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Feyenoordを中心にNederlands voetbalを追いかける

2014/2015シーズンまとめ

平均年齢がさらに下がり24.38歳となった2014/2015シーズンのエールディヴィジ。カンピューンスハップは遂にPSVが前評判を裏切らない圧倒的クオリティを見せてティートルを奪還。久々にベストチームが制する、納得の形となった。アヤックスフェイエノールトがクオリティを欠く一方でAZ、フィテッセなどサブトップが躍進を見せたシーズンと言えるだろう。残留争いではヘラクレスが4連敗スタートでヤン・デ・ヨンゲを解任して立て直した一方で、シーズン半ばでそれぞれネボスヤ・グデルィ、フーケ・ボーイ、エルニー・ブランツを解任したNAC、ゴー・アヘッド、ドルドレヒトが揃って降格と明暗分かれた形に。2年連続3クラブ降格という異常事態はエスカレータークラブが揃っていたことと、昨年のNEC、ローダや今年のNACのように財政難からエールディヴィジ下位で苦しむクラブが負のスパイラルを抜けられずに滑り落ちる二つの理由があると考えられる。

 

フットボールの中味ではカウンター志向のチームが間違いなく増加。それによって結果を出したチームもあるが、昨シーズンと比べてプレーのクオリティが落ちたチームが多かったのも事実であり、オランダ・フットボールが根本的な問題を抱えているのは確かだろう。その中で常に主導権を取って攻撃的なフットボールを見せたのがフィテッセであり、相手のプレスを無効化するヴェイノヴィッチを中心とした中盤のクオリティの高さが目立った。小クラブではヴィレムIIとカンブールがアグレッシブなスタイルで躍進。特に昇格1年目でリンカーライチェ入りしたヴィレムIIは見事の一言。

 

2014/2015シーズンからイエローカードによる累積が5枚ごとにルール変更されたが、驚くべき事にファール数、カード数共に減少。ただ判定のクオリティはこの1年も多くの不満を生んでおり、1会場でのみ使用されているゴールラインテクノロジーが公平性を証明したように、少しでも早くビデオ審判導入の日が来ることが望まれる。

 

1 PSV 29勝1分け4敗 勝ち点88 得点92失点31

 

毎年カンピューンスハップの本命に挙げられながら自滅を繰り返していたが、遂に念願のティートル奪回。決定的要因は何と言ってもルーク・デ・ヨングとグアルダードの補強なのは間違いない。前者はカウンターでのポストプレーとゴール前でのヘディングで貴重な働きをし、グアルダードは長くこのチームに失われていたミッシング・ピースとして中盤で圧倒的存在感を放った。デパイ、ワィナルドゥムも残り、マヘルと共に順当に成長し、左サイドではヴィレムスが決定的な仕事をし続けるなど、セレクションの質から言えば圧倒的な勝ち点でのカンピューンは至極当然。おそらく唯一の穴がブルマとレキクのCBデュオだったが、コクーがシーズン序盤でカウンター戦術にシフトし、1シーズン徹底させたことでかつてのPSVらしい冷酷非情なチームに。さらに試合展開によってどうしてもゴールが必要という場合には主導権を取って短時間でゴールをもぎ取る力強さもあり、国内では全く非の打ち所がなかった。

 

2 Ajax 21勝8分け5敗 勝ち点 得点69失点29

 

ブリントの抜けたコントローラーにツィームリングという謎の補強策で出来上がったのは”史上最悪のアヤックス”。ほとんどユース・チームという個々のクオリティで問題無く2位でシーズンを終えられたのはデ・ブールの手腕と、6番も見事にこなしたクラーセンのフットボール・クオリティの高さだろう。カンピューンスハップを逃す年に恒例の内輪揉めで日々メディアを賑わせて話題を提供し続けており、クライフ革命路線もそろそろ終焉か。

 

3 AZ 19勝5分け10敗 勝ち点62 得点63失点56

 

ファン・バステンの辞任とパストールとの喧嘩別れがもう遠い昔のようにいろいろな事があったシーズン。結局はファン・デン・ブロムが後半戦頑ななまでにスタメンを固定してのカウンター戦術で落ち着きをもたらしたことが功を奏し、下位相手に取りこぼしをしなかったのが利いて大逆転の3位フィニッシュ。DFラインでは契約延長拒否で揉めたフートの成長、中盤ではグデルィが強さと巧さを見せ、前線ではベルフハイスが違いを作り続ける、というようにそれぞれキープレイヤーが見事に役目を果たしたのがフェイエノールトとの大きな違い。

 

4 Feyenoord 17勝8分け9敗 勝ち点59 得点56失点39

 

欧州では見事な冬越えを果たした反面、カンピューンスハップを争うという目標を立てながらの4位で欧州戦枠も逃す失望の結果。主力選手を多く売って得た移籍金で負債を全て消したことで財政面で見れば成功のシーズンだが、スポーツ面では失敗のシーズンなのは間違いない。補強策の遅れで序盤に勝ち点を落とし、次第に浮上するもウィンターストップ前にカンピューンスハップの可能性が消え、シーズン後半はルテンのチームらしい大失速でファン・ヘールとクラブ運営陣への批判が高まっている。ルテンはファン・ベークとコンゴロの若いCBデュオを起用してDFラインを高く上げての早めのプレッシングで主導権を得る戦術が結果を出すも、フットボールの落ち着きとゲームのコントロールを重視するあまり、チームの重心をあまりに後ろに置きすぎた。インマルスを本来の10番から下げたことでゴール数が減り、シーズンを通してボエチウスが不調だったことで、ポゼッションは高いものの、多くのエネルギーを使う割りにほとんどゴールが奪えないチームが生まれる結果に。キャリアで初めてシーズンを通してスピッツ起用されたカジム・リチャーズもフェイエノールトの9番として納得のクオリティは見せられず、「チームがチャンスが作れなくなったら考える」とコメントしていたルテンは、シーズン終盤のチャンスが作れなくなったチームに対してあまりに無策で結局シーズン終了後の退任を待たずにPO前に解任。

 

5 Vitesse 16勝10分け8敗 勝ち点58 得点66失点43

 

シーズン・トータルでベストのフットボールを見せたチームなのは明らか。序盤こそFW陣が全く噛み合わずにエゴに走り、守備のミスから優勢な試合を尽く落としていたが、ボスがスタイルを変えずにフットボールを続けさせて後半戦の巻き返しに繋げたのは見事。ポイントになったのはトラオレのスピッツ起用とプロッペルの成長、トップパフォーマンスを見せたカシアの安定感か。最終的にはチームに大きな自信が着いて欧州戦POも余裕の勝利。

 

6 PEC Zwolle 16勝5分け13敗 勝ち点53 得点59失点43

 

初の欧州戦にJCスハール獲得から始まり、昨年を上回る充実のシーズン。モコチョを失いながらもベン・リーンストラで見事に穴を埋めてフットボールの質を落とさなかったのはスカウトとヤンスの大きな功績と言える。ベンソンとギオン・フェルナンデスを失った前線もステフ・ナイラントとネシドで大きくお釣りが出たが、特にシーズン後半はネシドのフィニッシュ能力に依存したカウンター戦術にあまりに頼りすぎ、象徴はネシドが完全に封じられたベーカーフィナーレであっさり負けて連覇を逃したことだろう。ナイラントをもっと信じていれば主導権を取っての魅力的なフットボールを披露することももっとできていたはず。ヤンスのようなフットボールを愛する監督がナイラントを選べなかったのは今シーズンのエールディヴィジの失望の一つ。またスポーツ面では成功の裏で財政面は火事を増やしており、フロントの舵取りはやや微妙。

 

7 SC Heerenveen 13勝11分け10敗 勝ち点50 得点53失点46

 

夏にツィエクとバサチコグル、冬にシンクフラーフェンというユース出身のタレントを失いながらもラーソン、テルンのスカンジナビア組みがチームに噛み合ってローデウェーヘス1年目は大成功。結局当初の目標だった自分たちでフットボールをするという段階には至らなかったが、急成長を見せたスラフフェールのスピードとウートの決定力を活かしたカウンターで順当に勝ち点を伸ばした。しかし存在感が大きかったのは前線よりも中盤でキャプテンとして成長したデ・ローンとフィジカルとテクニックの高さを見せつけたファン・デン・ベルフのだろう。不安定だった守備面もシーズン終盤にはチャンスを得たシント・ジュステがブレイクしてようやく安定。

 

8 FC Groningen 11勝13分け10敗 勝ち点46 得点49失点53

 

カウンターと主導権を取ってのフットボールの両方を使い分け、シーズン前半は得点力不足に苦しんでいたが、後半戦はチャンスを得たデ・レーウがフィニッシャーとしての高い能力を見事に証明。シェリーの充実、ルスナクの加入も大きく、4-2-3-1で安定した戦いができるようになって勝ち点を稼いでの8位フィッシュ。何よりもベーカーという初タイトルを得て欧州戦本戦へのチケットを得たのはクラブ史上に残る大成功。競り合いで圧倒的強さを見せたボテギンや、終盤攻撃面で味付けをしたマヒーの貢献も大きい。

 

9 Willem II 13勝7分け14敗 勝ち点46 得点46失点50

 

昇格1年目で見事にリンカーライチェ入り。アルメンテーロスの加入は大きかったが、カウンター戦術に頼ることなく、常に攻撃的なフットボールを披露してのこの結果は、何よりもストレペルの手腕が讃えられるべきだろう。ドリース・ワイテンス、スタイン・ワイテンスらがさすがの実力を見せ、ハームハウツ、メサウド、アンドラーデが違いを作るなどチームにクオリティも揃っていた。

 

10 FC Twente 13勝10分け11敗 勝ち点43 得点56失点51

 

カテゴリー1に降格しながらツィエクとモコチョを獲得して野心を持ち続けたものの、財政面でもスポーツ面でも悲劇的というしかない壊滅的なシーズンに。モコチョは結局最後まで縦に速いプレースタイルに馴染めず、シーズン前半こそ成長を見せていたカスタイニョスも目の手術後の後半戦は例のごとく低調に。唯一ツィエクが加入当初こそフォームを失って苦しんだが、後半戦は正に獅子奮迅の活躍を見せたのが救いか。シュロイデルは最後まで納得できる戦術を提示できなかったが、クラブを巡る騒動の大部分はフロントの責任。ムンステルマンが前倒しで去り、サブトップのポジションも失ってあらゆる意味で一時代の終焉に。

 

11 FC Utrecht 11勝8分け15敗 勝ち点41 得点60失点62

 

ルフレン&アドリアーンセ体制で「攻撃的で魅力的なフットボール」を目指した結果、ハルヘンワールトでは見事に得点も失点も増。惜しむらくは高い決定力を見せたボイマンスが怪我でわずか9試合の出場に留まったこと。後半戦には冬に加入したハレルが見事に穴を埋め、アユプの10番へのコンバートもハマって「攻撃的で魅力的なフットボール」を披露するも、勝ち点を積み重ねる結果には至らず。特に被シュート数が下位3チームに続いて多いデータが示すように、守備陣の脆弱さが目立った。結局アルフレン&アドリアーンセと契約延長をせず1年でお別れと、迷走感が。

 

12 SC Cambuur 11勝8分け15敗 勝ち点41 得点46失点56

 

昇格2年目のホームの人工芝をアドバンテージに勝ち点を着実に積んでほぼ問題無く残留成功。ただレンタル戦略は前半戦こそルスナクが成功も、メレフ、ロシュヘウフェルが共に期待はずれで、冬にルスナクに代わって加入したビチキも怪我でわずか8試合の出場。一方でDFラインではライネンとバイケルが強さと上手さを見せ、フィニッシュ面ではファン・デ・ストレークとオフベチェが数字を残して買い取り補強組が大成功したのはクラブにとって嬉しい結果だろう。

 

13 ADO Den Haag 9勝10分け15敗 勝ち点37 得点44失点53

 

フレーサー体制で迎えた最初のフルシーズンはいろいろな面で落ち着かない1年に。昨シーズン終盤、フレーサー就任時の守備面の堅さがなかなか生まれずに脆さを見せたのが残留争いに巻き込まれかけた大きな要因。逆に前線ではクラーメルが17ゴールと大当たりで、アルベルフもエールディヴィジのレベルに通用することを完全に証明と結果を出したことで救われた形に。ピッチ外ではシナ人オーナーによるクラブ売却騒動が続いたことでクラブ全体が不透明な将来に迷走。結局大きな資金注入は当面無いという話に。

 

14 Heracles Almelo 11勝4分け19敗 勝ち点37 得点47失点64

 

7連敗スタートで前半戦は長く最下位にいたが、ブレイクしたヴェフホルストの後ろにアフディッチを置く攻撃的布陣が実り、ダリのブレイクやチョマーの円熟のプレーが利いてポルマン・スタディオン大拡張を前に最悪の事態は無事に避けられた。スタディオン増席による予算増までの緊急的措置もあるが、やや補強がベテランに偏っているのが厳しい。

 

15 Excelsior 6勝14分け14敗 勝ち点32 得点47失点63

 

入れ替え戦からの昇格で最下位候補に見られていたが、徹底したカウンター戦術とヴァウデスタインの特殊環境を活かしてクラブ史上初の直接残留成功はマリヌス・ダイクハイゼンの驚嘆すべき手腕。攻撃面でもボターカ、ファン・ミーヘムなど差を付けられるタレントがいたが、その中でもファン・ヴェールトのフィニッシャーとしてのクオリティは目を瞠るものがあった。

 

16 NAC Breda 6勝10分け18敗 勝ち点28 得点36失点68

 

近年の負のスパイラルを抜け出せず、15年間いたエールディヴィジから遂に降格。冬にマースカント就任とマルセリス、デ・ゼーウ、ギオン・フェルナンデスの補強で巻き返しを図ったものの、大事な試合で期待を裏切るパフォーマンスを見せてしまう悪癖が遂に治らずに入れ替え戦でローダに競り負けて悲劇的なシーズンを締めくくる結果に。フロントの長期的なビジョンの欠如と財政難から低迷し、生き残りと再起を賭けてのマースカント復帰だったが、あまりにも多すぎたマイナス要因が重なって結局紙一重で失敗。

 

17 Go Ahead Eagles 7勝6分け21敗 勝ち点27 得点29失点59

 

アントニアとハウトコープの両翼を失い、代わりの補強もほとんど失敗してコルデルも不調と攻撃面の迫力の無さが顕著で、シーズンを通して説得力のないフットボールに終始して順当な17位。入れ替え戦ではデ・フラーフスハップ相手に十分なチャンスを作るも、結局決定力を欠いて競り負けての昇格から2年目のエレベータークラブらしい形での降格。

 

18 FC Dordrecht 4勝8分け22敗 勝ち点20 得点24失点76

 

入れ替え戦からの昇格で見るからに頼りない戦力も、失うモノはないと常に果敢なフットボールを見せた上での納得の最下位降格。中盤こそファン・オーフェレームがその才能を証明し、クライベルやオーヨと見事なフットボールを見せたが、FW陣があまりにも力不足だった。冬のサプライズ補強だったスローリも予想通り全くフィットしておらず期待はずれに。