Mijn Feyenoord

Feyenoordを中心にNederlands voetbalを追いかける

2010年夏の移籍市場だいたいのまとめ

金融危機の影響もあり、噂が立っていたスアレスアフェライ、ルイスらの国外への大型移籍は結局ゼロ。各クラブ共にセレクションを縮小し緊縮財政へ移る静かな夏だったが、比較的余裕のあるトゥエンテ、PSV、健全財政のヘーレンフェーンが積極的な動きを見せた。市場終盤に新オーナーが就任したフィテッセがかき回すかと思われたが、意外にも大きな資金の投入は無く現実的な補強に終わった。

 

 

FC Twente 監督:スティーブン・マクラーレン→ミシェル・プレドーム

毎年主力を抜かれながらチームの今回は守って成長してきたランズカンピューンチームだが、ヌクフォ、ペレスの二大ベテランとストッホを失い攻撃陣は無事に残留したエースのルイス以外総取っ替え。それでも安定した財政のおかげでスピッツオーストリアのヤンコ、ウィンガーにベルギーのチャドリ、スウェーデンのバイラミと手堅い補強。ロニー・スタムの後釜もヘントのロサレスというプレドームやルイスと馴染みの最高の人材を得た。ただペレスの後継者はメルテンスラッセ・シェーネの獲得に失敗。テオ・ヤンセンは残ったものの、プレミアの夢を叶えたティオテを手放さざるを得ず、替わりはベテランのランツァートと中盤はやや不安か。守備の要ダグラスは噂も立たずに残留。レンタル終了のライコビッチに替わるバックアッパーはスウェーデンのベンストン獲得でぬかりなし。連携が取れてくれば今季もカンピューンスハップに近づくだろう。最終日にスタメンをつかめなかったヤバドフとカーニーをレンタルで放出。

500万ユーロのヤンコなどクラブ史上最高額の1100万ユーロを補強につぎ込んだトゥエンテだが、アルナウトビッチ、ティオテ、スタムの移籍金で1500万ユーロを稼いでおり、健全な運営を続けている。

 

 

AFC Ajax 監督:マルティン・ヨル(継続)

昨シーズン活躍したパンテリッチが去ったスピッツのポジションにエル・ハムダウイと最高の後継者。ロンメダールの後釜にはミド。そしてDF陣のバックアッパーにベテランのオーイェルと目立った補強はこの程度。ヴィーラールト、アイサティ、ブリントといった戦力外をレンタル放出したが、ボドゥル、スノ、ドナルドら豊富な不良債権を整理できず。慢性的に不足のウィンガーにはNACのレオナルドを狙うも合意に至らず断念。一方でレンタルの可能性が高かった高額サラリーのスレイマニは結局居残り。市場終盤に唐突にハドウィル獲得に動いていたが、ギリギリになってフィンランドのMF タイニオへ方向転換しフリーで獲得。スアレスステケレンブルフらWK出場組が結局揃って残留したのが最大の補強だろう。スアレスとエル・ハムダウイのコンビは50ゴールは確実で、タイトル獲得にはチームとしての安定感が鍵。長期離脱の第2GKのフェルメールの代役を獲得できなかったことが痛恨のミスになる可能性も。

 

 

PSV 監督:フレッド・ルテン(継続)

昨冬に手痛い損失をした攻撃陣にはレンス、ベルフ(レンタル)、出戻りライスと戦力アップ。シモンスの抜けた中盤にはカナダのヒュチンソンで問題なし。DF陣は風物詩だったサルシドの移籍が遂に実現したが、マルセロに続き即座にバウマと契約と例年通り手堅い補強でオーイェルの放出を悔やむ事態にはならないだろう。アフェライ、ジュジャクの残留で再びタイトルを取り返すための戦力は十分に整った。

 

 

Feyenoord 監督:マリオ・ベーン(継続)

マカーイ、ランツァート、ジオ、ホフラントとベテラン勢がごっそり抜け、デ・グズマンもデ・カイプを後にしたがフリー移籍で危機的財政の助けにはならずで補強費は0。外部からの新戦力はフリー移籍のスハーケン、アウアサルの他にレンタルでのスモロフ、ルムブのみで待望の9番獲得はならず。昨季デ・フライが右バックのスタメンを担ったように、今季も10代のタレント勢に頼るしかない状況。フラール、エル・アマーディに続き、すでにチームの中心であるフェル、ワィナルドゥムら若手の成長と昨季の課題だった決定力不足の克服が大きなポイント。

 

 

AZ 監督:ディック・アドフォカート→ヘルトヤン・フェルベーク

DSB銀行破綻で負った負債を整理すべく、レンス、メンデス・ダ・シウバ、エル・ハムダウイ、デンベレと安売りバーゲンし、PSVで戦力外のマルセリスを買い取り、降格のスパルタからフィールヘーフェルとファルケンブルフを格安で美味しい補強。今季は唯一のスピッツ ヨナタスが怪我で出遅れており、エル・ハムダウイの替わる得点源とならないと相手ゴール前で苦戦する可能性が。

 

 

Heracles Almelo 監督:ヘルトヤン・フェルベーク→ペーター・ボス

ドスト、ピーケンハーゲンを放出。その他余剰人員を整理し、新スピッツにテルスターからプレトを迎え、締め切り直前にヘラクレスからレンドラとバニンクをレンタル。大きな補強は無いがスタメンもほとんど残っており、昨季の再現はプレトの活躍次第。

 

 

FC Utrecht 監督:トン・ドゥ・シャティニエル(継続)

大型補強を敢行した昨夏から一変、この夏の補強はオーストラリアのオールら3人のタレントだけに留め、ファン・ダイク、ジョージら余剰人員整理に努めていた。今季も選手層は薄いが、EL-POを勝ち抜き、ムレンガとアザレが負傷したことで慌ててデュプランを獲得。攻撃的なフットボールを実現するためにスパルタからストロートマンを引き抜こうと再三挑戦したが、シルバーバウアーの移籍が決まらずついに実現できず。前線の駒不足を補おうと市場終盤、突然デムージュを獲りに動くと最終日に見事獲得を決定。あまりに守備的だった昨季に比べてプレシーズンからここまでは良いフットボールを見せてはいるが、今季も絶対的なエースのメルテンス、そして好調なファン・ヴォルフスヴィンケルに大きな期待がかかる。

 

 

FC Groningen 監督:ロン・ヤンス→ピーター・ハイストラ

ノルトストラント、コチ、ゾンネフェルトをレンタル先に戻し、サンコ、ローフレ、ルシウスを放出。補強はゴー・アヘッドからMF キーフテンベルトを引き抜き、さらにセルビアのスーパータレント タディッチを獲得した程度。最終日にようやくブリントの再レンタルを決定。ハイストラとはヨングアヤックスでよく知った間柄。

 

 

Roda JC 監督:ハルム・ファン・フェルトホーフェン(継続)

カストロ、マルセル・デ・ヨング、サーイスにレンタルしていたクライスワイクと守備の要が抜けたが、ベルギーのDF ヘンプテを獲得し、ヴィーラールトをレンタル。攻撃陣はユンケル、スクボのレンタルが継続され、さらにハイセヘムスヲレンタルで獲得し昨シーズン後半の勢いを持続。

 

 

NAC Breda 監督:ロベルト・マースカント→?

苦しいクラブ財政のためにズワンスワイク、クワクマン、デ・フラーフらベテランを放出。さらに余剰人員を整理し、補強はAZからライクス、中東からオランダに出戻りブサボン、ヴィレムIIから待望の右バック ヤンセ。さらに最後の1週間でクワクマンの穴埋めにハンガリー代表のGábor Horváthをレンタル、最終日にAZからクーンダースをレンタルし最低限の駒を揃えた。問題行動の多いレオナルドには移籍の可能性もあったがアヤックスと合意せず残留。電撃辞任したマースカントの後任はRKCのブロートを狙い交渉中。

 

 

SC Heerenveen 監督:ヤン・デ・ヨング→ロン・ヤンス

健全な財政運営を続けるヘーレンフェーンは供給過多だった戦力を一気に整理整頓しつつも積極的な補強で若返り。守備陣はバク・ニールセン、ディングスダッハ、ポポフを放出しクライスワイク、エル・アクシャウィを獲得。さらにヨン・ア・ピンがレンタルから出戻り。中盤はロサダ、Wojciechowskiを放出しアイスランドのタレント Ingolfur Sigurdssonを再び獲得。前線はエンリケ、シボンスマラソンを放出しドストを獲得。エリユヌシも半年レンタルから戻った。昨年のGK問題の反省から第1GKステッペに続くKevin Stuhr-Ellegaard、René Oosterhofを獲得。ベーレンスが残留しヤンス新体制はほぼ万全の陣容でのスタート。

 

 

VVV Venlo 監督:ヤン・ファン・ダイク(継続)

スハーケン、カブラル、アウアサル、ファン・デッセルとジュピラーリーグからチームを引っ張った選手たちが揃って移籍。ハンガリーのMF トトを獲得し、提携関係にあるポルトから今季もチュラ、ヴィアナ、そしてスペルマーカーのジョズエをレンタル。旋風を起こした昨シーズン、ホンダの移籍で勢いが衰えた後半戦と比べても戦力的に大きく落ちていることは否定できない。

 

 

NEC 監督:ヴィルヤン・フルート(継続)

危機的な財政状況のためにキヴヴ、ポトハイゼン、サイディ、ブルフゾルフ、ラドンスキ、エル・カビルを放出し、ホイバッハのレンタルも終了。DF ヴィル、MF ツィームリング、FW ジョージと最低限の補強に留めた。最終日にはローダJCから18歳のMF Adnan Secerovicをレンタル。昨シーズン怪我で棒に振ったシェーネの復活が大きなプラス。期待に応えられなかったフレミンクスがゴールを量産できるか。

 

 

Vitesse 監督:テオ・ボス (継続)

財政難の影響でフェルハーフ、クラウデミール、コルク、グリーン、カヤ、ホフスを放出し、残留を要請したがフェルトハイゼンは夢を叶えるためにスペインへ。レンタルで戻りのイェネルとファン・デル・ストライク、インテルリザーブチームからCB カルディロラを補強した程度で静かに終わるはずだったが、ジョルダニア新オーナー就任によって状況が一変。チェルシーからGK デラク、DF ライコビッチ、MF マティッチをレンタルし、アヤックスからMF アイサティをレンタル。さらにスレイマニも獲得しようとしたがこちらは失敗。大型補強を実現させるには時間的余裕がなかったか。それでも最終日にアーセナル所属のヨング・オランイェのスピッツ バラジテを濃厚と思われていたヘラクレスを出し抜いて獲得、さらに攻撃陣にノルウェーのタレント ペデルセン、ガーナのベテラン キングストンを補強し、グルジア代表DFカシアと最後の数時間で4人を加えた。激変したチームをテオ・ボスがどれだけ早くまとめられるか。

 

 

ADO Den Haag 監督:レイモンド・アッテフェルト→ジョン・ファン・デン・ブロム

ソルタニ、ミリッチ、コルネリッセ、オペルとレギュラークラスを手放しDF陣にアミ、中盤にラドサフリェヴィッチ、前線にブリキンとクビクを補強。ブリキンは早くも結果を出しており、攻撃的フットボールを支える守備陣の頑張りが鍵。

 

 

Willem II 監督:アルフォンス・フルーネンダイク→ヘルト・へールケス

危機的財政状況でアーツ、ヤンセ、アギュン、ブタハル、ザイレル、カルグボ、ブルマを放出。ファン・デル・ストライク、ドナルド、ナイラントのレンタル組も所属クラブに戻った。補強はファン・デル・ハイデンのレンタルが延長、DFにランピ、ハイロビッチ、MFにレフチェンコ、ラスニク、ホッセベルト、Wojciechowski、ラングレン、FWにハコラ、ファン・ザーネン、ヨングPSVからフッテンを獲得。エールディヴィジレベルで起爆剤となれるかはみな未知数で、4連敗と最悪のスタートの中、最終日に絶対的エースのデムージュがユトレヒトに移籍したのはあまりに痛い打撃。市場が閉まる直前に獲得した元ヨング・オランイェのスピッツ リフテルスも復活なるかは疑問。

 

 

De Graafschap 監督:ダリイェ・カレジッチ(継続)

ジュピラーリーグを制したセレクションからレンタルだったファン・ベウケリング、パウェルが所属クラブに戻り、メールディンクが引退。補強はユリ・ロゼとヴォルムホールのレンタルが継続され、ワーテルマン、サーイス、ヘルシ、プポンとセンターラインの強化に成功。

 

 

Excelsior 監督:アレックス・パストール(継続)

スパルタとの劇的な入れ替え戦を制して昇格。厳しい戦いが予想される中で提携関係のフェイエノールトからワタマレオ、クラージ、イゾフィら多くのタレントやニーフェルト、フィンケンといった戦力外選手を獲得。懸案だったGKもトゥエンテからパーウェが加入。さらにフェイエノールトから昨シーズンもレンタルしていたモコチョとスピッツのカスタイニョスのレンタルを希望したがフェイエノールトに拒否された。フェルナンデスのスピードとテクニックを活かしたカウンターで序盤戦に衝撃を与えている。

 

 

オランダのプロフェッショナル・フットボールで動いた選手は452人で昨夏の431人を超えた。オランダ国内では216人がクラブを移動。エールディヴィジとジュピラーリーグが国外から獲った選手は80人。オランダ人選手156人が国外に出た。多くの動きがあった最終日だけで45人が移籍。

 

 

一番の涙目はストロートマンでしょうか。