ウィンターストップ明けからAZで完全に花開いたフィンチェント･ヤンセン。このスピッツはゴールを決め続けているが、その成功は決して彼の生まれ持った才能に依るものではない。彼は多くのことをし、多くのことを諦めなければならなかった。美しく、そして悲しくもあるストーリィだ。
2000年に彼の兄 ヤンが白血病で亡くなった。「当時僕まだ6歳だった。でも人はその人生で成し遂げるためにあらゆることをしなければならないと学んだんだ。そうしなければチャンスはモノにできない。チームメイトがまたトレーニングをしなければいけないとか、疲れたとか泣き言を言っていたら僕は『失せろ、健康な体でいるのを喜べ』と思うよ」
このAZのスピッツはその証拠に常にハードトレーニングをし、時には16.00までクラブにいる。「僕はいつもトレーニングの後最後にロッカールームに入るし、休日も一緒にトレーニングしたいGKがいないか聞いている。チャンスを貰えないと泣き言を言う選手が時々いるけど、『ああ、君は非常に多くのことをやっているわけじゃないからね』と思うんだ。僕は弁解を探すことはしない。多くのことは自分で何とかできるもの」
フェイエノールトではヤンセンはそれができなかった。「僕はFC オスやNECではいっぱしの男だったけど、フェイエノールトでは大勢の一人でしかなかった。酷いトレーニングをすればみんなからいろいろ言われたよ。それに慣れるのに必死で、怪我もした。最後の1年でやっと上手くいくようになって、ゴールもたくさん決め、僕らはカンピューンになった。でも契約は得られなかったんだ」
フェイエノールトはすでにヤンセンと同世代のフロート･タレントであるアナス･アチャバールと契約済みであり、ヤンセンはファルケノールトを去るしかなかった。しかしヤンセンはフェイエノールトに恨みの感情は持っていない。「僕は今もフェイエノールトの大成功を願っているよ。あのクラブには大きな恩があるからね。彼らがアナスを選んだのは当然。当時のアナスはあの世代では欧州最高のスピッツの一人だったんだ。そして僕も『これでもういいや』とは一瞬も思わなかった。すぐに次のステップのことを考えたんだ」
そしてアルメレ･シティFCでそのステップを踏み、彼は昨夏AZへ移籍。ヤンセンは常に全力でゴールを狙う真のゴールゲッターの風格を漂わせており、同じくオス出身でジュピラー･リーグのクラブからワールドクラスへ成長したルート･ファン･ニステルローイと比較されている。「僕はschaarやakkaといったフェイントは全くする気はないけど、ただゴールは決めたいんだ。どういう決め方かは問題じゃない。自分はNeymarよりもスアレス･タイプ。ファン･ニステルローイと比較してもらえるのは嬉しいし、彼のようなキャリアを気づくために全力を尽くすよ。必要なら炎の中に両手を差し出すこともね」
