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プレドームがサウジへ。トゥエンテ、再び監督を失う

スティーヴン・マクラーレンのもとで初のカンピューンスハップを制してから1年、FCトゥエンテはミシェル・プレドームの元で昨シーズンも最後までカンピューンスハップを争ったが、わずか1シーズンで昨夏に引き続き監督を失うことになった。

 

レドームはすでに濃厚視されていた通りにサウジアラビアのクラブAl-Shababと合意。サラリーとしてトゥエンテでの3~4倍と言われる年間200万ユーロ以上を受け取ることになる。

 

トゥエンテは3年前にもフレッド・ルテンをシャルケに契約途中で引き抜かれており、しかも3人ともリヌス・ミケルス・アワードで年間最優秀監督賞を受賞した直後にクラブを去るという事態。ヨープ・ムンステルマン会長は2年続けて契約途中で監督を手放すことについて、「リヌス・ミケルス・アワードを受賞した彼らに関心が集まり、別れることになるのは避けられない。彼らが他のクラブで3,4倍のサラリーを稼げるとなったら、我々に何ができる?」とこの別れが必然のモノであると現実的なコメント。

 

トゥエンテで多くの選手の入れ替えがありながらヨハン・クライフ・スハールとKNVB-bekerを獲得、ELでもベスト8まで勝ち進み、最終節までカンピューンスハップを争う好成績を残したプレドームだが、その手法に批判意見が皆無だった訳ではない。これまでクラブの代名詞だった中盤で多くパスを回すティクタク・フットボールから昨シーズンは相手ゴールにより早く、直線的に向かうフットボールにスタイル変更。10番として相手のDFライン前で創造性を演出していたケネス・ペレスが抜けたこともありプレーの魅力は確実に減少し、中盤の守備の要 ヴォウト・ブラマも自由に相手ゴールに向かってプレーするようになったために無駄な失点も増え、シーズン終盤にはチームのミスの度にベンチ前で感情を露わにして叫ぶプレドームの姿はメディアに大きく取り上げられて『自制心に欠けた人物』というイメージが定着してしまった。さらに若いタレントを長期的に育てる補強ポリシーのクラブに対し、冬の移籍市場で高額サラリーのオグチ・オニエヴをレンタルするなど、口には出さないがムンステルマンが不満を持っていたことは想像できる。

 

以前からクラブのポリシーを理解し、長期に渡ってクラブのカルチャーを守ることができる、トゥエンテにおけるアーセナルのアーセン・ヴェンゲルのような存在を求めているムンステルマン。ピッチ上でも財政面でも現在オランダでは最も成功を収めているクラブとなり、実力的には誰もが認めるトップ・クラブとなったが、テオ・ヤンセンがあっさりとライバルのアヤックスへ去ったように、ビッグ・クラブへの道のりはまだ遠いローカルなクラブである事も間違いない事実。トゥエンテが求める新監督候補にはこれまでスティーヴン・マクラーレン(今日ノッティンガム・フォレストと合意)、コ・アドリアーンセ(フリー)、ヘルトヤン・フェルベーク(AZ)、ロナルド・クーマン(フリー)、フランク・ライカールト(フリー)などそうそうたる名前が報道されている。しかし一時的にはムンステルマンが求めるクラブカルチャーに従った形での成功を収めたとしても、長期的にクラブを守る監督を得ることは、ここまで成功続きの名会長でも至難の業だろう。