たちがチームの中心として求心力を持ち続けたのがチームのメンタル面を支えた重要なポイントだった。

 

長期的に見ればファン・ヘールの仕事が遂に大きな実を結んだカンピューンスハップだ。彼がようやく再評価されることになったのは当然だろう。2年前にもう可能性が無くなったと思われていたカイトのデ・カイプ帰還を実現させ、新監督にファン・ハステルではなくファン・ブロンクホルストを選んだこと。7連敗でファン・ブロンクホルストを解任せず、アドフォカートの招聘という選択肢を選んだこと。昨シーズン移籍を望んでいたトールンストラ、ファン・デル・ハイデン、ネロムを留めたこと。その結果 ファン・デル・ハイデンの獲得が失敗では無かったことは見事に証明され、昨夏はジョーンス、ヨルゲンセン、ベルフハイスと戦力を確実にアップさせられる即戦力も獲得した。確かにヴェイノヴィッチやターピアに代表されるミス・アンコープもあったが、テクニカル・ディレクターとして6年間水準を上回る仕事をしてくれた。

 

新人監督として2年目に大きな成長を遂げたファン・ブロンクホルストの功績も特筆に値する。早くから落ち着いたオーラを出して好印象を与えつつもアドフォカートの助けが必要だった1年目と比べれば、『独り立ち』と言えるシーズン。ピッチサイドでの振る舞いは変わらないものの、チームに対してバーを高く上げ、内面での厳しさと激しさが増したことでチームの一体感が保たれた印象を受ける。特にカイトを外す勇敢さを見せたのは大きな成長だろう。確かに会見でのコメントは味気ないが、常にチームを中心に置いて特定の選手に焦点が当たることを避けていたのは、トップクラブの監督として相応しい姿と言える。戦術面でのディテールでもクオリティを発揮し、カルスドルプとコンゴロの両バックを中心とする組み立ての改善、4-4-2のコンパクトな守備陣形から前進守備がチームの大きな武器に。おそらく1試合を通して戦術面で圧倒されたのはユトレヒト-uitくらいだろう。

 

実際にピッチ上のプレーについて言えば、決してベストなフットボールでは無かったものの、デ・カイプではほぼ常に相手を圧倒する姿を見せてくれた。当然ポイントは前進守備であり、ヨルゲンセン(とカイト/トールンストラ)のハードワークがエル・アマーディとフィレーナの仕事を楽にし、チーム全体のプレッシングを機能させたのが昨シーズンとの大きな違いだ。競り合いの強さとハードワーク、情熱的なプレーこそがフェイエノールトのキャラクターであり、今シーズンのデ・カイプではそれを存分に味わうことができた。フットボール面ではカルスドルプを効果的に使った組み立てのバリエーション増加、自らアクションを起こせるベルフハイスの存在はもちろん、ほとんどフットボールに参加していなかったクラーメルから一転、豊富な運動量で数多くボールに触り、最終的に11アシストを記録したヨルゲンセンポストプレーこそがフェイエノールトにティートルをもたらした最大の変化なのは誰の目にも明らか。その結果トールンストラの14得点、ベルフハイスの7得点、エリアの9得点、さらにフィレーナの4得点とエル・アマーディの5得点!とどこからでもゴールを決められるチームに。「得点を決められる選手が少なすぎる」という批判がこの数年続いていたことを考えれば、ヨルゲンセンの加入がチームに与えた影響こそが正に決定的だった。デ・カイプとは対照的にアウエーでは苦しい試合が多く、前進守備ではなく低い位置で受け止める試合が多かったのはいろいろな要因があるだろう。スピードに欠ける両CBとプレーエリアの広くないジョーンスのクオリティを考えれば、そもそもこのチームが背後に大きなスペースを空けるのは危険極まりなく、ホームでのカウンターからのピンチを防いだのは多くの場合カルスドルプとコンゴロの両バックのスピードだった。結局今シーズンも人工芝で苦しんだが、特にヨルゲンセンが人工芝に慣れずに終始存在感を見せられなかったことがアウエーでの苦戦の大きな要因の一つに挙げられるだろう。

 

【カンピューンスハップにおける決定的シーン】

第1節のユーロボルフでの圧勝、特に指の関節を外しながらダッシュでピッチに戻ったエリアの意欲的姿勢は今シーズンのチームの熱意の高さ、ハングリーな姿勢を予感させるシーンだった。第6節のPSV-uitという最初のトッパー、ラストプレーでのジョーンスのセーブこそ、カンピューンスハップを狙える自信をチームに植え付けた最初の決定的シーンだった。第14節のユトレヒト-uitは第9節のNEC-uitに続いて長時間リードを許し、90分まで2点差ビハインドという状況から最後は99分目!にクラーメルのゴールで1ptを獲得。試合終盤に優勢に立てるフィットネスと、劣勢でも決して諦めないメンタルの強さを示す象徴的シーン。エル・アマーディがアフリカ・カップで離脱したウィンターストップ明け初戦の第17節ローダ-uitは人工芝もあって予想通り苦戦していたが、スタメンに戻ったカイトが70分にヘディングで遂に先制。欠かせない選手不在の3試合を全勝で抜けるための大きなゴールだった。第24節PSV-thuisはエールディヴィジの歴史上でも最も記憶に残る試合の一つだろう。内容的には正当な勝利だが、ズートがボールを抱え上げた際にGLTに引っかかる決勝点はカンピューンスハップに必要な『ある種の運の良さ』を象徴するシーン。第22節ヘーレンフェーン-uitは前半相手に圧倒される苦しい展開を最後はフィレーナの見事なゴールで大きな勝利。苦しい時期の中で成長を遂げたフィレーナがそのクオリティを見せつけた意味でも印象に残るシーンだった。最終節ヘラクレス-thuisについては言うまでも無いだろう。1週間前の気楽ムードだったエクセルシオール-uitでの3-0負けから一転、えも言われぬ緊張感の中で向かえた試合は開始40秒の先制。12分の追加点で早々に歓喜のフェストに。最終的にハットトリックを達成してティートルを決定づけたディルク・カイトはこの試合でクラブのレジェンドとなった。

 

【個人レポート】

Brad Jones 32試合2.880分間出場(スタメン32試合)

今シーズンのトップ・アンコープの一つ。フェルメールの長期離脱の直後にこれだけのクオリティのあるトップGKをフリーで得られたのはとてつもなく大きかった。キックテクニックや飛び出しの対応ではフェルメールに劣るものの、その冷静沈着のオーラで守備陣に自信を与え、チームを救うビッグセーブも連発。CBデュオがスピードの不足でそれほど背後にスペースを作れなかったことも結果的にジョーンスと相性が良かったのは幸運な巡り合わせだろう。1年契約だがすでにフェルメールと同等以上の評価なのはフェルメールが復帰した後も第1GKに留まり続けたことから確かであり、契約延長が成功すれば来シーズンも第1GKの最有力候補に。

 

Kenneth Vermeer 1試合90分間出場(スタメン1試合)

プレシーズンの怪我により長期離脱。後半戦フィットするも第2GKとしてベンチに座ることに。第26節AZ-thuisで怪我のジョーンスに代わって出場した1試合に留まった。クオリティはすでに証明済みであり、ジョーンスとは違ってプレーエリアも広い。来シーズンは第1GKに返り咲きを狙うとすでに決意を表明しているが、クラブがジョーンスと延長成功ならサラリー面を考えて放出対象に。

 

Pär Hansson 1試合90分間出場(スタメン1試合)

第12節ゴー・アヘッド-uitで怪我のジョーンスに代わって出場。フェルメールがフィトしたシーズン後半は時にバイローの前にベンチから外れることもあり、この夏に移籍は確実。

 

Justin Bijlow 0試合0分間出場(スタメン0試合)

将来の第1GK候補として有望視され、ベンチ入りする回数も多いなど、トップチームでカンピューンスヤールを1年間経験できたことは良い経験になっただろう。20歳になる来シーズンはレンタル修行の選択肢も。

 

Rick Karsdorp 30試合2.540分間出場(スタメン29試合) 1得点4アシスト

これまでのシーズンに比べて明らかにバランス重視になり、スピードの無いCBデュオをフォローする場面もあるなど守備面の安定に貢献。驚くようなプレーは減り、より本格的な右バックになりつつあるが、効果的に攻撃に貢献していたシーズン序盤から、特に冬場に明らかに雑なミスが多くなったことでトップシーズンとはならず。4月に契約をアップグレードして2021年まで1年延長したが、高額オファーが来ることを見込んでの意味合いが強いだろう。本人にステップアップの準備ができているかは別にして、クラブにはすでにニューコープが穴を埋められることを証明していることから、好条件のオファーが来れば売却の可能性はある。

 

Bart Nieuwkoop 13試合588分間出場(スタメン6試合) 0得点3アシスト

やや怪我がちだったカルスドルプの穴を埋めつつ、シーズン後半は中盤でも起用され、ダイナミズムと競り合いの強さ、足元の技術の高さと高いクオリティを持っていることを証明。カルスドルプほどの圧倒的な走力は無いもののポテンシャルの大きさとマルチローラーなことを考えれば来シーズンはいよいよ主力選手へのステップが期待される。

 

Eric Botteghin 34試合3.060分間出場(スタメン34試合) 4得点1アシスト

ファン・ベークの長期離脱を考えれば彼がいなかったらどうなっていたかを考えると怖ろしいものがある。昨シーズン後半からすでにこのレベルでやれることは示していたが、エールディヴィジ全試合フル出場でリーグのトップDFの一人と言って間違いない活躍。空中戦の強さは言うまでも無く、セットプレーでの守備だけで無く時に重要なゴールも決めた。勇敢にプレーできる時は果敢に前に出て相手を潰すこともできているため、より高いレベルでやるにはスピードの不足をチームとしてどう補うかの問題がやはり来シーズンの課題。ファン・ベークが早い段階で万全の状態に戻れることがベストだが・・・

 

Jan-Arie van der Heijden 31試合2.600分間出場(スタメン29試合) 2得点5アシスト

ミス・アンコープの一人だった昨シーズンから一転、ヘット・レヒューンの人気者にまでなる予想以上の2年目のブレイク。夏場のトレーニングでパワーアップに成功し、スーパーフィットした状態で力強いシーズンを送れたことは、ヴェイノヴィッチとのメンタル面の違いだろう。度々見せるドリブルからヤン・スハーリーのニックネームを得て、本来の足元の技術でもボテギンの弱点をカバー。ただやはりスピードを欠くため、来シーズンもトップレベルでボテギンとの組み合わせが続けられるかどうか。

 

Wessel Dammers 0試合0分間出場(スタメン0試合) 0得点0アシスト

少ないCBの控えだったが、ボテギンがフル稼働したことでリーグ戦の出場機会は無し。ELのMan.United-uitで出場停止のボテギンに代わり出場、トップ選手たち相手に奮闘は見せたが、今後もスタメンを争えるクオリティがあるかはかなり疑問。CB転向が遅かった分、ここから大化けする可能性があるにしても、それなりの出場機会で経験を積まなければ厳しいだろう。

 

Terence Kongolo 23試合1.823分間出場(スタメン22試合) 1得点2アシスト

今シーズンこそCBに集中してポジションを争うという当初のプランを考えれば内心は多少不本意なシーズンと言えるかもしれない。序盤の怪我でファン・デル・ハイデンが代わりのCBで好プレーを見せたことで、ネロム&ヴァウデンベルフに満足しなかったファン・ブロンクホルストによって再び左バック起用。守備面でのクオリティはもはや語る必要が無く、確かに左バックとして組み立てと攻撃面でも成長を見せたが、本来のクオリティと将来への伸びシロを考えればそれでも「フェイエノールトにとっては良い左バック」のレベルでしかなく、自身のキャリアを考えればもういい加減CBに集中すべきだろう。チームとしても理想を言えば強力な左バックを獲得してCBにスピードというクオリティをもたらしたいが、それが叶わないならもうステップアップを考えるべきかもしれない。逆に言えばコンゴロが去ればジオのDFラインの選択肢は大きく減ることになるため、ファン・ヘールにとっては大きな悩み所。

 

Lucas Woudenberg 8試合482分間出場(スタメン5試合) 0得点0アシスト

レンタルから戻ってシーズン序盤に力を見せるチャンスは得られたが、結局ファン・ブロンクホルストを納得させることはできず。精力的なプレースタイルから未だファンの期待は大きく、2年目の再挑戦に賭けるか。しかし明らかに左バックは現チームの穴であり、重大な補強ポイントなのを考えると新戦力の到来で来シーズンも出場機会が見込めなくなる可能性も。

 

Miquel Nelom 17試合1.194分間出場(スタメン12試合) 0得点1アシスト

セレクション最古参としてコンゴロ不在の場合にはヴァウデンベルフより優先されて起用。良いプレーを見せた試合も確かにあったが、未だ淡泊で無関心なプレースタイルという印象を払拭できず、サポーターの支持は得られなかった。年齢を考えればもうここからファイティングスピリットを見せるスタイルに変わるのはあまり期待できず、来シーズンも控えか。オファーがあれば移籍にはオープンのはずだが・・・

 

Karim El Ahmadi 30試合2.653分間出場(スタメン30試合) 5得点1アシスト

間違いなくカンピューンスハップの最大の貢献者であり、今シーズンのエールディヴィジのベストプレイヤー。クオリティの高さは以前から証明済みだったが、やや低調だった昨シーズンから一転したのはチームの状態が良くなってよりコンパクトになり、前線からしっかりプレッシャーを掛けるスタイルができあがったことで、ボールを奪い、守備と攻撃とを繋げるというエル・アマーディの仕事がしやすくなったことが大きいだろう。コントローラーとしての展開力も冴え、最大の欠点だった得点力の無さもキャリア最多ゴールを記録するなど、名実ともにトップシーズン。ピッチ上のリーダーとしての役割においてももはや改めて賞賛する必要も無く、まだ数年はトップレベルでプレーできる可能性を考えてもこのままデ・カイプのキングとしてキャリアを終える可能性も。

 

Tonny Vilhena 29試合2.610分間出場(スタメン29試合) 4得点1アシスト

エル・アマーディと共に強力なブロックを形成してチームの欠かせない要に。プライベートでの厳しい状況を考えれば昨シーズンの復活からのこのパフォーマンスはどの選手よりも大きな賞賛を受けるに値する。ただ本来のクオリティと期待度の高さを考えれば今のポジションからでもフットボール面の能力をさらに発揮して攻撃面でもっと貢献できるはず。Manchester United-thuisやヘーレンフェーン-uit戦で重要なゴールも決めたが、ゴールに絡む回数を増やすことも今後の課題だろう。それを考えてももう1, 2年残ってデ・カイプでエル・アマーディと共にプレーし続けるのが理想のはず。

 

Renato Tapia 8試合174分間出場(スタメン1試合) 1得点0アシスト

エル・アマーディとフィレーナのバックアッパーとして期待されるも結果を出すことはできず。後半戦はその役割をニューコープに奪われるなど、移籍2年目も状況は変わらず。ボールを持った時のクオリティは間違いなくあるが、フィレーナが残留なら来シーズンも出場は難しいはず。ペルー代表での評価は欧州でも高いため、オファーが届けば売却も。

 

Marko Vejinovic 2試合105分間出場(スタメン1試合) 0得点0アシスト

唯一スタメン起用されたゴー・アヘッド戦でチーム全体が悪かったのは確かだが、トレーニングでジオを納得させることができず、一時期ベンチ外も続いたことを考えれば今後スタメンを掴める可能性は薄く、残念ながらこのステップは失敗という結論をお互いに出すべき夏。

 

Jens Toornstra 34試合2.800分間出場(スタメン31試合) 14得点9アシスト

間違いなく今シーズンのチームのキープレイヤーの一人。右バイテン、左バイテン、さらにフィレーナとエル・アマーディ不在の際には守備的MFもこなしただけでなく、遂に本来の10番としても低調なカイトからポジションを奪った末に誰の目から見てもそれが相応しいと言えるだけの好パフォーマンスを発揮し、カイト問題を拡大させなかった貢献は非常に大きい。持ち前の走力とインテリジェンスで中盤のバランスも取りながら前線への動き出しを繰り返し、多くのゴールとアシストを記録。なぜかデ・カイプの外でほとんどゴールを決められなかったのはマイナス点だが、デ・カイプでは文句無しのトップスコアラーであり、ヘット・レヒューンからの支持も厚い。トールンストラの裏へ走り込むアクションをチームメイトが見過ごしているケースの多さを考えれば、さらにチームの武器として使える余地はまだまだあるだろう。残留でCL挑戦なら来シーズンはチームリーダー役も期待されるが、もし好条件のオファーが届いて国外挑戦となればファン・ヘールの大きな仕事が増えることに。

 

Dirk Kuyt 31試合2.256分間出場(スタメン27試合) 12得点4アシスト

今シーズンも苦しい場面でのゴールでチームを助けたが、シーズン途中から明らかにトップフォームでは無くなってスタメン外に。桁違いな存在感の大きさから決して適切では無い率直なコメントがメディアで大きく取り上げられることがあったものの、問題拡大に繋がらなかったのはトールンストラの活躍以外に、誰よりもフェイエノールトでのランズティートル獲得を望み続けたカイト本人のその後の対応の良さもあっただろう。しかし依然セレクション内での重要性は変わらず、ヘット・レヒューンへのアピール力も圧倒的。何よりも最終節のカンピューンスヴェーツトライトでのハットトリックで文字通り伝説的存在にまでなったことは大きな敬意を払って余りあるが、本人が控えの役割を決して受け入れてはいないことから来シーズンもプレーを続けるかは依然やや微妙な状況・・・ ジオ引退の時のようなベテラン不在に陥ることは無いが、この2年間の存在の大きさを考えると、仮にカイトが引退した時にロッカールームがどういう雰囲気になるかは読めない部分。

 

Simon Gustafson 2試合28分間出場(スタメン0試合) 0得点0アシスト

昨シーズン前半にミッシング・リンクとして期待されたのが遠い昔に思えるほどほとんど姿を見ることが無くなり、ベンチから消えることも度々に。本人の精神的状況が心配だが、このまま残るなら来シーズンはレンタルで気分を変えて再スタートを切るべき。

 

Bilal Basacikoglu 24試合784分間出場(スタメン5試合) 0得点5アシスト

スピードを活かしたジョーカーとしての起用がメインのシーズンに。良い試合をすることも多く、テクニカル・スタッフからの信頼も未だ厚いが気持ちを入れ替えると宣言して臨んだシーズン後半戦も出場機会を増やせなかった。実質的に1ゴールを決めたがフィニッシュでの精度はまだまだ上げる必要がある。契約を延長し、来シーズンはスタメンを争いたいところ。

 

Steven Berghuis 30試合2.110分間出場(スタメン25試合) 7得点5アシスト

攻撃面のクリエイティビティの欠如対策としての補強は成功。昨シーズンほとんどプレーしていなかったコンディション面の問題から長いシーズンで精彩を欠く試合も見られたが、好調な試合では常にゴールに向けてリスクを冒すスタイルで違いを作り続けた。特に後半戦はヨルゲンセンとトールンストラの連携にその個人技とスピードでプラスαを加え、チームの攻撃にバリエーションを増やす活躍。上手く行かない試合でもう少しリスクを回避する選択肢を選べれば、と思う時もあったが、守備面でのハードワークも期待以上。まだまだ伸びシロも感じられ、クラブも本人も完全移籍を望んでいるが、再レンタルの道が拓けるかどうか・・・

 

Eljero Elia 24試合1.704分間出場(スタメン21試合) 9得点8アシスト

ユーロボルフでの第1節のインパクトからトップシーズンになると期待されたが、やや怪我がちなシーズンに。しかし昨シーズンに比べて安定感と力強さが増し、出場している試合にはほぼ常に違いを作り続け、エールディヴィジでは規格外の存在であることを証明。プレースタイルから消える時間も多いものの、この出場時間で9得点8アシストは格の違いを見せたと言って良い数字。CLを考えれば絶対に必要な存在なのは言うまでも無いが、本人はすでに国外再挑戦の意向を表明しており、穴埋めはファン・ヘールにとって困難な仕事に。

 

Mo El Hankouri 1試合9分間出場(スタメン0試合) 0得点0アシスト

第4節エクセルシオール-thuisで終盤に登場し、サポーターからの支持を受けるプレーでその後も途中出場があるかと思われたが、意外にもその機会はベーカー戦で1度だけ。来シーズンはレンタル修行が濃厚か。

 

Emil Hansson 2試合37分間出場(スタメン0試合) 0得点0アシスト

シーズン後半にエル・ハンクーリに代わってベンチ入りする機会が増え、果敢なアクションで好印象を残した。まだA1でもプレーしながらのトップチーム参加だったが、来シーズンはレンタル修行か。

 

Nicolai Joergensen 32試合2.697分間出場(スタメン32試合) 21得点11アシスト

期待を遙かに上回る活躍で今シーズンのトップ・アンコープ。力強いポストプレーでチームのフットボールを大きく向上させた結果がチーム全体のスコアラーとゴール数の大増。11アシスト、さらに自らも21ゴール以上を決めて文句無しに「エールディヴィジの最も価値ある選手」となり、カンピューンスハップの重大な貢献者だった。欲を言えば長身を活かしたヘディングでの決定力がもう少し欲しいが、オランダ挑戦1年目のこの成績に対してそれは贅沢を言い過ぎだろう。1年でのステップアップもできるだろうが、本人は既に残留でのCL挑戦を明言。3スピッツシステムにも慣れ、来シーズンはさらにゴール数を増やしたいところ。CLでも通用することを証明できればこの年齢でも来夏の高額移籍に通じるが・・・

 

Michiel Kramer 17試合324分間出場(スタメン1試合) 4得点2アシスト

そのキャラクターからスタメンの座を失って騒動の素になる危惧も持たれていたが、ヨルゲンセンの控えとピンチヒッターの役割を見事にこなした。愛するクラブでのカンピューンスハップに間違いなく貢献できるという想いがあっただろう。ただゴールゲッターとしてのクオリティは否定できない一方、やはりプレースタイルは全くフェイエノールトに合っていないため、この夏に何か起きる可能性はある。

 

【来シーズンへ向けて】

CLに向けて更なる戦力アップが必要なのは明らかだが、国内を見ても今シーズンは最も戦力を揃えていたPSVが低調であり、020が予想通りシーズン序盤に勝ち点を落としていたことが大きく、来シーズンは再び厳しい戦いになることは間違いない。この夏に誰が去るかにもよるが、ファン・ヘールにとっては多忙な夏になることは容易に想像できる。特にエリア、ベルフハイス、トールンストラ、コンゴロ、カルスドルプが抜ければ両サイドがほぼ全て入れ替わることになり、同等のクオリティを見つけるのは困難だろう。そして最も必要な選手はスピードのあるCB. ファン・ベークが早くからフィットすれば問題は無いが、まだ復帰時期が見えていない現状ではそれを待つのはリスクが高すぎる。可能ならヨルゲンセンの控えのフットボールができるスピッツも欲しいところ。ユースから引き上げられれば言うことは無いが、今のA1にはめぼしいタレントがおらず、タレントの集まる来シーズンのA1がユースCLに参加できることを考えればそこで経験を積ませる方が長期的に見てベターだろう。