金曜日にエールディヴィジが始まる。今週5回に分けてNOSが送る1回目は「エールディヴィジは世界のベストリーグに入るか？」という疑問だ。ルイ･ファン･ハールは定期的にエールディヴィジへの賛辞を繰り返し、前日のManchester Uniteddでの初会見でも「エールディヴィジは世界最強の4つのリーグに入る。戦術面で我々がベストなのはブラジルでも示された」と語った。
しかし近年の欧州でのオランダクラブの結果はファン･ハールの言葉とは全く相容れない。過去5年の欧州シーズンのクラブ結果によるUEFA係数ランキングでも、オランダはトップ国には入っていない。今年オランダはスペイン、イングランド、ドイツ、ポルトガル、フランス、ロシアに次ぐ8位にいる。来年のランキングではウクライナが我々を抜く。急落とまでは言えないまでも、過去2シーズンのように、近年のオランダのかなり順位を落としてきている。KNVBはレベル低下についてかなり心配しており、近い内にオランダのクラブ･フットボールを国際レベルに繋ぎとめるために会議を開こうとしている。
統計学者 シモン･グリーヴ、スカウト エドワルド･メトホッド、監督 アード･デ･モスとジミー･カルデルウッド、そして選手 シモン･チョマーが現在のエールディヴィジの力量についてそれぞれの立場から光を当てた。ヴェレルトトップか、それとも心配するほど弱いのか？
グリーヴ：第3レベル
欧州クラブの分析を行うInfostrada Sportsのチーム分析家 シモン･グリーヴは欧州トップリーグの全クラブをランク付けている。「まずシンプルな分析として、私はリーグの全クラブの平均を取る」とイギリス人統計学者。
「エールディヴィジはこのランクでは12位。スペイン、ドイツ、イングランドのエリート･リーグ、そしてそれに続くセリエA、さらにロシア、フランスとは明らかな差がある。このトップ･ゼス以外では多くの国が接近しており、オランダもその中に含まれる」
「オランダは基本的にはトップ10のリーグに入るが、昇格クラブが大抵非常に弱い。ドルドレヒト、エクセルシオール、それにヴィレムIIやゴー･アヘッド･イーグルス、カンブールも実際はトップリーグ･レベルでは無い。彼らがレベルを下げている。だからトルコの例のように、リーグの下位が良くないのは国の大きさとも関係する問題」
「この第一の分析方法は全ての国がリーグに同じ数のクラブではないから、完全にフェアな分析ではない。例えばスイスはトップ･ディヴィジョンは10クラブしかないが、この分析方法では9位だ」このためにグリー部は各国のリーグの上位10クラブだけで2つ目の分析を行った。それによるとスイスは13位に落ち、オランダはトルコに次ぐ9位となる。
「トップ･ゼスはどちらの分析方法でもハッキリ出ている。プリメーラ･ディヴィジョンが1位、プレミア･リーグが2位、ブンデスリーガが3位、セリエAが4位。それにロシア･プレミア･リーグとフランスのリーグ1がほど同じレベルで続く。この6つの下にはポルトガル、トルコ、オランダ、ウクライナがほぼ接近している。オランダはこの第3レベルにあり、欧州最高の4リーグに入っていないのは間違いない」
メトホッド：タレントを一人前に
「欧州での結果は嘘はつかないし、このランキングも同じだ」とオランダ代表のスカウトであり分析担当のエドワルド･メトホッド。「これを避ける事はできない。数字が全てではないが、それは多くのことを語っている」
「しかしオランダが国際フットボールにおいて何らかの役割を果たしているか？と問われれば、その答えはjaだ。我々はこの小国で才能ある選手たちを一人前に育てているからね。その選手たちが集まり、考案されたフットボール･プランとビジョンを持てば成功できるし、WKで3位にもなれる」
メトホッドは過去2年の様々な欧州リーグで数え切れない試合を観てきた。そこで彼はエールディヴィジとの違いを目にしたという。「例えばオランダではDFへの要求が異なる。我々はCBに前のスペースを埋め、中盤のフットボールに加わるプレーを見たいと思う。彼らのフットボール能力を見る傾向があるんだ。だからボールを持った時に悪い判断をするとすぐにそこに目が行く」
「他の国では純粋なDFとしての能力にもっと目が向けられる。ドイツのJérôme BoatengやMats Hummelを見てみよう。彼らはジョエル･フェルトマンともステファン･デ･フライとも違うタイプ。我々のDFはフィジカル、思考力、競り合いの強さに劣っているが、フットボール能力では優っており、もっと早くフットボールによる解決策を選ぶ事ができる」
「オランダのリーグで我々は国際レベルでしばしば求められるのとは別のやり方でフットボールをしているんだ。ここでは時によりナイーヴと言われるイタリアやドイツよりもよりオープンにプレーがされる。ここではクリエイティヴなフットボール選手がさらに成長する事ができる。他のリーグではパワー、アスリート能力がより求められる」
ブラジルでのWKにおいて、オランイェはかつてよりもオープンではないプレーをしたとメトホッド。「オランダ代表はブラジルでよりコントロール重視のプレースタイルだった。そこで我々が自分たちのホーランセ･フットボールの能力に付加価値を与えることができたのを見れば、私は将来に高い期待を持てるよ」
デ･モス：競り合いの力に欠ける
アード･デ･モスは監督としてエールディヴィジ、ベルギー･リーグ、スペイン、ドイツ、ギリシアなどで仕事をした。現在ではSport1の解説者であり、多くの欧州フットボールを見てきている。
「エールディヴィジは世界最高のリーグの一つか？それほどではないだろう。スペインは素晴らしいリーグを持っており、現時点で欧州のベスト。その次はプレミア･リーグ、そしてブンデスリーガだ。ドイツはよく見ているが、Borussia DortmundとBayern München以外はそれほどでもない。Frankfurt対Mainzは見ていて辛かった」
「イタリア･リーグは評価が下がっているが、まだ我々のリーグより上。Lazio対RomaやAC Milan対Interでは結果を得るために全てを賭けた戦いがある。フェイエノールト対Besiktasで我々はフットボールを生業にする者たちがただの愛好家相手にどうやって良い結果を得るかを再び目にした」
「我々の上位にいる国々では結果が求められるが、オランダでは良いフットボールをすることも重要視される。幸いにもブラジルでのオランイェのプレーの仕方によって多少変化が見えているがね。しかし学べるはずの教訓はFC フローニゲンにもフェイエノールトにもまだ見えなかった。ボールを囲む時にリスクを負わず、生き残る事を優先する。リーグ戦なら良いグッとボールと結果を目指す事はできるだろう。34試合あるからね。欧州ではCKからゴールを決められれば15分で終わってしまうかもしれない。ファン･ハールでさえやったんだ、他の人にやってはいけない理由があるか？支配的なフットボールをするクオリティが無いならクリエイティブにならなければならない。強くなければ、ずる賢くないと。そこに悪い事は何も無い」
エールディヴィジには国際的なトップ･フットボールで生き残るための重要なファクターである、競り合いでの強さが欠けているとデ･モス。「競り合いで我々は吹き飛ばされている。実際そのためのトレーニングが少なすぎるんだ。トレーニングの全形式を見ればパスとキックに集中している。ユース時代からずっと同じだ。他の例を挙げればヘディング。エールディヴィジのヘディングの下手さは見ればわかる。ヘディングで髪型が乱れるのを選手たちは嫌っているようだ。しかしCKでは絶対にヘディングが必要」
「だがどんな場合にも常に反対の例はいる。スフェン･ファン･ベークはフェイエノールト対Besiktasで頭一つ抜き出ていた。新たに育った光であり、ステファン･デ･フライやロン･フラールの改良版になれる。そう判断するのに長い時間は必要なかった。40m先に正確なボールを送ったのは1回だけではなく、5回以上あった。とてもポジティヴだ。実際環境、財政問題によって近年はユース選手がチャンスを得られている」
カルデルウッド：ファンタスティックな学舎
国外での経験あるオランダ人監督から、オランダでの経験ある外国人監督に移ろう。エールディヴィジはほとんどがオランダ人監督で占められているが、ジミー･カルデルウッドは9年間外国人監督としてカンブール、ヴィレムII、NECなどを率いた。現在クラブを持たない59歳のスコットランド人は母国以外にゴー･アヘッド･イーグルスとデ･フラーフスハップでエールステ･ディヴィジでもプレー。1979年に現役選手としてオランダに来た。
「オランダは私にとってファンタスティックな学舎だった。私はBirmingham Cityからレンタルでスパルタに来たんだ。デニー･ブリント、ルート･へールス、ルイ･ファン･ハールがいるファンタスティックなチームだった。味方も敵もとても良い選手たちとプレーできた。私はいつもヨハン･クライフを相手にしければいけなかったけれど、決して彼をつかまえられなかったよ。彼はとても抜け目なく、非常に速かった」
「私はオランダを高く評価している。ルイ･ファン･ハールはファンタスティックな人物で、彼は全く正しい。いくつかのオランダの試合は非常に戦術的で見るべきものが無いが、しかし長年にわたってオランダは非常に多くのスーパータレントを輩出している。これは運ではなく、民衆のクオリティ。オランダはこれを続けなければいけない」
「最近私はユトレヒトに住んでいる娘と一緒にユトレヒトのアマチュアクラブのOnder11チームを連れてスコットランドに行ったんだ。全て私が手配してね。彼らはスコットランドのチームと対戦したが、スコットランドの選手の親はみんな驚嘆していたよ。『ファンタスティックなものを見れた、ボールを持った時のプレー、しかもこの年齢で』」
カルデルウッドはオランダ･フットボールの将来をポジティヴに見ている。「これからの数年間もいまのオランダの若手は学び続け、成長し続けなければいけない。毎年毎年それを繰り返すんだ。良い選手たちはもっともっと成長するはず。彼らにはネーデルランセ･スホールがあるし、クラレンス･セードルフやマルコ･ファン･バステンのような選手たちの道を追っていけるはず。彼らはまだそれほど良くなくても、良いリーグでもっと良くなれる。エールディヴィジにとってそれは残念なことだけどね。オランダのクラブはイングランドや、トルコでも選手が受け取れる金額は払えない。オランダは育成国なんだ」
チョマー：戦術面はベストの一つ
もう一人のオランダ･フットボールにおける外国人 シモン･チョマーの言葉を聞こう。33歳のドイツ人はオランダを語るには第一人者だ。チョマーはドイツのSchüttorfで育ち、オランダとの国境を超え、FC トゥエンテのユースに入った。トゥッカースで2000年にプロ･キャリアをスタート。その後はSchalke 04, Roda JC, AZ, FC Utrecht, Red Bull Salzburg en Vitesseなどでプレーしてきている。
現在 ヘラクレス･アルメロの選手である彼はAZ時代にはルイ･ファン･ハールの下でも仕事をした。「オランダには多くのタレントとクオリティがあるというファン･ハールの言葉は全く正しいけど、リーグ自体は僕は世界のベストに入るとは思わない。トップ･ドリーにオランダは間違いなく入っていない。ドイツ、イングランド、スペインが絶対的なトップを形成していて、イタリアとロシアも僕はオランダより強いリーグだと思う。さらにParis Saint-Germainのいるフランスも僕はより上に評価している」
「タレント戦術能力の面ではオランダの僕らは間違いなくベストの内に入っているだろう。例えばフェイエノールトなど多くのタレントがいる。今は残念ながら出て行ってしまったけどね。WKに参加した選手たちがみんな残ったら、エールディヴィジにとっては良い事だった」
「オランダが上手くやれていない唯一の事は、勝つ事。これがドイツとの大きな違いだ。彼らのCBはボールを前へ蹴り出すだけだけど、チームが勝てば国全体が喜ぶ。オランダで僕らがそういうプレーをすれば、僕らは『嬉しいし良かったけど、魅力的ではない』と言うんだ。ここではフットボールは美しいものでなければいけないんだよ。でも国際フットボールで争いたいのなら、変わらなければいけない。僕らは組み合わせを模索すべきで、常に4-3-3でプレーする必要は無いんだ。欧州の舞台でファンタスティックなプレッシング･フットボールを披露しているクラブはFC Barcelona とBayern Münchenだけ。他はReal Madridも含めて引いている。どうして僕らがそれしちゃいけないんだ？」
WKでのオランイェのパフォーマンスは輝かしいお手本だとチョマー。「ルイ･ファン･ハールは多くの人が想像できなかったことをやってのけた。ロン･フラールのようなイングランドの選手たちと、戦術的に教育を受けたタレントたち、そしてアルイェン･ロッベンとロビン･ファン･ペルシのクラッセの組み合わせを機能させたんだ。オランダはフィナーレ進出にもう少しだったし、ヴェレルトカンピューンにだってなれただろう」
トップ･フィールデはないが、しかし･･･
数字も専門家も『エールディヴィジは世界最高の4リーグには入っていない』と同じ意見だ。だがルイ･ファン･ハールは間違えているだろうか？エールディヴィジはタレントが成長でき、平均以上の戦術的規律とフットボール能力を備えた優秀な選手たちがプレーする、特別なリーグだ。競り合いの強さ、守備面の安全性、勝利者のメンタリティが増せば、欧州の舞台での結果も良くなるはずだと専門家たちも考えている。
http://nos.nl/artikel/682602-eredivisie-beste-ter-wereld.html
