Mijn Feyenoord

Feyenoordを中心にNederlands voetbalを追いかける

2015年夏の移籍市場だいたいのまとめ

この夏はKNVBの管轄で577件の移籍が行われ、昨夏より44件増。国外へ138選手が去り、104選手がオランダへ。国内移籍は335件。最終日の移籍はわずか39件と、昨夏より18件減少した。これはトラディツォネール・トップ・ドリーが早々に移籍市場での仕事を終わらせたことが大きな要因だろう。

 

*ベテランの帰還

この夏 古巣に戻った元オランダ代表はフェイエノールトのディルク・カイトとアヤックスのジョニー・ハイティンハ。例のごとく大きなプレッシャーを受けることになり、(まだ出場の無いハイティンハに対し)すでにカイトには批判の声も上がっているように、失敗すれば大バッシングを受ける立場に。実際帰国後にトップ・パフォーマンスを披露したベテラン代表選手はフィリップ・コクーくらいで、高い期待に比例する厳しい批判は代表選手たちの帰国の足を遠ざける傾向にある。

 

*国内レンタル

アヤックスPSVからのレンタルが明らかに増加したのはヨングのジュピラー・リーグ参加によって契約選手数が増えたことが主な理由と思われる。オランダではレンタル選手の本来の所属クラブとの対戦での出場に関する慣例は全くなく、シーズン終盤の決定的試合において度々話題となるが、今シーズンは何が起きるだろうか。

 

ADO Den Haag

ワングのオーナー就任から最初に迎えた移籍市場で動きが注目された夏。予想通り大きな資金投入は無かったものの、明らかに予算は増え、経験豊富な実力者を次々に獲得。特に前線はファン・ダイネンとクラーメルを売却したものの、スハーケン、ハーフェナール、ドゥプランというクオリティ実証済みの選手を全てフリー移籍で獲得。さらにレンタル修行から戻ったコルテにファン・スヴェーデンのラインを活かしてSwansea Cityからホレをレンタル。。中盤はアルベルフが残り、バッケル、クリステンセンに長期離脱から戻ったケヴィン・ヤンセンと駒が揃っており、実際今シーズンのサプライズ候補に素晴らしいスタート。このパフォーマンスがフルシーズンもつことはないだろうが、フレーサーの下でベウヘルスダイクが帰った守備陣が踏ん張れば素晴らしい1年になるはず。

 

Ajax

どう見てもスタイルに合っていないグデルィに6mil払った以外は概ね例年通りユース重視のポリシーを堅持。ハイティンハの復帰を巡って運営陣の対立が表面化するも、それもある意味いつも通りの見慣れた光景。スピッツとしてメドの立ったミリクを買い取り、ヴィレムIIで大きく成長したダイクスを獲得。後はArsenalで構想外のSanogoをレンタルし、Borussia MönchengladbachからYounesを獲得と未知数の動きで、欧州戦とリーグ戦序盤が示す通りユース組が中心に。ピッチ上の変化はクラーセンが10番でプレーするようになり、キスナの移籍でバイテンスペーラーがいなくなったことで明らかに中央の崩し重視に。結果として守備が安定し、カンピューンスハップは争うだろうがゴール前を固める相手にテンポが落ちる問題点への解決策はいまだ見えず。

 

AZ

昨シーズンは後半戦に安定感を増した結果、3位というサプライズに恵まれたが、そこからエステバン、フート、ポウルセン、グデルィ、ベルフハイス、アロン・ヨハンソンとスタメン半分が移籍。GKはコウティーニョを拾いつつロシェットを起用。CBにはvdリンデンを、左バックにはセルヴィア・ルートからブレザンチッチと補強。レンタル修行から戻ったファン・オーフェレームがまだスタメンをつかめず、プレシーズンでベルフハイスが務めていた10番をどうするのかがまだ見えてこないため、ベルフハイスが抜けた分のクリエイティヴィティの欠如をどう埋めるか。アロン・ヨハンソンが去った前線はフィンチェント・ヤンセンがプレシーズンとEL予選で結果を出すもエールディヴィジではまだ力不足感。3バックや2スピッツの選択肢もあり、ジュピラーリーグのベストプレイヤー ヤハンバクシュがフィットした時にどう活かしていくかが鍵に。

 

SC Cambuur

バイケルがまたもライバルのヘーレンフェーンに去り、ライネンもフローニゲンへ。ヴァウト・ドロストも去って守備陣が手薄になった分はヘーリングスとペールスマンを獲り、フェイエノールトからダンマース、フローニゲンから出戻りファン・デル・ラーンをレンタル。攻撃面は例外的チャンスで得た19歳のアルバニア生まれのスウェーデンスピッツ ベリシャ。まだオフベチェの影に隠れているが、プレシーズンでは結果を出しており、ブレイクの可能性はある。

 

Excelsior Rotterdam

今度こそ2年連続残留へ挑戦のシーズン。監督 ダイクハイゼンが去るもフルーネンダイクを得て落ち着き、コウティーニョに代わる新GKにクルトー。最終日に去ったボターカの穴もクヴァスで埋まり、新加入 ナイジェル・ハッセルバインクとなぜかほとんど噂の立たなかったファン・ヴェールトで攻撃陣は問題なし。フローニゲンで出番のないファン・ニーフをレンタルできたのも大きく、フルーネンダイクが理想と現実の折り合いを上手くつけられれば2年連続残留は果たせるはず。

 

Feyenoord

ディルク・カイトの帰還に始まってこの夏最も目を引く動きを見せたフェイエノールト。財政難からこれまでユース重視でほとんど市場に投資してこなかったのに対し、昨シーズンの失敗で追い詰められたファン・ヘールが大方針転換。マタイセン、ブラルーズ、ウィルクシャーとベテラン陣と契約終了、ステップ・アップのクラーシを売却した上、ボエチウス、マヌ、ムルデル、スレーヘルスらユース出身者を放出し、ヴェイノヴィッチ、ファン・デル・ハイデン、ボテギン、エリアと経験ある実力者を多く獲得。懸案のスピッツはカジムを完全移籍で契約した上、待望のロッテルダマー・スピッツ クラーメルも獲得。年齢バランスも理想的で遂にコールシンゲルへの野望を露わにしたと言いたいところだが、プレシーズンからエールディヴィジ序盤のプレーは低調な試合が続いており、ファン・ブロンクホルストが良いフットボールをさせてティートルという結果を出せるかは疑問のスタート。

 

De Graafschap

予想外の昇格劇で過酷な残留争いは織り込み済み。カフランがステップ・アップした他、ファン・エーファイクが移籍。ゴタゴタデ結局フリーになったスピッツ カス・ペータースを棚ボタで得られ、Anderlechtからカバセーレをレンタルできたが大きなプラスは無く、4試合0ptsと予想通りのスタート。

 

FC Groningen

歴史的ベーカー獲得でELグループステージ枠を得たが、熟成したチームからやはりシェリー、キーフテンベルト、ボテギンと大きな柱が抜け、期待に応えられなかったファン・デル・ラーンをカンブールに出戻りレンタル放出。補強はリンセンにタマータ、ライネンにイェスパー・ドロストと穴を埋めたが、まだ前任者たちには程遠く、入れ替わりの多さでチームも安定せず。この夏最大のサプライズ移籍となったマドゥロに大きな期待がかかるが、10番候補だったルスナクの不調など不安要素が多く、一転して厳しいシーズンか。

 

SC Heerenveen

ノルトフェルトとウートに突然のデ・ローンと攻守の柱が移籍。しかしフェイエノールトからムルデルとテ・フレーデを獲得し、中盤もアイントホーフェンから来たタレント ファン・デン・ボーメンがフットボール能力の高さを見せてすでにブレイク中。左バックにカフランを得たことでファン・アーンホルトを右バックで使えるようになり、バイケルが加わったCB陣も強力に。さらにスロヴェニア・ユース代表スピッツ ザホヴィッチも将来性込みで獲得してファン・アーメルスフォールトは余裕のレンタル修行に。ラーソンはほとんど噂無く残留したが、今年もPO枠を目指せるかどうかはテ・フレーデとザホヴィッチの両スピッツにかかっているだろう。

 

Heracles Almelo

リンセンがステップアップも主力流出はそれほどなく、ほぼチームを維持した上にヴァウト・ドロスト、フラドン、ファン・オーイェン、ブロイケルス、ジノ・ボスとベテランとタレントのバランスが取れた補強。さらに久々のオランダ復帰となるガルシア・ガルシアをレンタル成功。4試合を終えてタナーネの活躍などすでに9ptsと、大改修を終えたポルマン・スタディオンでこの数年の負のスパイラルを遂に脱却。新しいクラブ史を刻む好スタートを切った。大きく高まった一体感とファイティング・スピリットを維持できれば近年の残留争いから久々のレヒターライチェ上位は十分狙えるはず。

 

NEC

狙い通り1年での再昇格からジュピラー・リーグ ベストプレイヤーのヤハンバクシュが抜け、トップスコアラーのアルスを思い切って売却。しかし結局リンボンベが残り、すでに成功を見せているヘーレンフェーン・ユース出身のMF ビーケルに始め、フェイエノールトからジュピラー・リーグ・ベスト・タレントのスレーヘルスを獲得し、ヴァウデンベルフをレンタル。PSVからもライーを獲得し、リッツマイエルをレンタル。ベテラン バイセを得られた上、さらになぜかChelseaからイングランド・ユース代表右バック ケインをレンタルし、探し続けたスピッツには最終日にルーマニア代表 ロマンを獲得と、ほぼ文句なしの夏に。GKのハルドルソンだけやや不安定だが、4試合3得点という数字どおり、攻撃陣は上手く機能するかが残留争いを脱するポイントに。

 

PEC Zwolle

レンタルのハーンとネシドが去り、ファン・デル・ヴェルフとリーントラ、ルコキ、イェスパー・ドロストがステップアップ。カテゴリー1のために工夫が必要だったが、アヤックスからエル・ハスナウィとファン・デル・ハルトを獲得、メニフとベッカーをレンタル。さらにNottingham Forestからフェルトワイク、Paris Saint Germainからブラジルのスーパータレント ヘブリングを、JuventusからBouyをレンタル。守備面もNACからマルセリスを買い取り、契約延長交渉が決裂して一度はクラブを去ったヴァウト・ウラマを結局再契約。フェイエノールト・ユース出身のデッカーとヘーレンフェーン・ユース出身のマリヌスが好印象を残して、まだ怪我で出遅れているサイマクもいるなど駒は十分。チームとしてのプレー・レベルはまだ未知数ながら、ほとんどボールを持たないカウンタースタイルで4試合8ptsと好スタート。

 

PSV

念願のカンピューンスハップ奪回からデパイとジニ・ワィナルドゥムを売却。その移籍金でプロッペルとペレイロを買い、レスティエンをレンタル。グアルダードとイシマツを完全移籍で買い取り、ヴィレムスのバックアッパーがいなかった左バックにポウルセンを獲得。さらに念願のモレーノを得て、さらに充実の布陣に。セレクションの半分はユース出身者で、という目標からは遠ざかったが、現Onder19の上がりを待ちながら欧州の地図に戻ることを目指す上では無理のないポリシーだろう。守備面で依然としてやや不安定なのと、レスチェンがどれだけチームにフィットできるが不安要素ではあるが、ルーク・デ・ヨングとグアルダードというエールディヴィジで別格のクオリティを持つ柱二人が残って今シーズンも圧倒的本命なのは疑問の余地が無い。

 

Roda JC

入れ替え戦を制して1年での再昇格。攻撃の中心の一つだったアンコ・ヤンセンが去ったが、注目は突然のオーストラリア路線で、MF グリフィツに始まり、クロアチア系のスピッツ ユリッチを獲得し、さらにPerth Gloryから18歳MF ダ・シウバを2年レンタル。他にはシナからサンコーが出戻り、最終日にAtalantaからガーナ人スピッツ Richmond Boakyeを獲得。4試合でヘラクレス、デ・フラーフスハップ、AZに勝ってすでに9ptsと残留へ向けて夢のスタート。

 

FC Twente

財政難によって当然の大量放出。オーチク、ビエラント、カスタイニョスの主力陣に始まり、モクタール、エベシリオ、マルティナとバックアッパーも売却。そして最終日にコローナも売ってわずかながら財政再建の資金に。新戦力は全く組み立て能力の無いカツィカスとウヴィニの両CBに、若い軽量級スピッツ オライタンとウィンガーのエデー。さらに怪我でまだプレーできないAgyepongをManCityからレンタルと不安たっぷり。まずは4試合で解任したシュロイデルの後任探しだが、現状ツィエクが違いを作らなければ全くゴールを奪える見込みがなく、解任劇でフロントへの不満を露わにしたツィエクがどれだけモチベーションを保てるか。このままだと残留争いを経験することに。

 

FC Utrecht

オールとドゥプランが去ったことで新監督テン・ハフが5-3-2を導入。他に大きな主力流出は無く、テン・ハフのルートでBayern Münchenのリザーブチームのキャプテンだったストリーデルを獲得。だが序盤最大のインパクトを与えたのはOlympique Lyonからレンタルしたヌガニオニだろう。左サイドで豊富な運動量とフィジカル、スピードとクロスで5-3-2システムの大きな要に。ライテル、アユプはほとんど噂も立たず、すでにエールディヴィジ最高のスピッツの一人となったハレルが去就が注目されながら残留。ボイマンスの復帰が待たれるが、テン・ハフが順調にチームの熟成度が上げられれば期待の持てるシーズンに。

 

Vitesse

例のごとくCheksea組が去って新たなChelsea組が入っての作り直し。契約選手でチームのベースだったファン・デル・ハイデン、ヴェイノヴィッチ、プロッペルがそれぞれステップアップしたことで特にこの夏は全面リニューアルに。ファン・デル・ヴェルフとラシーカの完全移籍組に、ベイケル、ブラウン、スーパータレントの片鱗を見せるナータンのレンタル組はすでに出場しているが、まだ起用できない段階の選手も多く、依然未知数の部分が多い。それでもほとんど個の力だけで4試合7ptsスタートはボスも望外だっただろう。あとは”よそ者の集まり”をチームとしてまとめられるかどうか。

 

Willem II

ストレペルのフットボールを気に入ったデ・ブールと蜜月に。成長したダイクスと、フロート・タレント フレキー・デ・ヨングを譲り渡した代わりにデ・サー、リジョン、ジヴコヴィッチ、さらにグデルィのファールで長期負傷離脱となったアンドラーデの穴埋めにアンデルセンをレンタル。他にもファン・デル・フェルデン、コッペルス、ファルケンブルフ、ヨッペンのベテラン組にオーヨとベルトラムスの若手を加え、GKにもランプルーを完全移籍で獲得し、序盤戦 ジヴコヴィッチが期待外れだったのを受けて最終日にぎりぎりでスロヴァキア代表 Nemecを獲得。4試合わずか1ゴールの攻撃陣にどう迫力をもたらすか。レンタル組が期待外れなら厳しい戦いに。