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フェイエノールト、復活の5つの要因

2011/2012シーズンを2位で終え、エールディヴィジのトップと欧州の舞台に戻ってきたフェイエノールト。数シーズンの不振をついに脱却し、ついに「あるべき場所」に戻ったことでクラブは喜びに包まれている。もちろん来シーズン以降も同様の成功を続け、コールシンゲルへたどり着けるかどうかはまだ未知数だが、今シーズンの成功は決して「偶然の産物」ではない。「オランダ最高のクラブ」復活の要因は大きく5つを挙げられるだろう。

 

1. ファン・ヘールのマネージメント能力

移籍市場での失敗を繰り返していたフェイエノールトにとって敏腕TD マルティン・ファン・ヘールこそ成功の第1のキーマンだった。シーズンスタート直前のマリオ・ベーン解任騒動では「私は責任を取らない」と理解できないコメントを残してケチを付けるも、素早い動きでロナルド・クーマンを招聘、JPをO/19からトップチームのアシスタントに引き上げ、ジオを説得して強力なテクニカルスタッフを作り上げた。移籍市場でもサインしなかったワィナルドゥムとフェルを粘りに粘ってあわせて10mil以上の値段で売却。マンチェスター・シティからグイデッティのレンタルに成功。金銭面とスポーツ面のバランスを考えて最善の結果だったと言えるだろう。ユースのタレントとも続々と契約を結び、さらなる流出防止も今のところ成功。来シーズンへ向けてもホーセンス、フォルメル、ヤンマートという実力者たちをフリー移籍で獲得するなど欧州戦へ向けてセレクション強化を実行している。

 

2. 新テクニカルスタッフの指導

近年のフェイエノールトはもちろん、エールディヴィジ全体でもこれほど強力なテクニカルスタッフはおそらく存在しなかっただろう。すでに監督として豊富な経験を持つクーマン、ユースで多くのタレントをトップチームへ輩出してきたJP、選手としての経験、リーダーシップを備えていたジオ(GKコーチ ローデワイクスも昨シーズンから継続)。この新テクニカルスタッフによってトレーニング内容は劇的に変化。各ライン毎の特別メニューが増え、チームの戦術理解度がアップ。個人個人の成長はもちろん、チームとして組織的にプレーできるようになったことで一体感が増した。選手たちに自信を与え、そして決して妥協することなく要求をし続けたことで若い選手たちにも自覚が芽生え、「子供」から「本物のプロ・フットボール選手」に。クーマンの戦術的選択肢の多さはもちろん、プレシーズンにほとんど時間がなかったことを考えれば素早くチームを掌握できたことはJPとジオの功績だろう。クーマンは来シーズンも契約を延長したが、仮に何かあってもすぐにJPに禅譲できる状況なのはチームの方向性の維持という点でも意味が大きい。

 

3. エル・アマーディの復活

もう一つのクーマンの大きな功績がエル・アマーディを復活させたことだろう。これまでトゥエンテ時代の輝きを見せられず、ファンの信頼も自分を信じフットボールを楽しむ心も失っていたが、クーマンは就任後すぐに彼を不動のスタメンとして指名、クラーシと共に攻守を繋ぐチームのキーマンに据える信頼感を見せると、エル・アマーディがこれに応えて次第に本来のエールディヴィジトップクラスのMFとしてのパフォーマンスを発揮。昨シーズン怪我もあって不発だったスハーケン、度重なる怪我で期待を裏切ってきたシセも同様で、若手の多いチームにあって彼ら近年の補強選手である中堅層がようやく期待に応え、安定したプレーをもたらしたことは非常に大きかった。エル・アマーディは契約残り1年。自分を取り戻したことでステップアップの準備は整ったとも言えるが、ファンの信頼を得たことでフェイエノールトでCLに挑戦することにもオープンな姿勢。残留すればチームに取って大きな拠り所になる。

 

4. クラーシ等ユース出身タレントの成長

移籍市場で資金を出せないフェイエノールトにとってユース出身のタレントの成長こそ成長の鍵。エールディヴィジの中盤で圧倒的輝きを見せたクラーイについては改めて、今シーズンは他にもマルティンス・インディが大きく成長。デ・フライも怪我とベンチ生活から脱してシーズン終盤輝きを取り戻し、ムルデルも多くの批判を乗り越えてついに正GKの座を確固たるものとした。カブラルにはまだ波が多く、、ネロムは負傷離脱からブレイクできず、アシャバールはまだ力不足を見せたものの、レールダムが中盤と人材不足の右バックで目立たないものの貴重な働きでチームに貢献、Bユニオールのフロート・タレント フィリェナがトッパーで堂々としたプレーを見せてトップチーム入り、マヌも最終節でゴールをあげた。来シーズンはスヘンケフェルトが戻り、コンゴロ、ステーンフォールデンもセレクション入りするだろう。

 

5. スーパーグイデッティ

フェイエノールトの2011/2012シーズン、そして復活への道のりは、後々までジョン・グイデッティの名前と共に語られるだろう。マンチェスターから来たこのスウェーデン人こそ、チームにレヒューンからの大きな愛情を、デ・カイプにかつての熱狂をもたらした張本人だった。デ・クラシケルでのハットトリック、カイト以来の20ゴールという数字はもちろん、その体から溢れる闘争心と漲る自信がチームに与えた影響が一体どれほどのものだったか。彼がいなければチームの成長は2年近く遅れていたかもしれない。彼のプレーと振る舞いがチームに自信を与え、彼がウィルスに冒され欠場を余儀なくされた終盤戦はフラールがこれまでにない存在感で最後尾からチームを牽引。シーズン中盤まで不調に苦しんでいたが、ついにフェイエノールトのキャプテンとしてあるべき姿をつかみ、マリオ・ベーン解任の責任を取るという約束を果たしてくれた。